出オチ
魔王たちがサウスフィールド王国に集結――
そしてその魔王たちがサウスフィールド王国に臣従をする――そんな報告は一瞬にして世界の各国に響き渡った。
◆◆◆アメジスト王国の場合――
アメジスト王国の王宮では、サウスフィールド王国から戻ってきた全権大使の報告を聞き、上よ下よの大騒動が勃発していた。
中でも恐怖に駆られているのはアメジスト王国の王族陣である。
「おのれ! サウスフィールド王国め。キョーの都が潰れたといえ、魔王を手懐け、魔王領全てを制したとあればまさに人類にとっての窮地ではないか!」
「魔王領からは豊富な米と呼ばれる食糧品、それに魔物由来の魔石や各種のマジックアイテムが産出されます。それが一気にサウスフィールド王国に流れるとなると国力の差は歴然となってしまうでしょう――」
「ぐぬぬ――。はやくなんとかしないと……」
「友好とかしている場合じゃない!」
「ここは人類の敵である魔王を討伐するためと言って、全国からの支援を要求しましょう」
「うむ。魔王のことだ。いつまでも臣従するとは思えぬ。そのうちに人類抹殺などと言い出すかもしれないからな。ここはノーザントロフ神奉国を盟主として檄文を書いてもらい、共同戦線を張るのが良かろう! 意義のあるものは――」
そうして、共同戦線を張るためにアメジスト王国は動き出すのであった――
◆◆◆パラチオン王国の場合――
時を同じくして、その報――聖ピーチ魔王国のパラチオン王国からの離脱とサウスフィールドへの属国化――を聞いたパラチオン王国は動揺の色を隠せなかった。
パラチオンからの独立のみならず隣国に寝返られただけにそのダメージは大きかった。
「くそっ。魔王ベルとの同盟を糾弾しすぎたか――」
「あの同盟は魔王ベルからの要請という名の脅迫のようなものでしたから、もう少し寛大な目で見るべきでしたな――」
「うむ。だが過ぎてしまったものは仕方がない。しかしサウスフィールド王国め、魔王たちを集めて何をするつもりだ?」
「サウスフィールド王国が集めた魔王には、あの虹スキル:熱核爆裂弾の使い手、《激情之魔王たる》魔王ジャック・ザ・ハートもおりまする。おそらく次の一手としては――」
「サウスフィールド王国を除く人類抹殺か何かか?」
「あぁ恐ろしや――。頼みとした魔王リナも今やおらぬ状況。なにに縋れば――」
「そうだ! 神に縋ればよいではないか!」
「神ですと! そんなことが――」
「お主。まさか我が国の北西にある国の名前を知らぬのか?」
「知っているに決まっているでしょう。あの水と商売の繁栄を願うウィンディーネ様を信奉するノーザントロフ神奉国! かの国は国の重要な決定の際に国教神であるウィンディーネ様を召喚し、信託を受けるという――まさか!」
「そう、かの国に人類滅亡を唱えるサウスフィールド王国に対抗する盟主になってもらうい、ノーザントロフ神奉国を中心とした一大連合を作るのだ! そうすれば我が一国ではない。サウスフィールド王国は四面楚歌の包囲網となる。さすれば彼の国も容易には攻めてこれなくなるだろう――」
「さっそくノーザントロフ神奉国に使者を出さねば」
「ははッ!」
そうして、パラチオン王国も一大連合をつくるために動き出すのであった。
◆◆◆ノーザントロフ神奉国の場合――
ノーザントロフ神奉国は宗教国家である。国教として、水と商売の神であるウィンディーネを信奉しており、その頂点である教皇は、神であるウィンディーネから1日に最大で30秒、神託を受ける力を有している。
「教皇さま。それでウィンディーネさまは何と?」
サウスフィールド王国の所業は大陸北部の人間から見ても脅威でしかなく、それに対応して水神はなんと言うのか、水神の教徒は無関心ではいられなかった。
滝行から帰ってきたアテナは、しかし暗い表情だ。
「それが――」
ちなみに、この世界の主神は主神カーキンであり、ウィンディーネはその従属神の一柱に過ぎなかった。
なお、現在の主神カーキンとはハンスのことである。
結果は――、決まっていた。




