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新世界の神になろう――「小説家になろう」はあきらめました――勇者パーティーを追放されたけど可愛い女の娘getして勇者ざまぁする俺。おーぃ帰ってこいと言われてももう手遅れです  作者: 夢之崎ベル
勇者パーティーから追放されたけど女の子捕まえて幸せになりざまあする俺。戻ってこいと言われてももう手遅れです編
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世界征服を望む桃園の誓い


 そんな茶番が終わり。

 ラララは極めて楽しそうだった。


「はぁぁ面白かったぁ――。あぁ~。ハンスくん気持ちよかったよぉぉ――」


「ラララに楽しんで頂ければなにより」


「さぁハンスくん。後は今のをかっこ良く編集して全世界にばらまくだけね!」


「は?」


 俺は一瞬で凍り付いた。


(確かに映像は取っていたが、もしかして、あれを全世界にばらまくだって?)


 そんなことをしたら何が起きるのか?


「ほらハンスくん、あそこらへん! そしてあそこらへんにも! ルーちゃんたちが映像取ってたでしょう?」


 ラララを指で方角を指し示すが、遠すぎて何がなんだかさっぱり分からない。

 俺は暗部の人間であるため、その撮影しているルーミートや、撮影する技術の存在は指摘される前から知っていたが、その映像をどうするかまでには考えが及んでいなかった。


(もしもあの悪乗り映像が世界に広まったらどうだろう――)


 俺は考える。


 完全に世界征服宣言のように見えないだろうか?

 いや、「俺たち世界征服はこれからだ」とか完全に言ってしまっているぞ。完全に調子に乗りすぎた。


 ははは。いくらなんでも、そんなこと真に受けるやつなんていないだろう。

 そうだ! 言っているのはたかが小国の暗部の人間だぞ。

 ただのおっさんじゃないか。


 まぁ、その相方が魔王ラララだったりするのはいけない気がするが。

 さすがに魔王ラララが世界征服宣言をしたら、しゃれにならないのでは?

 もしかしたら、気のせいかもしれないが。


「あいや~、この映像ってラララが楽しむために取っているものだとてっきり思っていたのだが、世界にばらまくのはお願いします止めてください――」


 俺は迷わず土下座することに決めた。

 というかすでに土下座していた。


 そんな様子をにやりと笑いながら見つめてくるルーミートたち。

 それはまるでハンスさまざまぁ、とでも言いたげだ。

 彼らはきっと、その想いの一心で世界中にその映像を流すだろう。

 きっとすべてのコメントの一つ一つに字幕とか付けるに違いない。全カ国語対応だ。

 もしかしたら、壮大なオーケストラのBGMも付いてくるかもしれない。

 有名な作家だったらどうしよう。


(黒歴史どころの騒ぎではないじゃないか!)


「えーっと、全世界ってどのあたりに――」


「たとえばぁ。そおだなぁ。今の現魔王の知り合いとかぁ、私のお友達とかぁ」


 俺は魔王ラララの交友関係を聴いて背筋が寒くなる思いをする。

 一体どのくらいの広がりを見せるか分からない。


「例えば? 現魔王って?」


「んー。サウスフィールドのまわりで言えば《暴食之魔王たる》魔王ベルちゃんあたりが有名かしら? 《激情之魔王たる》魔王ジャック・ザ・ハートくんとかにも転送しておこうかしらねぇ?」


「やめてください、俺が死んでしまいます」


 ハンスは本気で土下座して謝った。


 そのうち魔王ラララをたぶらかした間男として、魔族中の敵にされてしまうかもしれない。


 それだけではない。のりと勢いだけで演じてしまったが、あれだと魔王たちも手伝いと称して本気で世界征服に乗り出してしまうかもしれない。

 もしもそうだとすると、俺は人類の敵認定とかされてしまうのではなかろうか。

 あぁ、彼女はラララ機関のトップで、その取引先は冒険者ギルドだったか。もしも万が一、冒険者ギルドにあれがばらまかれたら?


 終わった。完全に終わった。\(^o^)/

 死んだとしか言わざるを得ないだろう。


「えー。ハンスくんは死にはしないわよ。だいたいが現魔王って、みんな私の昔の部下とか、それに近い関係なんだからねっ。孫みたいなものよ! 冗談くらい通じるわよ。冗談くらい」


(えぇ。冗談じゃないんだけどね)ラララは口だけで割と本気だった。


「なんだ。助かった――」


「でも最近魔王になった、そう例えば《強欲之魔王たる》魔王リナちゃんあたりは知らないから、冗談が通じないかも?」


「冗談で済めばよかったなぁ――」


「まぁ、なるようになるんじゃない?」


 ラララは慰めるように声を掛けてくるが、本当になんとかなるのだろうか?


 せや! 今なら周りのルーミートたちを倒して――

 そう思い周囲を見渡すと、ルーミートたちは姿を消していた。


「あぁ、ルーちゃんたちなら動画編集をしに既に自分の巣に帰っていったね」


「お、遅かったかぁ……」


 これが――、後に人類と魔族を一つにする《世界征服を望む誓い》という名の厄災が世に放たれる、その瞬間であった。





 寒々とした青空が、俺の心に突き刺さるのであった。

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