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新世界の神になろう――「小説家になろう」はあきらめました――勇者パーティーを追放されたけど可愛い女の娘getして勇者ざまぁする俺。おーぃ帰ってこいと言われてももう手遅れです  作者: 夢之崎ベル
勇者パーティーから追放されたけど女の子捕まえて幸せになりざまあする俺。戻ってこいと言われてももう手遅れです編
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世界の魔王たちの反応②

 聖ピーチ魔王国――


 その昔、初代の聖女ピーチが、その他100人の聖女とともに魔族に襲われて荒廃した都市を取り返して興した、パラチオン王国の属国である。

 しかし聖女というものは神聖魔術を使う《聖女》というクラスを≪成人の儀式≫において得た女性のことを指す。そして神聖魔術は治癒が防御を得意とする魔術体系である。攻撃力は皆無といって良いだろう。

 その聖女たちが魔族に支配された都市を再占拠できた理由。それが、国の名前の最後に『魔王国』と付く理由でもあった。


 聖女たちは魔族を、そして魔王を味方に付けてその他の魔王たちと戦ったのである。


 その魔王の名は《強欲之魔王たる》魔王リナ。


 正確には、かつての古魔法王朝(かがわ)由来の術によってゴブリンから美少女に擬人化した魔族を、さらに魔王化して戦わせたのであった。

 その擬人化術式はピーチ姫だけに秘匿はされてはいるが、その恩恵は人々に与えられており、国の発展に大きく貢献している。



 そして、擬人化し美少女になったゴブリンと仲良くする技術も開発されていた。

 その術の名前を『きびだんごう』術式という。



 きびとよばれる魔法素材を用いてお腰に身に着けたあと、魔族に与え、談合することにより魔族と人はとても仲良くなれるのだ(ただし、その魔族がきびだんごうを好物としている場合に限る)。

 この世界で、「ピーチひめさん、ピーチひめさん。おこしにつけたきびだんごー(以下略」という呪文は、有名な童話の一節となっており、知らないものはいないとまで言われている。



 しかしゴブリンと言って忌避すること無かれ。



 ゴブリンでも擬人化――正確には擬魔人化するとみんななぜか可愛く美少女になるのである。それは競走馬が擬人化すると美少女になるのと同じくらい自明なことであった。

 さらにはゴブリンであるためごりごりのロリで身長が低かったり、人より魔術が苦手であったりはするものの、容姿端麗でかつ各種冒険に耐えれる筋力を有している。そんな美少女の姿で身長より大きな剣を振り回すその様は圧巻だ。


 冒険者だけでなく、聖女たちの間でもゴブリンの女の子は大人気である。

 なんといっても可愛い。ただただ可愛い。


 いまではガチャと呼ばれるシステムにより、擬人化した美少女ゴブリンたちは冒険者にランダムで配られているほどである。


「素敵な仲間が増えますよ!」


 ――そう言いながらガチャによって、冒険者ギルドにやってきた緑髪の職員が、ギルドの掲示板に白や金の張り紙をし、冒険者に新しい美少女がやってきたことを知らせる様子は、一種の風物詩のようにもなっていたのである。


 そんな一見平和な聖ピーチ魔王国であるが、そんなところにやってきた一つの魔水晶に、首脳陣は悩まされることになる。


 王城のとある密室にあつまる首脳陣たち。

 聖女であるピーチ姫、王配である国王、持ってきた暗部の男、そして魔導士で宰相の男といった面々である。


 ちなみにピーチ姫は良く魔物に浚われたり、配管工が助けに来たりはしない。たぶん。


「これは一体――」


 宰相の男がその魔水晶をしげしげと眺める。

 それを見ている魔王リナは不機嫌そうだ。


「私はゴブリンを擬人化した魔王よ? そんなことが分かるわけないじゃない?」


 魔王リナは堂々としている。単に開き直りとも言う。

 そんな魔王リナを横目に暗部の男はしどろもどろになりながらも正解を答えた。


「失礼ながら――、映像器かと」


「へぇ。暗部の人間がなぜそんなことを知っているの?」魔王リナの圧は強かった。


「それは、はい。これらの品は盗聴などするときに使いますので」暗部の男が語る。


「なるほど。では早速映しなさい。旧南部魔王国が魔獣たるルーミートが持ってきたと言う一品――、尋常ではあるまい」宰相が促した。


「それはーー、面白そうね」魔王リナは興味が出てきたようだ。


 そして暗部の男が映し出した映像――そこには、少女とおっさんが世界征服しようとか叫んでいる謎の映像だった――


「ねぇこれ、ホンモノ? あの魔王ラララ本人?」


 荒唐無稽な内容に、いままで口をしてこなかったピーチ姫が尋ねる。本物かどうか疑わしいと感じたようだ。

 聖ピーチ魔王国の首脳陣には魔王ラララと直接の面識がなく、顔だけでは判断が付かないようだ。


「おそらくホンモノかと。それを分からせるように、ルーミートから産物であるアイテムボックスを10個、頂戴しておりますので」


 アイテムボックスとは世界三大魔道具のうちの一つで、三大魔道具の中ではもっとも手に入りやすく、しかし大変に希少なものであった。


「そのアイテムボックスの大きさは?」


「部屋一つ程度でしょうか? 保有魔力量から見て」


 ピーチ姫はその言葉に絶句する。


「凄いわね。金貨1,200枚は下らないわ」


「えーっと、なぁに? ホンモノだとして世界征服しようとして来たら、この魔王リナが全てぶったおせば良いのでしょう?」


 魔王リナは魔法王朝(かがわ)産ではなく、聖ピーチ魔王国で擬人化された新興の魔王であるため魔王ラララの凄さがいまいち分からない。


「そして、そのルーミートたちから袋を全部剥げば良いのでしょう?」


 不敵にリナは笑ったが、ピーチ姫の意見は違うようだった。


「見た目はどうか知らないが、この魔王ラララというのは大変に強いのではないかね。宰相は何か知っている?」


「魔王ラララ――、確か隣国のサウスフィールドの祖先が以前に倒したという噂を聞いたことがあります。しかし復活したのか――」


「では宰相。サウスフィールドに探りを入れたまえ。だいたいこちらも魔王を有している国だ。向こうにも何か行っているのであれば、何か情報を持っているかもしれない。あぁ、本国パラチオンからも何か言ってくる可能性があるか――」


「本国はこんなことが無くても、魔王リナを渡せとか、きびだんごうの秘術を出せとかうるさいですからな。分かりました。ともかく両国の密偵を強化しましょう」


「ねぇねぇ。この魔王リナの出番は?」


「リナちゃんは後でね。今度だんごをあげるからさ」


「わーぃ。きびだんごだー」


(さて、どうなることやら――)


 ピーチ姫は一人ため息を突く。





 空は夕暮れから闇に包まれようとしていた――

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