第6章までの人物紹介③ (中立派貴族、帝国軍人・ソルレート革命政府、別の時間軸の登場人物)
次回投稿から、第2部がスタートします。
しばらくは週に2、3話程度になりますが、
新たな舞台でのアゾートたちの活躍をぜひ
ご期待ください
また、第6章までの人物紹介は①~③まで
2万5000文字以上あり、誤字脱字や
未記載の人物かあると思います。
のんびりと修正していきますので、大目に
見ていただけると幸いです。
⑦ 中立派貴族
クリプトン侯爵家
かつては王朝を築いたこともある名門貴族。公式の歴史では王国歴360年に王朝が打倒され侯爵家に降格されたとなっているが、実際は神聖シリウス帝国に亡命したクリプトン本家が再び舞い戻って来て王家の正統性を主張しないように、当時のクリプトン分家を傀儡として擁立した家門。
非武装中立で王国の政治への関与を禁止されるなど、貴族としての権利を大きく制限されているが、それが逆に快適な状況らしく、アージェント王国が傾くことを一番恐れているのが現クリプトン家らしい。
シャルタガール侯爵
シャルタガール侯爵家は、ソルレート伯爵支配エリアのさらに東側、フィッシャー辺境伯支配エリアの南側の領域を支配する。その支配エリアにはクレイドルの森ダンジョンやマールの実家であるポアソン騎士爵領も含まれていた。地理的にはアージェント王国の最東端かつ最南端であり、そのさらに東側は国境を挟んで南側がシリウス教国、北側は深い山脈を越えてブロマイン帝国と隣接している。
現侯爵の放蕩息子である4男のピエールが行方不明になり、古くからの忠臣であり信頼の置けるナルティン子爵に密かに行方を探させていたが、突然アウレウス公爵家の令嬢であったフリュオリーネから面会要請があり、その会談にのぞむと同行していたアゾートからボロボロになったピエールを返還された。
そこでアゾートから、ピエールや忠臣だと思っていたナルティン子爵の数々の悪行を聞かされ、アゾートのソルレート侵攻作戦を黙認するとともに、終戦後の侯爵の立場の安堵と引き換えにナルティン領の割譲に関する密約をアゾートとの間に締結した。
その後、4男ピエールを侯爵家から籍を抜き王国裁判所に身柄を引き渡したが、その帰りにアウレウス伯爵と面会して今回のソルレート侵攻作戦の顛末を話し合った。そこでアウレウス伯爵から、対ブロマイン帝国への大戦略とその中心いるアゾートへの期待感を聞かされることとなる。
ピエール・シャルタガール
侯爵家四男。強力な魔力保有者でありながら定職にもつかず、帝国への奴隷売買に手を出したドラ息子。船で奴隷を輸送する現場をアゾートに押さえられ拘束される。その後城塞都市ヴェニアルの地下牢で尋問されて奴隷売買に関する情報を吐き、帝国軍のボルグ中佐が構築した王国内の協力組織の存在が明らかになった。
侯爵家から放逐されて王国裁判所に引き渡され、その後処刑された。
ナルティン子爵
シャルタガール侯爵支配エリアの南側海岸線全域を領地に持つ裕福な中級貴族。東側は鎖国状態のシリウス教国との国境が閉じられているために交易には使えないが、代わりに自領の西端にある南に突き出した半島がポアソン騎士爵が治める良好な港町であり、この港と自身の城下町を結びそこから西と北へと伸びる幹線道路を使って一大商業圏を築いていた。
現ナルティン子爵は歴代領主の中でも特に欲望が強く、金に飽かせて複数の妻や妾を囲っていた。特にポアソン家の女性が美しかったため、マールの姉のソニアを妾にすべくポアソン騎士爵に圧力をかけていた。
ちょうどそこへソルレート革命が成功し、ソルレートの貧民が大量に奴隷に落とされた結果、この地域で奴隷売買が盛んに行われるようになっていて、ナルティン子爵にも王都アージェントのとある上級貴族の関係者からブロマイン帝国との奴隷売買の話を持ち掛けられた。かなりの破格の条件とその上級貴族の属する組織の確かさからナルティン子爵はその話に喜んで乗り、帝国への海上輸送に使うためにポアソン騎士爵にも奴隷売買に加担するよう命じた。
