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新世界の神になろう――「小説家になろう」はあきらめました――勇者パーティーを追放されたけど可愛い女の娘getして勇者ざまぁする俺。おーぃ帰ってこいと言われてももう手遅れです  作者: 夢之崎ベル
勇者も倒したし魔王としてはあとは人類を征服してみんなとお友達になり、グリコのポーズをしながらたこ焼きパーティーでも開きたいな編
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筋脳の志士

 サツマの地において新たに建築中のサウスフィールド御所にある王の間は、人を迎えるにあたり十分な広さがあるはずだが、その中心にいる人物の威圧的な魔力により、貴族たちは一部震えあがりながら並び立っていた。

 その人物の前には赤い絨毯が一帯敷かれており、その先には王座と、その王座にかしこまる現国王の姿がある。


 その現国王に対しその人物は歯に衣を着せぬ言動で、しかし綺麗なフォームで右手を曲げて臣下の礼を取った。


「おぅ! 俺様を臣従させたいんだってな!」


 ニヒルなギザ歯の魔王が、そこにはいた。


 《激情之魔王たる》魔王ジャック・ザ・ハートその人である。


 かの人物は、あまたの現地勇者を屠ったことで知られ、その使用する虹スキル:熱核爆裂弾(ニュークリアバレット)は広域地域攻撃魔法として恐れられていた。その魔法を使用された地域は草すら生えぬ不毛の大地になるという。


 その無礼な物言いに、隣にいた女性がキレた。

 ジャックの鳩尾に強烈な右フックを決める。


 その人物は――、《暴食之魔王たる》魔王ベルであった。


「ジャック! あなたラララちゃんに言われたでしょう! ちゃんとしなさい!」


 ジャック・ザ・ハートは鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔で苦しそうなうめき声をあげていた。


「くぉー。鳩尾はやめろ――」


「何か言った?」


 どかっ。

 バキっ。


 さらに魔王ベルはハイキックをジャック・ザ・ハートの頭に落とし、地面に叩きつけた。

 ジャックの頭を中心として床に亀裂が入る。


「あ、頭もやめろ――」


 だが、ジャック・ザ・ハートはそれにも関わらず元気そうだった。

 おそるべき耐久力である。


「現国王さま。彼が《激情之魔王たる》魔王ジャック・ザ・ハートと申します」


「おう! 俺がジャックさまだ! よろしくな!」


 言うなりさらにジャックの頭に蹴りが入る。


「せ、拙者! 魔王ジャック・ザ・ハートと申す。以後よろしく願おう」


 かなり変であるが、ついにジャックが折れて現国王に敬語のようなものを使いだした。


「よろしい」


 魔王ベルは屈服したジャック・ザ・ハートから満足そうにジャックの頭から足をおろす。


(だ、大丈夫なのかこいつは――。俺に制御ができるのか――)


 その様子に現国王はドン引きしているが、顔にそれを出さまいと必死である。


「それで――、俺様――(ドカっ。バキっ)、拙者は戦場を主戦場とする筋脳の志士でござるゆえ。おっしゃって頂ければ魔法一発でどの国でも容赦なく滅ぼしますゆえ! 滅ぼしますゆえ!」


 敬語なれしていないジャック・ザ・ハートの言動は、どうにも怪しかった。


(ここで、良きに計らえなどと言ったらどうなる事やら――)


 現国王は言えば解放感に浸れそうなその言葉を発するほど、さすがに馬鹿ではなかった。


「うむ。今は敵対する国は無いからな。自由に下がってよいぞ」


「はは――」


 なぜか土下座をし始める魔王ジャック・ザ・ハートを見ながら、現国王は頭を抱えるのであった。

 そんな国王に魔王ベルはさらなる厄災を告げる。


「あら? こんなことで頭を抱えますの? まだ《傲慢之魔王たる》魔王フアトロと、《色欲之魔王たる》魔王エディプス・コンプレックスの二人が残っていますのに――」


「あい分かった。明日にしよう――」


 現国王はさらに頭を抱えるのであった。








 ◆   ◆   ◆   ◆







「まったく、先代国王の所業にはまいったものだ」


 風呂上がりの現国王セカンドは裸に白のガウンという姿で、客間のソファーにどかりと座った。


「先代国王が何かしたというの?」


 その横に座るのは薄青色のパジャマ姿のティアラである。

 乙女ゲームの悪役令嬢であった彼女であるが、ヒロインの敵役であるがゆえに美しいその容姿は、現実のとなった世界であっても乙女ゲームの世界と同じ美貌を保ったままであった。


 そして今では国王の妻でもある。


「いや、《激情之魔王たる》魔王ジャック・ザ・ハートが今日は来てな。魔王ベルに引きつられて――、その噂に違わず狂犬っぷり。どうしてくれようかと」


「明日は魔王フアトロと魔王エディプスでしたか。魔王リナを合わせれば全魔王そろい踏みでしょう? あなたは大魔王とか名乗ったらどうかしら?」


「やめてくれ。完全に人類の敵じゃないか! いっそ、あいつらどこかの国で引き取ってもらえればどんなに良いが……」


「それよ!」


 急にティアラは閃いた。

 その発想を聞いた現国王は唖然としてしまう。



「は?」

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