海はマイペース
灰白色に霞んだ空。
豪雨の叩きつける音。
自動車が水を撒き散らして進む音。
今日はいつもより騒がしい。
ニュースを見ていると、不意に、スマホから緊急避難速報が鳴り響く。
外に出てみよう。
風雨が肌に当たり、とても寒い。
アスファルトの車道の脇は水に浸かり、排水路の網から泥水が湧き出る。
海が気になる。
靴も服も濡らしながら海岸まで。
途中で稲光なんかも。
海は、
海は、
海はいつも通りだった。
海水は泥水色。だけど波の音も形もいつも通り。
白いパイプから泥水が湧き出て砂浜を通って海へ。
時々勢い良く、水鉄砲のように海へ。
地上で溢れた水が、海へ帰っていくのだ。
ごぉぉぉぉ ざーん
ピカッ ごろごろごろぉ
地上の騒ぎに興味はないようで、海はただ静かに波打っていたのだった。