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そして学園に新たなる転入生か?


 突然にしてサウスフィールド王都のキョーの都に現れた真っ黒な駆逐級飛空艦。

 その真っ黒なボディに赤と白の入ったクロフネの正式名称は奇城 茨魏魏ヶ島(いばらぎおにがしまと言うらしい。


 そこから現れた魔王ベルを国王は言葉だけで制したという。


 王が言うには裸の付き合いで属国化することになった――というが、いったいそれがどういう意味を指すのか、意味が分かる者はいない。




 驚きもあろうというものだ。




 それも、圧倒的な不平等条約――魔王ベルが従えるライス国の属国化という結果でだ。

 王国を守るべく存在する勇者を追放してしまったというハンデを覆し、国王は国を守ったのだ。


 唯一、サウスフィールド王国の暗部と宰相はその事情の詳細を知っているようだが、暗部や宰相は当然の事ながら口が堅く、詳しい情報が貴族たちに流れることはない。


 魔王ベルには伯爵の地位が与えられ、国の名前もライス国防魔伯国となることになる。

 サウスフィールドで伯爵や公爵の地位に就く上級国民はこれで5家となった。


 王家であるサウスフィールド公爵家、ロングフィールド公爵家、サツマ伯爵家、アグリカル伯爵家、アインズ伯爵家、ラララ魔伯爵家、そして、ライス国防魔伯家である。


 ただし国内では攘夷派と開国派の間で大いに割れていた。


 攘夷派とは、国を憂い国王を立て魔族との通商反対や撃退して鎖国を通そうとする排外思想の派閥である。

 主たる面々は、現在は追放された勇者を排出しているアインズ伯爵家、サウスフィールド内の国内物流の多くを担うアグリカル伯爵家が中心メンバーだ。


 アインズ伯爵家は、当主である第一王妃自体は開国派であるが、アメジスト王国の計略によりその下々の配下が勇者を支援側に回っているというのが現状だ。


 アグリカル伯爵家は農商ギルドを有しており、最近台頭してきたロングフィールド公爵家とは敵対的であるため、攘夷派の旗印として勇者を陰から支援している。


 ここでサウスフィールド王家とその王家を守る騎士団は静観を決め込む中立派を貫いている。これから騎士団は魔族たちと交流し、国力を向上させるという方針ではあるが、形としてはロングフィールド公爵家の交易や交流がうまく行くかの様子見をしていた。最終的に攘夷派と開国派の勝った方に乗る方針というのが、一番分かりやすい表現であろうか。


 開国派の筆頭であり、攘夷派との間で矢面に立っているのは現在のところ、ロングフィールド公爵家であった。その次にサツマ伯爵家が後に続いている。

 ロングフィールド公爵家は以前から農業分野で革新的な技術を広めているため、アグリカル伯爵家とは敵対関係である。メロン除草剤事件の後は特にそうだ。今回の魔王ベルとの交易の正式な開始とともに関係はより冷え切ったものとなっている。サツマ伯爵家は一族の娘が第二王子を産んでおり、ロングフィールド公爵家の令嬢と婚約関係にある。アメジスト王国の計略の影響も受けているが、王家によりつつも概ねは開国派であった。


 最後にライス国防魔伯国とラララ魔伯爵家であるが、これは言うまでもない魔族領に領地を持つ面々であり、説明するまでもない開国派であった。


 そんな中、ライス国防魔伯家から学園に魔族の姫が来るということで貴族の学園は震撼が走る。

 学園の保健医つまり女医である。友好の印だそうだ。


 その女医というのは――《暴食之魔王たる》魔王ベルであった。


 魔王のお仕事ってそんなに暇なのだろうか。

 ともかく、魔王ベルが薄ピンクの白衣を身に着けたその姿はどうみてもコスプレのようにしか見えない。


 保健室に用務員のおじさんとしてやってきた俺ことハンスは、その魔王ベルにお茶を振る舞いながら尋ねた。


「なぁ、もうちょっとなんとかならなかったのかそれ?」


 魔王ベルは悩まし気に髪をかきあげ、うなじを艶めかしく見せつけてくる。


「だって、私の体格だと学生とか無理でしょう?」


 うむ。確かに魔王ベルがセーラー服とか、確かにそれは年齢を考えろといいたくなるな。

 魔王ベルは20台後半の美魔女に見える。

 俺にとってはストライクゾーンではあるが、学生といったらさすがにストップがかかるだろう。

 魔王ベルが学生服を着ていたら絶対吹き出す自身が、俺にはあった。


 しかし、魔族に年齢は聞いてはいけない。


 ちなみに魔王ラララは400歳を超えており、同世代ということは口が裂けても言ってはいけないことだ。女性の年齢を聞いてはいけないのは、たとえ《どくしゃー》の住む世界といえど同じことだろう。


「はぁ。女医者ねぇ。いっそのことサウスフィールド王国の病院とか作ってしまえとかいいたくなるのは俺だけか?」


「?」


「だって魔王の魔力で治癒魔法するんだろう? 相当な怪我や病気でも治りそうじゃないか?」


「なに? ビンビンにして欲しいの? ちなみに、私は《暴食之魔王》と呼ばれているのだけど?」


 美魔女のフェロモンが周囲に振りまかれる。


「あははは。間に合ってます」


 次の日、国王の『さぁ、ここに病院を建てよう!』という掛け声のもと、病院建設が始まったのはまた別の話である。

 攘夷派の一部でも開国派に転じさせようという苦肉の策だが、結局のところ効果は微妙になりそうだ。


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