8 入学する。(1)
ケティア・フィージスの呟き
試験で本気出そうか、出すまいか悩むね。
いや、でも目立ちたくないし、やめよう!
ケティアの入学した魔法学校は、前行った学校と違い、義務教育ではないので、入学試験を合格する必要がある。試験に落ちると、そのまま家に帰ることになり、おそらく家族が泣く事になるだろう。
入学試験で合格するとそのまま、入学式をお行い、その後は、寮生活となる。
学校の敷地は広大で、おそらく、地球で言う、ディ〇ニーランドくらいはある。
ケティアは、おそらく、入学試験の受付を待っているのであろう、列の後ろに並んだ。
(入学試験って何するんやろっか。正直本気を出すつもりはないけど、それなりにやる気出さな、落ちるやっか)
列の1番前には、この学校の先生らしき人物が、机を並べて受験者の受け付けをしていた。
ケティアは受け付けを終えると、人の流れのまま、学校の校舎の中に入って行った。
中に入ると[4階鍛錬場にて、第1の入学試験。]と、書いてある看板があった。
ケティアはそのまま4階に上がり、鍛錬場に向かった。
すると、またもや長蛇の列が現れた。
(いや、試験参加者何人おるんよ)
ケティアは、あまりの人の多さに、少し酔いそうになる。
しばらく待っていると、火球を大勢の人が打っているのが索敵スキルで分かった。
ケティアは、なんとなく試験の内容の予測が付いた。
(なるほど、こういうタイプの試験ね。単純でいい)
おそらく、火球の威力を測定する魔道具でもあるのだろう。それに火球を打って威力で採点するのだろう。
そして、やっとケティアの番が回って来た。
[鍛錬場]というふうに書かれた札が壁に付けられている。
複数個、同じ作りの鍛錬場があり、部屋が空いたら、すぐに待機している人が試験を開始し、終わり次第、また別の人が試験を受ける。という形で試験を行っている。
ケティアは、受験者の多さにため息を着く。
鍛錬場の隣に、転移門がある。おそらく学校の門と繋がっているのだろう。
つまりこの試験で落ちたら、これを使って帰ることになるのだろう。
(へ〜、便利やな)
(さてと、行きましょうか)
ケティアは、空いた鍛錬場の中に入った。
するとそこには、大きな透明の、ガラスのような石と、DVD程の大きさの的があった。
そして、天井の一角には、いかにも喋りそうな灰色のインコが居た。
どうやら、教師はいないようだ。
「こんちちは、あなた....の名前はなんじゃすか?」
インコが喋った。かなり片言な喋り方だ。
特に隠すことでもないので、ケティアは普通に名乗る。
「ケティア・...フィージス、前の、また...的を見ろ、火球を、ぶっ刺せ。」
(いや、間違い方絶対わざとだろ!)
「また、このテストは、入学試験のまめ...ため、記録は、されていまぜん。」
(じゃー他人に俺の実力が見られる可能性は無いってわけか、てかまじでこのインコ性能ふざけてんなぁ、不良品か?)
先程のインコの説明からして他人に見られたり知らされたりすることはないとわかった。
つまり、元々する予定だった、手加減をしなくて良いということになる。
ケティアは、ニヤリっとワイバーンを倒した時の、悪魔のような表情になる。
そして、今のケティアが空気濃度変換を使用せずに出せる最高火力の火球を、的に向かって放った。
すると、部屋中がケティアの炎で埋め尽くされる。
今まで何百回もの魔力枯渇をしてきたケティアは、ステータスポイントを、全く使用せずに、魔力400まであげてみせた。
そのため、初級魔法なのでそこまで威力は出ないはずなのだが、ケティアが打った火球は、常人の場合の、中級魔法は軽く越しそうな威力を出していた。
(どうや?)
「判定、A、合格でふ」
(よっしゃー!第一関門突破!)
透明のガラスのような石に100点と表示される。
結果は言うまでもなく、もちろん合格だった。
ちなみに、ケティアの火球で、頑丈な作りのはずの、魔法学校の廊下が揺れた事など、本人は知らない。
(よしっ、次やな!)
次に受けた試験は、動く小さな的を制限時間内に魔法で全て破壊するという物だった。
魔法だったら何を使っても良いというルールだ。
ケティアは、手の平を開いた状態で片腕を前に突き出す。
「物質操作」
!?バキバキ!?バキバキバキ!?
ケティアは、手を力強く握りしめると同時に、浮遊する的をまとめて粉砕した。
「判定、A、合格でふ」
無論、合格だ。
ケティアは、学校側が出題した試験を全て難なく、一瞬でクリアしていった。
(これ何個目やぁ?)
