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新世界の神になろう――「小説家になろう」はあきらめました――勇者パーティーを追放されたけど可愛い女の娘getして勇者ざまぁする俺。おーぃ帰ってこいと言われてももう手遅れです  作者: 夢之崎ベル
勇者ざまぁされたのでキョーの都を灰にして大炎上させて見た。もちろん背景の山には「大」の文字を書きたい編
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襲撃! パールハーバー


 意気揚々と魔族領の真珠湾に乗り込んで来たのはサウスフィールド騎士団の若手の集団であった。


「おのれぇぇ! 魔王どもめ! これ以上サウスフィールドを好き勝手にはさせんぞ――」


「よーし! 建物に火を放て――。魔物どもを速やかに排除せよ――」


 西鳩(セイ・ハートオフラインの主要キャラである、騎士団長の息子もその中には含まれている。

 名目上は魔族の駆逐であり、魔族たちを追い払うことでサウスフィールドの威厳を高めようとする攘夷派勤王の獅子であるのだが、農商ギルドから多額の支援を受けている彼らには別の目的があった。


 それは、物資の略奪であった。


 真珠湾には今、ロングステートやサツマから集められた多くの生麦などの物資、それに対して魔族領から集められた豊富な生米や鉱物などが山のように存在している。とくに鉱物である魔石は主要なターゲットだ。


 それを勇者によってキョーの都が廃塵と化したあと、復興に必要な資源として有効活用しようというのである。マッチポンプにおけるポンプの役割だ。



 真珠湾攻撃の奇襲は――、結論として成功していた。



 人間側の商人は騎士団の旗を見ただけで逃走し始めたのだ。

 それはそうだろう。魔族や魔物が襲撃するのは想定内であるが、誰が騎士団が襲撃するなどと想像するだろうか。

 商人たちはそれぞれ冒険者ギルドから派遣された冒険者たちや、自前の兵力を有していたが、後々トラブルを避けるため、まずは逃げることを優先させていた。

 中には余裕で騎士団の連中を倒す実力があったとしてもだ。歯噛みをしていたに違いない。

 真珠湾で襲撃側の騎士団に立ち向かったのは魔物であり、オークはオーガーといったそれなりの大型の魔物もいた。さらに、そのトップとして君臨する魔王ベルの四天王が一人、《中心の卵》ミドルエッグの姿もあった。


 その姿は卵のプロテクターを防具として着込んでいることから、どうにも親子丼を連想させるには十分な白と黄色で構成されている。

 言うなれば防御主体のタンク職といえよう。その湾曲装甲による斬撃無効は脅威だ。半面、攻撃力がそれほど高くないというのは見て取れる。周囲の攻撃職であるオーガーがそれを補う形だ。


 騎士団はそんなミドルエッグに集団で襲い掛かった。


 特に騎士団長の息子は、西鳩(セイ・ハートオフラインの攻略キャラの一人と言うこともあり、突出した戦闘力を有し、弧討割り(こだわり)なる固有スキルを取得している。



弧討割り(こだわり)!」



 そうスキル名を叫びながらミドルエッグの卵装甲を叩くと、弧を描くような亀裂が走り、一瞬にして卵装甲を叩き割った。そう、斬撃無効の湾曲装甲だが打撃には弱かったのだ。キミも机の角で卵を割ったことがあるだろう? それだ。


「ぐわぁぁーー」


 装甲に亀裂が入り動揺するミドルエッグに複数の騎士が襲い掛かる。

 ミドルエッグは四天王であるにも関わらず、簡単に倒されてしまった。


 魔物たちはリーダーであるミドルエッグが倒されると当然のように統率が失われ、ちりぢりになって壊走を始めてしまう。

 それは、オークやオーガーといった魔物の特性上しかたのないことであった。

 すなわち、リーダーが倒されるとまともに統率されない。


 まるで信長の野望の戦国武将と兵士の関係である。


 騎士の面々は潰走を始める魔物たちを次々と倒していく。

 小一時間も立たないうちに大勢は決した。


「よし勝どきをあげろ!」

「「えいえいおー!」」


 騎士団たちは勝利に酔いしれる。


 だが、弧討割り(こだわり)卵は生きていた。


 ミドルエッグは食いしん坊であり、みんな元気に晩御飯を食べることを夢見て、日夜研究に余念がなかったのである。


 ミドルエッグは手とり出した魔道具のスイッチをぽちりと押す。定食屋や居酒屋によくある、押すと店員がやってくるアレだ。

 それは通信の魔法か何かだったようで、周囲には何もおきはしない。


 だが騎士団にとって地獄の始まりは、確かにここから始まったのだった―――






 ◆   ◆   ◆   ◆






「大変です! ここには――、食糧等の物資がほとんど残っておりません!」


 騎士団の息子がその知らせを聞いたのはそのすぐあとであった。


(真珠湾攻撃で奇襲をしたはいいが、まさか、そこに存在しているはずのモノが存在していないとは――)


 騎士団たちは真珠湾にある倉庫をかたっぱしはら調べていく。

 もちろん、火を放ちながらであった。



 そして、彼らは見てしまう。

 人一倍大きなその施設の扉を開けたとき、そこにいたほぼ橙色の魔物の姿を――


 その数はおよそ48オージス。

 彼の魔物たちはオークやオーガーとはまったく異なる風貌をしていた。

 2足歩行の化け物ではあるが、足は強化されており、ぴょんぴょんと跳ねそうである。


 そして最大の特徴――腹の前に付けられたポケット――

 そんな特異な魔物の名前を騎士団長の息子は知っていた。



(こいつらは、まさか豪州のルーミートか!)



