武闘会
サウスフィールド王国の全貴族が集まる舞踏会は旧サツマ伯爵領――現在の名前はサウスフィールド王領の首都サツマにて行われた。
そこは本当に全ての貴族の当主、または当主の代理が集まっていた。
なにしろサウスフィールド王国の国王が代替わりしたという特別な時に行われる舞踏会である。もしも代理すら出せない貴族は、この舞踏会後に家が途絶えてしまうことも念頭に置かねばならないし、そこまでして敵対したいという貴族も存在していない。
さらには隣国からの使者も来ていた。昔から友好的なアメジスト王国と、聖ピーチ魔王国の二か国である。
もっとも――アメジスト王国が真に友好的か――と言われるとさまざまな議論を呼ぶところであったが。
特に聖ピーチ魔王国からは聖女である指導者のピーチ姫が直接乗り込んでくるという気合の入れようである。
そんな中、全貴族の中で目立つのはやはり上級国民の面々に他ならない。
・サウスフィールド王家 (旧サツマ伯爵家)
・キョー公爵家 (旧サウスフィールド王家/前国王の出身公爵家)
・ロングフィールド公爵家 (ティアラ第一王妃の出身家)
・アグリカル伯爵家 (亡くなった勇者に対する主要出資者)
・アインズ伯爵家 (当主は前国王の第一王妃/第一王子の実家)
・ラララ魔伯爵家 (当主はハンス)
・ライス国防魔伯家 (当主は魔王ベル)
これがサウスフィールドにおける7大上級貴族家だろう。
この中で最も国力の少ないのは、前国王が遊び半分で立ち上げたラララ魔伯爵家であり、最も国力の大きいのはライス国防魔伯家である。
魔王討伐に係ったアインズ伯爵家とアグリカル伯爵家はその勢力を大きく縮小中だ。特にアグリカル伯爵家は農商ギルドと関連が深く、長くロングフィールド公爵家と流通をめぐって争っていたことから、その力を大きく削がれる結果となっていた。
さらに言えばキョー公爵家は前王家であり、先のキョーの都焼き討ちから立ち直っていない状態だ。
結果的にはサウスフィールド王家とロングフィールド公爵家は、この騒動において最もその勢力を拡大したのであった。
「ごきげんようでございますことよ。国王さま――」
(さて――、来たか――)
本来は楽しいはずの舞踏会であるが、貴族たちの政争の場であることは昨今変わることはない。
現サウスフィールド国王に対して挨拶にやってきた魔王ベルに対して、国王はどんな反応を見せるのか――、その風景に貴族の面目は固唾を飲んで見守るのであった。
チーン
現国王にはそんなリングでの開始を始めるゴングの鐘音が聞こえたという。