だがポアソン騎士爵から断られると、その港を制圧するためにポアソン領を攻撃したが、逆にメルクリウス軍からの強襲を受けてたった2日間で城下町は陥落。自身もポアソン領の次期当主であるマールに超長距離から狙撃され、命を失った。
フィッシャー辺境伯
王国の盾と呼ばれ、ブロマイン帝国との紛争を繰り広げる激戦地をその領土に持つ。ボロンブラーク伯爵とは同じ中立派の領地貴族として昔から懇意にしており、ボロンブラーク内戦時にはアゾートたちの亡命先として考えられたこともあった。
248年政変以前はバートリー辺境伯家の忠臣であり、政変後しばらくして新たな辺境伯家として発足するものの、バーン王によって滅亡させられたはずのバートリー家の血筋を密かにかくまい、その特別な血筋を保全するとともに、自らの家系にもその能力を取り込んでいった。それは無属性魔法・護国の絶対防衛圏という隔絶したバリアーを張る能力であり、このバートリー一族の固有魔法を現在はブロマイン帝国との戦いに投入している。
次男ホルスの婚約者として、ボロンブラーク伯爵からフェルーム子爵家を紹介された辺境伯家は、そのお見合いの相手がネオン・フェルームだと知ると、もともとネオンの事が好きだった三男のカインがその相手として立候補し、カインがネオンの婚約者となる。
ネオンはバートリー領の地下遺跡に興味があるだけで、一時的にカインの婚約者としての地位を利用しただけであったが、城に訪れたネオンを見た辺境伯は一目で気に入り、ネオンとの婚約破棄後もメルクリウス一族から嫁をもらえないか画策するようになった。
エメラダ・フィッシャー
フィッシャー辺境伯の正妻で中立派のアルバハイム伯爵家出身。長男ライアン、次男ホルス、四男ラースの母親で、三男のカインだけ実の息子ではない。
夫のフィッシャー辺境伯からかつてのバートリー家の話を少し聞かされており、バートリー家の血を取り込むために娶った側室のクレアとネオンが結託することを警戒している。
クレア・フィッシャー
フィッシャー辺境伯の側室で三男カインの母親。
バートリー家直系の娘であり、フィッシャー家がバートリーの血を定期的に受け継ぐために嫁いできた。ネオンがメルクリウスの子孫であることをしり、母親のバートリー当主と相談し、カインの婚約者として受け入れるとともに、バートリー家の名誉回復と復権を目指す。
ライアン・フィッシャー
フィッシャー辺境伯家の長男で次期当主。ネオンを執拗にイビリ倒す嫁ミリーと母エメラダの間に挟まれて右往左往するが、この二人には完全に尻に敷かれている。それを見た父から当主に向いていないのではと疑いの目を向けられ、次男ホルスとの間でお家騒動を繰り広げる一因となった。
ミリー・フィッシャー
ライアンの嫁であり、エメラダと同じアルバハイム伯爵家出身。エメラダと結託し、ネオンを婚約者の座から追い落すよう画策するが、何をやっても全く動じないネオンに恐怖を感じている。
ラース・フィッシャー
フィッシャー辺境伯家の四男。
ドルム・フィッシャー
フィッシャー騎士団長であり、百戦の勇士。帝国の司令官からも最強の魔将軍として警戒されるほど強い。騎士学園最強決定戦の決勝では、学生たちの引率係として戦場について行き、それぞれの戦いぶりをチェックする審判の役割を果たした。
⑧ ブロマイン帝国軍、ソルレート革命政府、ソルレート領民
ボルグ中佐
ブロマイン帝国特殊作戦部隊の連隊長。アージェント方面軍の指揮下にあり、アージェント王国の平民の革命活動を支援して領地貴族を没落させ、王国内部から弱体化させる作戦を展開するため、ソルレート領に潜入中。
かなり頭が切れ、部下の報告からその裏に隠されている敵の意図を読み取ることを得意としている。
