表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Subjects Runes ~高速詠唱と現代知識で戦乱の貴族社会をのし上がる~  作者: くまっち
第2部 第2章 決戦!アージェント王国VSブロマイン帝国
231/426

第225話 古代魔法都市ジオエルビムの秘密

 クレイドルの森ダンジョンの魔導障壁を越えると、俺たちはジオエルビムに到着した。フリュたちは何度か訪れているので特に驚きもなさそうだが、アルト王子はキョロキョロと辺りを見回す。


「アゾート、ここはどこなんだ?」


「古代魔法都市ジオエルビムの「最初の建物」と呼んでいる建物の中です。この部屋はクレイドルの森とジオエルビムをつなぐ転移室みたいなものですよ」


「ここがあの古代魔法都市ジオエルビムの中なのか。部屋を見ただけでもアージェント王国とは全くことなる文明だと分かる。これはすごい!」


 ここには魔法協会の研究員か監察局の職員しか出入りしないため、アルト王子だけでなくエリザべート王女たちもみんな衝撃を受けていた。


「だが帝国に行くのになぜジオエルビムに来る必要があるんだ」


「実はジオエルビムは、シリウス教国の地下にあるのではないかと最近考えるようになったのです」


「シリウス教国の地下? ここがか?」


「ええ、クレアに言われるまで全く気がつかなかったのですが、シリウス教国の強力な魔導障壁のエネルギーは、このジオエルビムで作られていると考えるといろいろと辻褄が会うのです」


「ここが王国ではなく、シリウス教国・・・」


「王国内にはここで生成された膨大な魔力が噴き出す場所が見当たらないのがよく考えれば不思議でした」


「・・・だが、ここがシリウス教国だという理由にもならない。この大陸の他の場所かもしれないし」


「確かにその可能性は否定できませんが、それはそれで別に構わないじゃないですか。アージェント王国の外に出られるのなら」


「なるほど・・・」


「帝国にはどのようにして侵入しようか迷っていたのですが、まさかダゴン平原を突っ切るわけにも行かないし、最初はシャルタガール領とブロマイン帝国の間にある山脈を越えていくことを考えてました。でもこれだと時間と労力がかかりすぎるのです。海路は当然帝国海軍が警戒していて危険ですし」


「それでダメ元でここから地上に出てみようということか」


「ええ、うまくいけばシリウス教国から帝国に出られますし、それにここにきた目的は他にもあるので」




 俺はみんなを先導しながら長い廊下の突き当りにある展望室に入ると、奥にある扉を開いて中に入る。その部屋には小さな端末が壁に取り付けてあり、それ起動させるとさらに奥の扉が開いた。


 エレベーターだ。


 この展望室は建物の4階にあり、ここのエレベーターを使えば各フロアーへの行き来ができる。俺は全員がエレベータに乗り込んだのを確認すると1階のボタンを押した。扉がゆっくりとしまって、エレベーターが下降する。俺たち転生者組以外は驚きのあまり床にしゃがみこむ。


「な、なんだ。床が揺れているぞ」


「この部屋、動いてる?」


 みんな騒いでいるが、面倒なので放っておくとすぐに1階に到着した。 


「着きましたよ、みんな降りてください。ここが格納庫と呼ばれている部屋です」


 格納庫には相変わらず様々な大型魔術具が並んでいたが、数はかなり減っていた。クレーンやトラックはディオーネ領の工事のために持ち出されており、フレイヤーは俺たちで2機使用している他にも、アウレウス公爵家に2機、シュトレイマン公爵家にも2機が持ち出されている。


 この間まで、それぞれの公爵家にマールとクロリーネが教官として出向いていたが、二人ともパイロットの教育は手間と時間がかかるので大変だと呟いていた。あいつらわりとすぐに操縦がうまくなってたと思うが、ひょっとして才能があったのかな。




 そんなことを思い出していると、大型魔術具を見た3人娘が騒ぎ始めた。


「これって秋の叙勲式でアゾートがパレードに使ってたやつでごわす。トラックとフレイヤー」


「アゾートはここの古代遺物を持ち出して、パレードに使用していた件について」


「さすがアゾート様はやることのスケールが違う。ぜひわたくしめをハーレムに」


「3人娘もこれに乗ってみるか?」


「え!? いいのですか」


「魔法属性とそれなりの魔力があれば誰でも乗れるから、後で試してみるといいよ」


「「「いやっほー!」」」


 3人娘だけでなく他のみんなも古代遺物に興味があるようだ。トラックやフレイヤーの周りに人が集まり出した。


「じゃあみんな、ジオエルビムの中を少しだけ案内しよう。俺に付いて来てくれ」


「「「おーーーっ!」」」




 エレベーター昇降口から外に行こうとすると、非常階段の脇に例の放射線危険区域のマークに似た何かが描かれた扉があった。これは俺たちが国防軍でジオエルビムの戦闘員と戦っていた時にはなかったものだ。


「なあ、観月さん、クレア、これってどう思う?」


「安里先輩にわからないものが私にわかるわけないじゃない」


「身もふたもないな。この核施設は俺たちがここを基地にしていた時代よりも後に作られている。問題はこれが日本の技術なのかジオエルビムの技術なのか」


「安里君、中に入ってみようか」


「・・・放射線計測器なしに入るのは危険だぞ」


「計測器はないけど、致死量に近い放射線が出ているかどうかならわかるよ」


「どうやって?」


「過飽和水蒸気を含む気体を空中に展開して、荷電粒子やγ線の動きを見えるようにする。霧箱だよ」


「なるほど。じゃあ水属性魔法で過飽和水蒸気を発生させる必要があるな。それをこの核施設の中で小規模かつ安定的に起動させるとなると、メチャクチャ繊細な魔法コントロールが必要になる。つまり水属性魔法が使えるようにはなったけど、観月さんには無理だ」


