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31 結婚休暇12日目:わたくしの王子様による救出 ※ステフ目線



「彼女に何をしている?」




 怒りに震えるそのバリトンボイスに、わたくしは驚きにつぐ驚きで体が震えるのを感じます。


 なんとミッチーが、男に羽交い締めにされたまま路地裏に引き込まれそうになっているわたくしを助けにきてくれたのです!


(えええーーーー!? どうしてここに!? 素敵! 格好良い! 最高! マイスイートハニー! 好きぃいい!)


 混乱の中、頭を駆け巡るのはそんな言葉ばかりです。

 わたくしはもう、ミッチーに抱きついてちゅっちゅしたくて、わたくしの口を押さえて羽交い締めにしている男が邪魔で邪魔で仕方がありません。


「なっ、何なんだお前は!」

「いいから手を離せ」

「お前に関係ないだろうが!」

「関係ある。彼女は私の妻だ」


(えええええーー!? しかもわたくしがステファニーだってバレてますの!? なんでぇええ!?)


 混乱ここに極まれりなわたくしを置いて、男達とミッチーが睨み合っています。


「よくもそんな出鱈目を……お前の妻だったら一人で出歩いてるはずないだろうが!」

「そのはずなんだが、何事も想定外のことはある」

「くそッ、舐めてんのか! こっちには人質がいるんだぞ!」

「さて、それはどうだろうか」


 ふと気がつくと、男の首元に槍の刃が触れていました。


「なッ……な、な……ッ!?」

「お前達が私の妻にこれ以上何かをする前に、お前の首が飛ぶだろうな」


 気がつくと、わたくしたちの周りは、護衛騎士達に取り囲まれて、3人の男達は皆、槍や剣の刃を突きつけられていました。彼らはミッチーの護衛についていた、マクマホン侯爵家直属の騎士達です。


「次期侯爵夫人を離せ」

「その汚い手をどけろ!」


 騎士達に凄まれて、三人の男達は抵抗する意欲を失ったようです。

 弱い者相手に罪を犯していた彼らは、強い者が相手になると気持ちの糸がすぐ切れてしまうようですわ。


「じ、次期侯爵夫人!?」

「ひっ……や、やめてくれ! 刺すなよ! 離す、すぐ手を離すから!」

「分かった、悪かったよ! ほら、ちょっと仲良くしてただけなんだ! なぁ、ご夫人様!!」


 ようやく解放されたわたくしは素早くミッチーに引き寄せられて、男達から引き離すように、その大きな背中に隠されてしまいます。


「マイケル。わたくし今、この男達に攫われそうになっていましたの。人攫いですわ!」

「こ、このくそアマァ!」

「――私の妻がなんだと?」

「ひぇッ……ち、違いまさぁ、旦那! 俺達は――」

「こいつらを連れて行け!」


 地の底から這うような怒りを含んだ命令に、護衛の騎士達は素早く男達を回収していきます。

 男達は、「違うんだ! 全部その女が!」「クソっ、覚えてろ!」と捨て台詞を吐きながら、引きずられるようにして大通りの方に連れて行かれました。


 そして、数人の護衛騎士とわたくしとミッチーがその場に残されたのです。




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