だが革命を成功させてソルレート革命政府を樹立させ、領民軍をしてシュトレイマン派連合軍をあと一歩のところまで追いつめながら、アゾート率いるメルクリウス騎士団の突然の参戦で、帝国本国からの補給路の破壊、トリステン領制圧などあまりの手早さに常に後手後手にまわされ、気がついたら挽回不能な状態に自分がいたことに気がつき、ソルレートでの作戦継続を断念。
逃亡前にアゾートの実力を確かめるための直接対決で、アゾートの底知れぬ魔力を警戒して撤退を判断。その際自分が、アージェント王家の末裔、アッシュ・クリプトンであることを明かした。
ネスト大尉
ボルグ中佐の部下で、本作戦ではソルレート領民軍の西部戦線を担当していた。
ゾイル大尉
ボルグ中佐の部下で、本作戦ではソルレート領民軍の東部戦線を担当していた。
デルト中尉
ボルグ中佐の部下で、本作戦では輸送部隊を担当していた。
ヘルツ中将
帝国軍アージェント方面軍司令官
ブロマイン帝国とアージェント王国の戦場の最前線に突如現れた騎士学園の生徒たちに当惑し、状況の把握が間に合わず前線のかく乱を許してしまう。敵の意図がわからないまま司令部への突撃と判断した司令官は、まんまと陽動作戦に釣られてアゾートたちに前線奥深くにある補給基地への侵入を許した上、補給基地を完全に破壊されてしまった。
ヘルツ中将はアージェント王国の貴族や魔導騎士たちのことを魔族と呼び、アゾートたちが補給基地をエクスプロージョンで破壊したことから、王国に魔王級の魔導騎士が誕生したと判断。帝国本国に勇者部隊の派遣を要請した。
カフス中佐
アージェント方面軍司令部の参謀長
バンス
ソルレート革命政府議長。ソルレート管理戦争でソルレート伯爵の留守を狙って、城や主な機関を一気に制圧して革命を成功させる。その裏には、ブロマイン帝国特殊作戦部隊の指導があった。その革命リーダーのバンスは、ボルグ中佐の養成機関で教育を受けてトップの成績で卒業したエリート。
革命後初の総選挙でバンス達革命家は領民の多数の支持を受けて当選。バンスは最高指導者の地位についた。だがバンスの政策は弱者を切り捨てて奴隷とし、他国に売り付けて金銭を稼ぐというもので、前任のソルレート伯爵の時代よりも貧富の差が拡大した。
領民の不満に応じる形でアゾートが大規模なデモ隊を組織し、政府主要機関や王城をデモ隊が包囲すると、アゾートからの公開討論の要請に応じた。エリートの自分がたかがガキに負けるわけがないと高を括っていたが、アゾートの現代知識の前に完全論破されると、尻尾を巻いて領都から逃亡。湖での艦隊戦でも破れて多くの兵士を捕虜にされた上、領民軍司令部に逃げ込んだところをロック司令官に捕縛され、終戦後はアゾートに身柄を引き渡された。
裁判の結果死刑となり、自らが作った拷問のような処刑方法で、トリステン男爵の隣で処刑された。
ロック司令官
ソルレート領民軍のトップ。ボルグ中佐の教育により、ブロマイン帝国の指揮官と同程度の指揮能力を持っている。敵ながらフリュオリーネを戦略面で、クロリーネを戦術面で高く評価している一方、味方であるはずのバンス議長を軽蔑しており、下手な指揮で艦隊戦を惨敗したことに怒りを覚えていた。
そして、ソルレート領民軍の敗北が時間の問題だと理解していたため、敗戦の責任を取らせるたにバンスたち革命政府の閣僚を地下牢に放り込んだ。
終戦後、ロック司令官は釈放されてアゾートの勧誘によりメルクリウス軍の指揮官として迎え入れられることになった。
【ロンの宿の関係者】
リン
10歳。ロンの宿の看板娘だが下ネタが口癖。アゾートのことを「アゾニトロさん」と呼び、将来は領主であるアゾートの妾になることを狙っている。
ラン
リンの姉で冒険者ギルドの受付嬢
ロン
ラン、リンの父親で、ロンの宿の料理人。
妻は宿屋のやり手ババアのチュンで、戦場に出征した6人の息子、トン、ナン、シャー、ペイ、ハク、ハツもいる。
⑨ 別の時代の登場人物
□ 西暦2050年、王国歴紀元前?
