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6 義務教育を受けた。

ケティア・フィージスの呟き


いやなんかさ〜この世界でも義務教育受けないけんらしーんやけど。

ダルすぎ〜。

「ちょっと待って、母さん学校に行くって本当!」

「そうよ」

「なんで、何をしに」

ケティアは、元々超が着くほどの面倒くさがりで、自分のしたい事しかしない。

そのため、この世界に来ても、学問に励まなければいけないことが信じられなかった。

特に何か必要なことが思いつかないのだ。

ケティアにとって、言語理解があるので文字に困ることはないし、数学も前世の記憶があるので必要ない。

「母さんも知ってるでしょ、俺が、計算とかできるの」

「でも義務なんだから仕方ないでしょ」

(でた、また義務教育かよ。なんで異世界でもまた授業を受けないといけないんだ。大体普通、2次元の主人公は、冒険者ギルドとか行って冒険しまくるんじゃないの。なんでこう俺の知ってる異世界と違うんだ)

「嫌だ、行きたくない」

ケティアが拒否する。

「嫌だって言っても、行かなきゃ行けません」

やはり義務教育と言うのは、絶対のようだ。

名前の通り、義務であるため、仮に学ぶ内容が知っていたとしても受けなければいけない。

フィージス家のように、階級が上の貴族の人間であっても例外は無いようだ。

「......くっそ!あ〜もーいいや。行くわ、何年あるん」

こういう時2次元だったら、どんだけ言っても、家出しても、親が追いかけてきて、なんかそれっぽい言葉で励まされ、結局行く事を決意する。これはよくある展開なので、諦めた。これも前世の知識である。

「4年間だよ。7歳から10歳まで学校で義務教育に励まなければいけない」

サトルが、優しく答えてくれた。

この世界で言う成人とは、10歳以上の人を示していて、どうやら7歳から学校が存在するらしい。

「てか、来年って、もうあと1ヶ月もないじゃん」

ケティアは、両親の報告の遅さに呆れた。

「ごめんね言ってなかったね。遅くなってごめんなさい」

「なんと言うか、母さんらしいよ」

ケティアは、軽くミーチャをからかってみる。

「あ〜ケティちゃんそれどう意味よ〜」

「なんでもないよ」

(本当に母さんは明るい、少しおちょくっても笑って気にしない)

ミーチャの明るさに、少し尊敬したケティア。

家族みんなが笑っている。

(貴族って言うのはこういう、食事中とかは、笑顔とかが無くて、静かに食べるイメージやけど、母さんの性格上、それがないんだよな)

ケティアは、この家の子に転生して良かったと思った。

「母さん、学校て、何時に帰って来れるのかな」

「何言ってるの?寮に住むのよ」

「えぇ?」

ケティアが魂の抜けるような声を出した。

「寮って、もしかして、帰って来れないの!」

「そうよ、結構楽しいわよ、寮生活」

「まじか、帰れんのか」

(よりによって、寮のタイプの学校かよ。嫌だな〜。しかも4年間だろ。長すぎるやろ)

ケティアは、これも嫌だと言っても、結局行かなければいけないはめになるので了解した。

すると、ケティアがどこか遠くに行ってしまうことを察したのか、ヨシミが不安そうな顔をして聞いてくる。

「お兄ちゃん、どこかに行っちゃうの」

「あぁそうだよ、学校ていう場所で勉強しに行くんだ」

ケティアが優しく答える。

「会えなくなるの」

(出た、ヨシミのつぶらな瞳。本人は無意識だろうが、可愛すぎんか)

「う...」ケティアからそんな、言葉にならないような声が出る。

ヨシミの可愛さに少し動揺したが、ケティアは笑顔で答える。

少し長いかもしれないけどいつか帰ってくよ。待っててね」

すると、ヨシミが悲しそうな顔で目をウルウルさせている。

「嫌だ、お兄ちゃんと離れたくない」

ヨシミがケティアの胸元で泣きついてきた。

ケティアはどうしたらいいか分からなくなり、両手を上げ、こういう時の対応が得意そうなミーチャに視線で助けを求める。

しかし、

「ね〜貴方、2人とも、とっても仲良くなってるわよ」

「あー、嬉しいよ」

(「嬉しいよ」じゃないで、助けて!)

ケティアは何とかするしかないと思い、前世の記憶の引き出しを探してみたが、こんな経験もちろんなく、自分で何とかするしかない。

(あぁーも〜クソどうにでもなれ!)

ケティアは、自分の胸元に顔を引っ付けている、ヨシミの頭を撫でながら、

「必ず戻るよ」と、言った。

まるで、英語にしたらどこかで聞いたことがありそうなセリフだが気にしないでおこう。

すると、下からヨシミが頭を上げて、

「本当?約束だよ。嘘だったらヨシミ泣いちゃうよ。」と言った。

(可愛いい〜、俺の子にしたい)

「絶対に約束守るよ」

ケティアが、笑顔で答えた。

「うん」

もう1度、胸元にヨシミが顔を付けて、そのまま大人しくなった。

ヨシミは、そのままケティアの膝の上で小さくなったまま、動かずに3人の会話を聞く事にした。

ケティアから、頭を撫られるのが嬉しいのだろう。ヨシミは、満足そうな笑顔だ。

(もしかしてヨシミ、俺に気があるのか!)

