楽しい魔法の植物――タケ――
楽しい魔法の植物――タケ――
世界一性徴の速い、緑色の節を有するタケは1日で最大1mもの性徴を見せる。
タケとは、そんな楽しい魔法の植物である。
特に、この世界ではタケとは――温泉に欠かせない植物であり、獅子すら脅迫するという、≪ししおどし≫なるマジックアイテムを制作するのに欠かせないものとして知られている。
この世界で≪ししおどし≫は獅子撃退のマジックアイテムとして非常に高値で取引されているのだ。
そんなタケではあるが、生息域は極めて少ない。
タケは世界一性徴が速く、放置すればあっというまに育つ。
その特性がゆえに繁殖を防ぐためにニンゲンの世界では殲滅されがちなのだ。その勢いといえば海外で爆発的に繁殖してしまった侵略的外来種、葛のたぐいか、海外の美しいサンゴ礁を真緑に彩る日本のワカメ、沖縄の特産で有名なゴーヤーなどと同じくらいのうんざり感である。
農家にとって、タケは見たら狩る。そういう植物なのである。
下手に放置すればあっというまに緑で自然あふれる豊かな魔族領の出来上がりなのだから当然だ。
地元地域に魔族領。農家に取っては身の毛がよだつ恐怖であろう。
だが、そんなタケを求める魔人がいた。
なんと! その魔法の植物タケをT字型に組んで頭にぶっさし、回転させることによって空を自由に飛空ぶことができるのだ。
空を自由に飛びたいな。
そんな人々の夢をかなえてくれる究極の三大魔道具が一つ。
その名をずばりヘリコプター! (ぴかぴかぴーん!)
※ 決してタ〇コプターと呼んではいけない。
※ これは≪さくしゃー≫の心の安定を守るために必要なことです。
当然だがそんなタケを人間の頭にぶっさせば出血多量で死んでしまう。殺人は明らかな犯罪であった。空を自由に飛びたいという欲望は簡単には満たせないのだ。
だが、この世界ではヘリコプターをモノの頭にさすことでもその欲望を満たすことができる。
代表的なものといえば、駆逐級飛空艦、奇城 茨魏魏ヶ島がそうだろう。
要所要所にそのタケをぶっさして回せばほら、あら不思議。あっという間に魔法の力で空を飛ぶことができるようになる。たとえそれが鹵獲され、さまざなものをはぎ取られた後のものであってもだ。
さらに移動しようとするのであれば他の魔法で推進力を得る必要があるのだが、そこはすでに空を飛んでいる状態である。すこしの魔力で押せば簡単にそれは移動することができる。
風を与えればその風の流れによって風下に移動するのだ。素晴らしいことこの上ないだろう。
そう、タケさえあれば――
魔王領において、そのタケは大熊猫さんと呼ばれる魔獣が占有していた。
大熊猫さんとは、白い下地に黒の斑点を付けた、クマのような大男の猫型獣人魔獣であり、そのタケを主食としていたのだ。
そのタケを奪おうと、魔王ベルの四天王が動く――
「タケが欲しいパン? ならば我を倒して見るパン!」
パン!
その大熊猫さんは魔人によってワンパンで倒された。
一撃で沈んだのだ。
さすがは魔王ベルの四天王の一人であった。
そう、そんな大熊猫さんを倒したのはそのルビを振ることさえ憚られし、恐れを知らぬ黒き鼠の魔獣――四天王が一人、《魔獣先生》三つ鬼鼠であった。
「そんな――、黒い鼠ごときに、この大熊猫さんが倒されるとは――」
「ふっ。いかな大熊猫さんと言えど資本主義には勝てまい――」
三つ鬼鼠は、大熊猫さんを倒す前にひそかに袖の下を渡していたのだ。
ちゃっかりとそれを受け取る大熊猫さん。
しかしこの大熊猫さん。本当に猫さんなのだろうか。
そのまま放置しておくとクマなのか、猫なのかの争いが各地で起きそうである――
クマ!
猫!
クマ!
猫!
笹食ってる場合じゃねー--!