安里悠斗
東京のとある大学の修士課程の2年生で、量子コンピューター関係の研究室に所属している。学会受付のバイトに来ていた観月せりなに一目惚れし、連絡先を聞いていなかったため、当てもなく街を見渡すクセがついてしまった。
観月さんとの再開後、彼女の誕生パーティーで横浜にドライブした際に交通事故に会い、観月さんは脳に深刻なダメージを受けてしまう。たまたま安里の研究テーマであり、臨床実験の被験者として彼女が登録されていたため、彼女を救うべく研究に専念する。
そして彼女の症状の原因が異世界人類による拉致と人体実験であることを突き止めて、自ら異世界に飛び込み彼女を救うための冒険が始まる。
アゾートの前世。
観月せりな
東京の女子大の2年生。たまたまバイトで一緒だった安里悠斗が気になるものの、連絡先を聞いていなかったため、安里の大学の近くでバイトを入れたりしていた。
安里と再開後に交通事故に会い、異世界で目が覚めた後は人体実験の日々を送る。そして最後には身体を改造され、強化人間Type-メルクリウスにされてしまった。
日本国防軍サイバー部隊に救出されてからは、国防軍の観月三尉として、自分を改造したジオエルビム軍との戦いに身を投じる。
だが日本製魔法開発Subjects Runes計画の実験中の事故で、安里と2人他の時空に飛ばされてしまう。
セレーネの前世。
ちっち
安里の大学の指導教官で教授。その前は米国国立研究所の研究員をしており、軍人としての階級は少佐。その後大学をやめて、日本国防軍の客員研究員として、ジオエルビムとの戦争継続のための異世界研究のプロジェクトに参加している。
王国歴470年では「被験体」に日本からダイブしてきていて、メルクリウス軍のサー少佐として昔の教え子であるアゾートのサポートをしている。
□ 王国歴元年~20年ごろ
ラルフ・アージェント
エメラルド王国の腐敗貴族に怒り、平民のために貴族を成敗する世直し隊(2人だけ)を結成したリーダー。自身もアージェント侯爵家の貴族だか、貴族社会に反発したため親から離縁され家名であるアージェントの名を捨てた。
魔力属性の7つ全て保有する「勇者」であり、その魔力も極めて膨大。得意属性は闇だが、勇者特有の7色のオーラをまとうことで、触れずに敵を蒸発させる事ができる。
本人は知らないが、ジオエルビムの強化人間であるType-アージェントの遠い子孫にあたる。
エメラルド国王の討伐後、一度は新国王をアサートに譲ろうとしたが固く固辞されてしまい、自らの家名を冠したアージェント王国を建国し、初代王位の座に就いた。
セシル・クリプトン
ラルフ・アージェントの幼馴染みにして腐れ縁。親に勘当されて貴族社会から飛び出したラルフに付いて行くため、自分も貴族の身分を捨てた。
クールなイケメンで女の子には不自由はしないが、勇者パーティーの女子メンバーからは、なぜか相手にされていない。
雷魔法が得意で固有魔法「トールハンマー」による範囲魔法が使える。
本人は知らないがラルフ同様、Type-クリプトンの遠い子孫である。
聖女クレアが仲間になってからはアサートたちの恋愛話に参戦し、ラルフとデインからは男のクセに恋愛なんか気にしやがってとあきれられた。
アージェント王国建国後は公爵家を設立し、後のシュトレイマン公爵家の母体や、アージェント王国クリプトン朝の礎となる。
アサート・メルクリウス
安里悠斗の勇者パーティーでの呼び名であり、観月さんが命名した。日本への帰還魔法の実験に失敗して、ジオエルビムよりはるか未来に飛ばされて、ラルフたちと出会う。
ラルフとセシルと意気投合し、この時代で生きることを決心したこともあり、勇者パーティーのメンバーに加わって住みよい世の中を作るために活躍する。