ケティアの前世の悪い癖である。

ちょっとした事で妄想してしますが、ヨシミは、単純に自分お兄ちゃんに甘えているだけだ。

ケティアは1度冷静になり、両親に、学校についての、情報を貰うことにした。

「母さん、父さん、学校について色々教えて欲しい」


その後ケティアは両親に学校のことについて色々教えてもらった。

聞いた内容を説明するとこうだ。

ケティアが行く事になった学校は、地球の学校の超劣化版である。

いわゆるこの世界の学問は地球の学問よりも劣っていて、ケティアにとって全て知っている事をただ学びに行くと言う、超面倒くさいことをしなければいないのである。

流石に前世でバカだったケティアですらも知っている内容の授業である。

ちなみに学校自体にこれといった名前はない。

(いや、名前が無い学校って、なんやねんそれ。おかしいやろ、なんか怪しい学校じゃないよね!)

ケティアは、そんな事を考えていた。

そんな説明の後、10歳までの学校が終わったら、今度は義務では無いが、勉強する教科が魔法だけの学校があるそだ。

地球で言う大学のようなものだ。

ケティアはそれを聞いた瞬間目を輝かせた。

ケティアの『異世界行ったらやりたいことリスト』の中の1つ。


魔法学校の入学


である。

魔法に関しては、前世で勉強できなかったので知識がない。

そのためこの学校に行って魔法についての勉強がしたかったのだ。

この、魔法の勉強に関しては、ケティアのしたいことなので面倒くさいとは思わない。

自分のしたい事だけは、なんでも継続して続ける事が出来る。

「俺その魔法学校行きたい!」

ケティアは、目をキラキラさせながら2人に言う。

「あらまぁー、ケティちゃん勉強したいの、偉いわぁ」

「いいと思うよ、そこの学校で教育を受けてきなさい」

両親は、2人とも同情してくれた。

しかし、

「どう言う事、またお兄ちゃん居なくなっちゃうの?」

(ヨシミはやっぱり無理か)

ケティアが撫でていた手を、どかしてヨシミがケティアに問いかけた。

「ヨシちゃん、お兄ちゃんが行きたいって言ってるんだから、止めちゃダメよ!」

ミーチャが注意する。

すると、

「ヨシミも、学校に行かないとダメなの?」

ケティアに、では無く家族全員にだろうが、ケティアが優しく答える。

「10歳までの方だったら、ヨシミも行かないといけないよ」

「そうよ、ヨシちゃんも学校に行かないといけないの」

「だったら、お兄ちゃんにも会える?」

ヨシミが、ケティアをじっと見ながら問いかけてくる。

「うん、きっと会えるよ」

するとヨシミの目がキラキラと輝き、喜んでいるのがわかった。

すると、ヨシミがミーチャ達に向かって

「ヨシミ、学校頑張る、お兄ちゃんと学校でお話するの!」

どうやら、ケティアに会えると聞いて、嬉しくなったのだろう。学校に行くことを決意する。

「お兄ちゃん、頑張って」

(おそらく、魔法学校に対してだろう。)

「あぁ、頑張るよ」


そしてケティアは数日後、義務教育を受けるために学校に旅立った。


4年後


「あぁー帰って来たー!」

帰ってきても、ヨシミはまだ、あと2年は、帰って来ないが。

義務教育はやはり何も面白くなかった。

ただつまらない授業を毎日受けるだけの日々で、ケティアは毎日授業を寝ていた。

正直筋トレしてた方が何百倍も楽しい。

前世では、友達が最終的にいなくなってしまったので、この世界では友達を作ろうと努力した。その結果、何人もの友達の獲得に成功した。

その中に魔法学校に行くと言っていた、生徒もいたので、魔法学校では、前世と違いボッチという可能性は、無くなった。

学校にヨシミが通いだした後は普通に兄妹で楽しんだりしていたが、おかげで、男子生徒から、毎日嫉妬の視線を受けるはめになった。


この学校には定期テストがあり、ケティアは、4年間、全教科満点という逸材になっても良かったが、あまり目立ちたくなかったので、わざと平均点程で抑えていた。

学問に関しては、授業は寝て、テストでは適当に解いて、平均を取ればよかったが、問題は体育だ。


体育では脚力が化け物のケティアにとって苦痛でしか無かった。

まず50メートル走を平均点にするためにちょーーーーノロノロとゆっくり走らなければ行けなかった。

また、走り高跳びや走り幅跳びなどを、めちゃくちゃ優しく飛ばないと平均点にならないのである。

もしもケティアが本気で飛んだら、踏み込みの衝撃で、地面にクレーターができ、辺り一体の地形が変わってしまう。

別にケティア自信、周りと同じ速度で歩けば記録タイム的に、平均点になるので平均を撮るのは難しくはない。しかし歩いていたら、超怖い鬼の体育教師に怒られてしまう。

つまり、めっちゃゆっくり『走る』必要があるのだ。

ケティアからしたら、生徒全員の全力で走る速度は、歩いているのと何ら変わらないのだ。鬼の体育教師も例外では無い。

そのため、『走っているように見える歩き』を、 ケティアはしなければいけないのだ。

これがめちゃくちゃ難しい。

ちょっと走っているのが、わざとらしすぎたら、怒られるし、逆に歩いるよにに見えてもダメという、とてもハードな調節が必要なのだ。


そんなケティアの、つまんないと言うより、体育が鬼畜すぎた学校生活が終わった。


そして、4年後の魔法学校、正式名、『魔法師育成大学』に、ケティアは備えるため、今日も筋トレと気絶に毎日勤しんでいる。


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