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新世界の神になろう――「小説家になろう」はあきらめました――勇者パーティーを追放されたけど可愛い女の娘getして勇者ざまぁする俺。おーぃ帰ってこいと言われてももう手遅れです  作者: 夢之崎ベル
勇者ざまぁされたのでキョーの都を灰にして大炎上させて見た。もちろん背景の山には「大」の文字を書きたい編
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禁門の変①


 その時が満ちるまで、王族であったとしても入ることを許されない場所――

 そんな場所がサウスフィールド御所の地下には存在していた。



 その名を禁門の間――



 地下であるため、真っ暗な闇の世界である。


 中央には大きな魔力貯蔵庫としての水晶と、大規模に描かれた魔法召喚陣が存在する。


 普段は水の底に鎮められたその魔法陣だが、国王が仕掛けを操作することによってその水は取り払われ、魔法陣は鈍い緑色の光を放っていた。

 仄かなその光に充てられて辺り様子が見えた俺は、その規模の大きさに一種の感動を得ていた。



 どうも! 最近主人公として影が薄い気がする俺ことハンスです。


 いいんだ。どうせ俺なんて暗部だもの。そもそも表で活躍したらいけないんだから。


「しかしーー、我が息子ながらまさか本当にキョーの都に火を放つとはな。このサウスフィールドももうおしまいだな」


 国王は感慨深げだった。

 俺を追放したときから、勇者はバカだとは思っていた。

 俺も五分五分と考えていた。だが、まさかあそこまでバカだとは思っていなかった。

 本来なら、国王の命に背いてでも勇者を暗殺しておくべきだったのだ。


「まだ第二王子がおられるでしょう」


「全ての罪を第一王子に背負わせてか? それと儂の引退で済めばいいんだが」


「でも良かったじゃないですか。敵をあぶりだせて」


「辞めてくれ。口先だけの世辞は。あの時、暗殺を命じなかった儂が惨めになるだけだ」


 国王は開かれたウィンドウに映る勇者をいまいましく眺める。

 魔法王朝時代に作られたこの場所では、その技術によりウィンドウシステムを有するものでなくても周囲の様子を映像として写すことができた。


 その勇者は炎の範囲魔法で楽しそうに街を焼いている。

 山には「犬」という大きな文字が見てとれた。


「なんと外道な――」


 そんな勇者の瞳は真っ赤に血走っている。

 あの勇者の症状は明らかに経験値酔いだ。

 人を斬ることでLvを上げる。人から奪うことでスキルを得る。

 確かに、魔物を倒すよりはるかに簡単ではあるだろう。


 だが、それは――


「そんなヤツにこの勇者召喚の陣を使わせることはできない。そうだろうハンス」


 国王が言う勇者召喚の陣とはすなわちこの魔法陣である。その術式の名を《勇者召喚術式》と呼び、世界三大術式の一つとされていた。


 なお、三大術式の残りの2つは、成人の暁にクラスを神から与えられる《成人の儀》と、男女が(つがい)になるときに執り行われる《結婚術式》である。


 さて、その異世界の勇者を呼び込むことができる《勇者召喚術式》だが、現在の勇者召喚術式には問題があった。


 使うにあっては大量の人の魂――すなわち人死にが必要なことと、召喚した異世界(かがわ)の勇者がもし未成年であった場合、召喚した瞬間に大爆発を起こして即死することである。


 特に大爆発を起こして死ぬことはいただけない。


 この世界は《どくしゃー》に支配されたゲームやインターネット上の架空世界だということを主神であるこの俺、主神カーキンは知っている。

 異世界(かがわ)から見るとここは架空の世界なのだ。

 それであるがゆえ、異世界(かがわ)の条令の影響を大きく受けるのである。

 なんと運が悪いことに、A社の大阪リージョンにある異世界転生用Webサービスはセキュリティの関係上公表されていないが、香川県(かがわけん)に在籍していた。



 ここまで言えば分かる人には分かるのかもしれない。



 香川県には、青少年に対してゲームやインターネットを規制する条令があり、夜になったり、一定時間が経過するとそのゲームなりインターネットができなくなるという条令があるのだ。

 ゲームやインターネットが出来ない状態となった架空の人間は、みんな死ぬしかないだろう。

 香川県の子どもたちには、ゲームをしたいという基本的人権すらありえないのだ。少なくとも裁判上で県の人間はそう言い切っている(*1)。


 もしも、そんな大爆発が起きればサウスフィールドだけでなく世界全体に厄災が振りまかれることだろう。かつて栄枯を誇った魔法王朝(かがわ)が盛衰したのはそれが原因であるのだから。

 勇者が成人かどうかはランダムであり、いわば博打だ。その博打に乗りたくはない。


 そうならないようにするために、しかし《条令》が改正され、またいつか利用できるように封印してきたのが代々のサウスフィールド王家の存在意義であった。

 だが、その存在意義を破壊しようとするものがいる。

 それを、ほかならぬ王族の人間から出してしまっていた。


 国王は反省した。

 勇者はそのあたりの事情を知らないために、今回のような暴走に走ってしまったのだろうと。

 国王に即位するまで、そのあたりの細かいことを教える必要はないと教えてこなかったのは失敗だっと。


 勇者召喚術式用の魔法陣の光る緑のラインは、その輝きを少しづつ増してきていた――


(*1)

家でゲームするのは「基本的人権」じゃない? 香川ゲーム条令訴訟、双方の対立激化

https://www.bengo4.com/c_18/n_13226/

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