ジオエルビムの強化人間であるため魔力が桁違いであり、勇者であるラルフをもはるかにしのぐレベルだが、日本国防軍では専ら新魔法の研究員として従事していたため、三尉の階級を持っていても戦闘経験に乏しく、勇者パーティーでは回復役として従事。その後聖女クレアが加入してからは後衛で攻撃魔法を担当する。
アージェント王国建国後は、メルクリウス公爵家を設立して観月さんと結婚するが、第一子誕生と同時に観月さんが亡くなると、彼女が子孫に生まれ変わるために、メルクリウス一族の血族を保存するために数々のルールを作り出した。
また、タイムリーパーを始めジオエルビムで研究してきた魔法を地下遺跡に隠し、代々のメルクリウス公爵に伝えていくことにした。
そして娘ディオーネの結婚&公爵就任式の夜、クレアの魔法で観月さんが生まれ変わるであろう未来に向けて、自らも転生した。
セリナ・ミツキ
観月せりなの勇者パーティーでの呼び方。安里先輩と同じく強化人間であるため魔力が桁外れであり、さらに1年以上の間、国防軍の兵士として最前線で戦い続けていたため戦闘力が異常に高く、勇者パーティーでは最強の決戦兵器扱いだった。
安里先輩と二人でエメラルド国王を倒した際には、巨大な城下町を更地に変えるほどの巨大な熱エネルギー体を発生させ、後世の歴史書には魔王到来として記載されるほどの攻撃を行った。
聖女クレアの加入によりパーティー内での安里先輩争奪戦が勃発するも、それに勝利して安里先輩と結婚してメルクリウス公爵夫人となった。
だが強化人間の寿命が尽きて、第一子出産と同時に息を引き取る。その間際に、クレアの聖属性究極魔法・リーインカーネイションによって魂が身体から抜け出し、結果的に450ほど未来で、セレーネとして転生を果たした。
デイン・バートリー
魔法実験に失敗した安里と観月がこの世界で初めて仲間にした冒険者。じつはバートリー男爵家の令息だったが、貴族社会に嫌気がさして気ままな冒険者稼業で暮らしていた。
安里は当初、時間移動ではなくジオエルビムからかなり遠方に飛ばされただけだと勘違いしていたため、デインを雇ってジオエルビムへの帰還を目指したが、時間も移動してしまったことがわかるとそれを断念。デインはそのままアサートとともに勇者パーティーのメンバーとなった。
エメラルド国王との決戦の際にはアサートとセリナの二人を護国の絶対防衛圏で守りながら、王都の中心部にある王城まで連れていった。
アージェント王国建国後は辺境伯家を設立し、国防を一手に担う王国の盾として名を馳せた。
クレア・ハウスホーファ
光と闇の2つの属性を持ち、その派生である聖属性魔法も操ることのできる聖女。シリウス教国で教育を受けて将来の大聖女になるためにエメラルド王国で修行している途中でトラブルに巻き込まれたところを、ラルフたち勇者パーティーに助けられた。
その時にラルフたちのために使用した回復魔法が、呪文詠唱が完璧な上、魔法少女の振り付けまでしていたことから、日本からの転生者であることを観月さんに看破される。
その正体は自称セレブな女医だが、彼氏いない歴=年齢の三十路の喪女だった。脳の再生医療の研究者であった安里とすぐに意気投合し、安里を自分の初彼氏にすべく猛アタックを開始するが、観月さんの前にあっさりと敗退する。
その後も安里先輩が公爵になっため、ハーレム構築を執拗に迫るものの却下され、その後シリウス教国の大聖女に就任してしまったため、生涯独身を貫かされてしまった。
来世こそ絶対に結婚するため、自らにも転生魔法をかけて安里たちの後を追う。そしてネオンとして転生を果たした。
フリュ・アージェント
ラルフの従兄妹であり、アージェント家の数少ない生き残り。観月さんが公爵夫人になる際に貴族としてのマナーを教える先生であり、観月さんの唯一の親友。
観月さんが亡くなると、残された一人娘のディオーネを育て上げるため安里と結婚し、自身も安里との間に5人の子供に恵まれた。
もともと侯爵家の分家令嬢であり貴族社会に精通しており、公爵夫人としての素養はピカイチ。安里が戦争などで不在の間も夫に代わって公爵家を切り盛りした。