ケティアは、簡単すぎて特に興味がなく今まで何個の試験をやってきたのか数えていな。
そしてやっと[最後の試験]と、札に書いてある、教室にやって来た。
(やっと終わりかぁ)
ケティアは、ため息を着く。
ちなみに、今たったの5つ目の試験が終わったところだが、ケティアからしたらこの入学試験は、全く面白くなく、ただめんどくさいだけななので、とても長い時間がたっている気がするのだ。
ちなみに、火球の試験からまだ5分も経っていないがケティアの体内時計は、2時間は経っている。
(さてと最後の試験やろうか)
ケティアは、ドアを開けると闘技場のような場所に来た。
(うわぁー広!)
そこには、真ん中にかなり大きな魔法陣が書かれ手あったり、黒色のインコが居た。
今までのインコより何やら賢そうだ。
「最後の試験」
(最後くらいちゃんとしたインコ使うか)
このインコは今までのインコと違い、ちゃんと喋ることができている。
「合格の条件は、使い魔の召喚をし、そしてこの場で契約をしてもらうことです」
「.....はぁ!?ちょっと待てよ、おい、俺召喚魔法なんて使った事ないぞ!」
ケティアは、召喚魔法などの、白魔法に当てはまる魔法は今まで使ったことが無い。
「今回の試験に制限時間は設けない、では...試験開始!」
「えぇ、ちょっと待ってや、うわぁー、ダルまじで。この試験合格ならんと入学出来んのやろ?」
ケティアは、インコに回答を求めたが、既に録音が存在しないのか、何も喋らなくなった。
「まぁいっか、さっさと終わらせよ」
ケティアは、目をつぶり、腕を前に突き出し、闘技場の真ん中に書かれた魔法陣から何かが出てくるイメージをする。
そして、魔法陣に魔力を注ぎ込んだ。
すると、魔法陣が黒色に輝き、中から真っ黒の何か出てくる。
それは、全身黒にチリチリの金髪、充血した目、そして何より額から茶色い角が生えている。
(見た目的にこいつ鬼か?)
「何お前、それバット持ってんの?」
鋭い爪の付いた手の平には、長い金属でできた棒を持っていた。
ケティアには、バットに見えた。どう見ても金棒である。
すると、
「うがぁぁ〜〜ーー!」
鬼が、両腕をあげ、ケティアに覆い被さるように威嚇してくる。
しかし、ケティアの顔が、み眉間にシワができている。
「うるせぇなぁ!黙れ、充血やろう!!」
ケティアが本気で切れる。
鬼は、ケティアの反応が予想と真反対だったのだろう、目を丸くしている。
ケティアの全く動じていない反応に、鬼は、困惑しかない。
普通の人間だったら、自分より大きな巨体から威嚇されたら、腰を抜かすはずだ。
しかし、ケティアは前世から、そのリアクションの皆無さに、ホラーゲームをしても、何もビックリせず、ただ真顔でプレイすると言う、なんとも悲しいゲームプレイをしていた。
そんなケティアを、驚かせるはずなど、まずなく。ケティアが切れる。
すると鬼が、
「あの〜、お主今、驚いてないよのぉ」
(こいつ普通に喋れるタイプか。てか声的に女か?)
「あぁん、あんなんで、驚くわけねーやん!」
ケティアが率直な感想を述べる。
「なんぜ切れ気味なのじゃ?まぁー良い。儂は、鬼人族のヴィニアジングルズ・チファイン・ゴーレじゃ」
鬼が礼儀正しく名乗る。
「えっ!?鬼人族ってあれじゃないん、数世紀前に滅びたんやないと?」
ケティアは、家にあった本にそう書いてあったことを思い出した。
「そうか。...やはり滅びとったか」
「なんやお前、生き残り的なやつ?」
ケティアが前世で聞いたことがありそうな展開に驚き聞いてみる。
「...そのようじゃの、儂は、先程お主に召喚されるまで、地下深くで封印されておったのじゃ。そこで気の遠くなるほどの時間、たった1人で過ごしておっ...」
「別にお前の悲惨な過去とか聞く気ないけ」
きれると言うよりも、突き放すようにしてそう言う。
「そっ、そうか。お主かなり冷たいのぉ」
ケティアが鬼の話を遮るように突き放す。
「まぁ良い、お主、鬼人族の掟で、{出会い頭に威嚇をして、動揺させれなかった者は、弱き者として、罰せられよ}と言うものがある。それにしたがって、何か1つお主の言う頼みを聞こう。」
鬼が礼儀正しく、説明した。
「なんだその掟、内容ふざけてんな。子供の考えたルールかちゃ」
ケティアは性格上、包み隠したり、気を使う事が出来ないので、思ったことをそのまま呟く。
すると先程までの鬼と違い、威嚇した時とは違い、怒りの表情に変わる。
「...なんじゃお主.....一族の掟を馬鹿にするか...ならば儂が許さぬ」
鬼が先程までの弱そうな雰囲気から変わる。
するとその瞬間、ケティアは鬼の金棒に強烈な打撃をくらい、闘技場の壁に吹き飛ばされた。
ケティアは壁に穴を開け、叩き付けられた衝撃で肺の空気が全て出され、呼吸を失った。