 もしもルーミートであればここの物資がほとんどないことの理由が付く。



(さてはこいつらが真珠湾中の物資をしまってしまったのか?)



 ルーミートがルーミートであるためのその特徴――それは腹にあるポケットにある。

 あれはそう、アイテムボックスの原料となるフォーディメンジョンポシェットだ。


(あれがこんな大量にいるとは――、俺にもツキが回って来たな)


 アイテムボックスは大量に物資を運搬することができる三大マジックアイテムのうちの一つ。

 その価格はたとえ1つと言えど天井知らずである。


「おのれ! 魔獣ごときがぁ――、ここの物資をしまってしまうとは、盗人猛々しいにもほどがあるわ!」


「あなたに言われるいわれは無いわね。それは――」


 突然の美声――


 そのルーミートたちの中央に一人の少女がいた。

 ルーミートを従えし魔族の名前に、騎士団長の息子は心当たりがあった。


「お前はまさか――、かつての過去の異世界の勇者が倒したという、《怠惰之魔王たる》魔王ラララか!」



 魔王ラララ――、突然の大物に騎士団長の息子は警戒する。

 だが――、どうにも強そうには見えない。

 これであればルーミートさえ倒せば好きにできそうだ。かつての勇者のように。


 蜂蜜のような金の長髪、その白い肌は雪のようにきめ細かい。

 低身長で幼さが残るその姿は嗜虐の心をくすぐってくる。


 そんな心を見透かすように。騎士団長の息子の視線を遮るようにルーミート達が立ちはだかった。


「おい。お前ら邪魔だ。死ね!」


 騎士団長の息子はルーミートに襲いかかる。

 ルーミートたちは一斉に戦う姿勢を取る。


 魔王ラララが叫んだ。


「詠唱! 立ち向かえ! ルーミートぉぉ!」


 タクトのようなモノを振り、ルーミート達が陣を作る。

 それはまるでライブを踊るアイドルのよう。魔物だが――


 そのルーミートたちは一斉に喋り始めた。

 それも共通語である。


「ルーミートだよ~」


「ルーミートだよ~」


「ルーミートだよ~」


「ルーミートだよッ↑」


 ルーミートのボルテージはだんだん上がっていき最高潮に達するとまるで大阪弁のような口調で振り返りながら動きを合わせた。


「「「でゅーわぁぁ!」」」


「やかましいぃ! 食らえ! 弧討割り(こだわり)ぃぃ!!」


 騎士団長の息子は、そんなルーミートたちに斬りかかる。

 先ほど、四天王ミドルエッグすら倒した虹スキル、弧討割り(こだわり)である。


 しかしルーミートたちに打撃はほとんど意味をなさない。

 全ての魔物の中で最大の共役リノール酸を含有するその肉体は、脂肪燃焼効果と強い筋肉増強効果があり、斬撃ならばともかく、打撃にはびくともしなかったのだ。


 ぽよん。


 およそ肉を鉄で叩いたかのような軽快な音が響き渡る。


「さぁルーミートたち! 今度は私たちの番よ。今こそ! その真名(まな)を開放する時が来た!」


 魔王ラララの声にルーミートたちの雰囲気が変わる。

 豪州のさんさんと輝く光を十分に受け、現地の野野菜をたっぷりと食したその魔物たちの周囲には、まるで水蒸気のように霧がかる赤い魔力が漂っている。


 輝ける()の魔物こそは――


 過去・現在・未来を通じ戦場に散ってゆく全ての獣たちが今際の際に懐く、哀しくも尊き夢――


 その意志を誇りと掲げその信義を貫けと糾し今豪州の獣王(ルーミート)は奇跡の真名を高らかに唄う――


 ()は――






 そう、ルーミートは彼らの本当の名前ではない。


 本来は異世界の動物であるその名前は、この世界ではあまりに「強すぎる」のだ。


 そのあまりにも「強すぎる名前」がために、その表出は封印されていたのである。


 その名前を封印を開放されたルーミート――いや、カンガルーの攻撃速度はおよそ音速を超えていた。


 曲線を描くそのフックはまるで曲線のマエストロ――


 そのストレートは直線のソムリエ――


 その攻撃の速度はまるで一陣の風――


 そしてその軌跡は――、金色(こんじき)のケツバットと言うに相応しい。


 多重の攻撃により、騎士団の男たちは一瞬にして――死んだ。


 真珠湾で鳴く襲撃者(きしだん)たちの声は、既に聞こえなくなっていた――








「これで少しは、復興のたしになるのかしら?」


 一人の悪役令嬢のことを思い出しつつ魔王ラララは一人、つぶやいた。


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