ディオーネが結婚した夜に安里先輩が来世へ旅立つのを見送るが、自身も5人の子供たちの成人を確認すると、後のことをディオーネ夫妻に任せて、安里を追って未来へと転生した。そして450年後にフリュオリーネ・アウレウスとして生まれ変わる。
ディオーネ・メルクリウス
安里と観月さんの間にできた一人娘。観月さんに容姿も性格もそっくりの美少女。お父さんである安里のことが大好きで、いつもベタベタくっついている。そして嬉しい事があると、城の庭でエクスプロージョンを撃って炎上させるおてんば娘であり、メルクリウス家の庭師の腕があがった。
結婚式の日に安里が母である観月さんのもとへと旅立つことを受け入れ、公爵家を全て自分に任せて旅立つよう促した。
ディオーネという名前は、この世界の双子月から命名され、その片割れのアポロンは観月さんの名前の語源であるセレーネに変更された。それは共に生きることができなかった母と娘が、空で一緒に暮らせるようにとの安里先輩の望みから来たものだった。
後にソルレート領を占領したアゾートは、領地の名前をこの愛娘にちなんでディオーネ領に変更した。
ティオ・アージェント
ラルフの息子で、第3王子。魔力が膨大で次期国王になっても遜色のないレベルだったが、ディオーネの夫としてメルクリウス公爵家に入った。
□ 王国歴248年
メルクリウス公爵(最後)
狂王バーンの政変に最後まで抵抗した人物。バーンの罠にはまって重傷を負わされた公爵は、メルクリウス家の秘宝である魔術具タイムリーパーを使って未来からやってきたというネオンを使って、娘であり次期公爵であるセシリア・メルクリウスの亡命を手伝ってもらうようにお願いした。その際、メルクリウス家秘蔵の地下遺跡のカギを託す。
ネオンの1回目の時間遡行は、無事セシリアの脱出を成功させたものの、2回目の時間遡行では過去のネオンと同一時間軸に存在したために発生したタイムパラドックスの影響で、ネオンは過去の世界に取り残されてしまった。
そんなネオンを救出に来たアゾートと出会ったメルクリウス公爵だったが、セシリアの子孫である40名のメルクリウス一族が同時に過去に介入してバーン王の騎士団と戦うという奇策により、アゾートはネオンの救出を、メルクリウス公爵はセシリア夫妻とメルクリウスの子供たちの脱出という2つの課題を同時にクリアーすることができた。
セシリア・メルクリウス
次期メルクリウス公爵に内定している公爵の娘。バートリー騎士学園ではネオンと魔法訓練での練習試合で互角の戦いを演じる。成人後はネオンに連れられて、夫とともにボロンブラーク伯爵を頼りに亡命する。そして、ネオン・フェルームの名前を拝借して自らをサリーナ・フェルームを名乗り、フェルーム騎士爵家の初代当主となった。
性格はセレーネと瓜二つであり、セリナ・メルクリウス、ディオーネ・メルクリウスの遺伝子をしっかりと引き継いだ、生粋のポンコツヒロインだった。
ウェイン・バートリー
次期バートリー辺境伯家当主で、バートリー騎士学園の生徒会長。時間遡行したネオンとカインを騎士学園に案内し、授業に参加させたり魔法訓練に付き合ったりした、世話焼きのいいひと。カインがバートリー家の血を引くことがわかると、バートリー家の秘術ピンポイントバリアーを伝授した。
バーン王
クリプトン公爵家の血筋が濃い、アージェント家の国王。シリウス教新教に傾倒し、王国古来の魔法王国としての慣習を破壊するため書物を大量に燃やした。そして旧教徒を弾圧して新教に強化するため、隣国の新生シリウス帝国の軍隊を国内に引き入れて、シリウス教国とは断交した。
そして各貴族家を力でねじ伏せると、最後まで抵抗したメルクリウス公爵家とバートリー辺境拍家を排除するため、メルクリウス公爵を罠ねはめて重傷を負わせたうえで、新生シリウス帝国の軍隊をバートリー領に進軍させて両家を打ち滅ぼした。