「いきなり失礼ね! ・・・でも安里先輩の言う通り、私に細かい作業を頼まない方がいいわよ。フリュさん、私の代わりにお願いするわ」


「ということだフリュ。目の前の空間に大量の水分を含んだ空気を生成するんだけど、できるか? イメージは周りの水分を集めて目の前で水に具現化する直前で、魔法作動を停止させる。かなり精緻な魔力コントロールが必要だ」


「大丈夫です。そう言う細かい作業はわたくしにお任せください」


「じゃあフリュとクレアは俺についてきて、他のみんなはここで待っていてくれ。ジオエルビムの案内をする前に、ここの調査をしてくる」





 フリュが即席の霧箱を目の前に具現化させながら、3人で放射線管理区域を進んで行った。


「見て見て安里君。渦を巻いたり線が流れたり、教科書通りの現象が見られるよ」


「それってつまり放射線がたくさん飛び交っているってことじゃないのか」


「でも致死量の放射線には全く届いてないから大丈夫だよ。仮に被ばくしてもキュアで染色体レベルで補修してあげるから安心して」


「・・・まあ、お前が言うなら。て、今のお前は光属性魔法が使えないし」


「弟子がやるから大丈夫」


「ジューンにそんなことできるとは思えない・・・」


 中を進むと、やはりここは超小型の発電施設だった。原子炉は今も稼働しておりここで作られた電力はこの建物の外に送られているらしい。俺は送電設備を確認しながらネオンに意見を求めた。


「ここの電力はやはり魔導コアに供給されているな。クレアはどう思う」


「同感ね。・・・つまりここで作られた電力が魔導コアで魔力に変換され、シリウス教国の聖地に魔力を供給している可能性が高くなってきた」


「この発電施設はどうやら日本製だしな」


「つまりどこかの時点で両国は停戦合意し、おそらくタイプBの拉致の停止と引き換えに原子力施設を供与した」


「だが今のサー少佐からはジオエルビムとはまだ戦争中だと聞いたから、停戦が成立するのはもっと未来ということか。でもこの施設は一体何年動き続けてるんだ・・・」




 俺たち3人が地下の発電施設から出てくると観月さんが飛んできた。


「どうだった? 放射線は大丈夫だった?」


「心配ないよ。フリュのおかげで見事な霧箱実験がお目にかかれたし、地下に原子力発電所があることもわかった」


「そんなものがこの地下にあったの!」


「ああ、でも大丈夫だよきっと。地下施設は調べ終わったので、今度はみんなで建物の外に出てみよう」


 そう言うと俺はみんなを建物から外に出し、古代都市を軽く散策した後、その中心にそびえ立つ中央塔の周りを案内した。


「じゃあ、みんなはしばらくこのジオエルビムを自由に探索しててくれ。その間俺はやることがある」


「え、いいのか?」


「案内が必要なら観月さんを置いて行くよ。観月さん、お願いできるかな?」


「任せておいて。私この辺のことすっごく詳しいから」


「キミの仕事場(戦場)だったからね」





 俺はネオン一人だけを連れて最初の建物に戻ると、エレベーターで3階に向かった。


「安里君、ここはいつもの管理棟じゃないけど、何の部屋? 端末がたくさん並んでるね」


「ここは研究室だよ。記憶が蘇ってから分かったことだが、管理棟の端末は事務用なんだ。でもここの端末は研究用でデータベースへのアクセス権限が異なるし、俺のIDがまだ生きていれば開発環境も使用できる」


「・・・へえ、安里君ってエメラルド王国に転移してくる前は、ここで魔法を開発していたんだ」


「そうだよ。俺の他にも研究者が何人もいて、日本の研究所で開発された術式をこの部屋の装置を使って実装していたんだ」


「ということは、今アージェント王国で使われてる魔法って」


「ああ、全部俺たちがこの部屋で開発したものだよ。日本製魔法開発プロジェクト。Subjects Runes 計画」


「じゃあ今日ここに来た理由ってまさか」


「みんなに新魔法を提供するためだ。そのためにはここの端末にアクセスする必要があるんだけど・・・よし、やった・・・管理者用のIDが消去されずに残っていた」


「本当? じゃあ早くどんな魔法があるのか見せて」


「ちょっと待ってくれ、今データベースにアクセスするためにパスワードの更新をかけてるんだが、さすがに失効してたから、初期パスワードから設定をし直してるんだよ」


「だったら私のIDもついでに作ってよ」


「もうやってるよ。二人で作業をしよう」


「やった! 初めての共同作業だね」


「そうだな。昨日大量に指輪を買ってきたし、今から新魔法の実装作業をやるぞ!」


「しまった! うっかり忘れてたけど、安里君ってデスマーチ男だった・・・」





 端末へのアクセスができるようになり、他の装置の動作確認もうまく行った。ジオエルビムの観光を終えたみんなをこの部屋へ呼ぶと、


「えーみなさま。これから帝国に突撃するにあたり、みんなにメッチャ強い新魔法を与えようと思います」


「「「えーーーーっ!」」」


 みんなが一斉に驚く。


「ここにいる人は全員知っていると思うけど、魔法には初級、中級、上級の他に固有魔法というのがあります。使える人はすごく限られるんだけど、もし適正が合えば強力な武器になります。欲しい人は手を上げて」


「「「欲しい、欲しい、欲しい!」」」


 みんなが我先にと殺到する。


「では、アルト王子から順番に適性を測定するから、呼ばれたらこの装置に触れてください」

次回、みんなの固有魔法が決まります


お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