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第01日目 共通ルート⑦

 約十分後、一息ついたオレに達人が尋ねる


「どうだ、貞君。参考になったか?」


「ビミョー……」


 これが正直な感想だ。


 しかし、なんとなくノリでつき進んで行かなきゃならないことだけは理解できた。


一つ言えることがあるとすれば、自分から動かなきゃ道は開けないってことだけだ。


「そか……」


 短く答える達人。


 その顔は何か言いたそうだ。


「お前にはいくつかアドバイスしておきたいことがある。だが、その前に」


 だが、その前に。


「とりあえず、外行こうぜ」


 それはさっきからオレも思っていた。


 さっきまでは暑さで気にならなかったが、この部屋にはエロいにおいが充満している。


 割と余裕の出てきた今は、いつまでもエロいにおいがするこの部屋にいたくはない。


 それはエロいにおいを作った張本人の達人も同じようだ。


 そんな理由で達人の部屋を後にしたオレたち。


 走る、走る、オレたち。ゴメン、ウソだ。普通に歩きながら話す。


「いいか、貞君。ヤれそうな女を見極めろ。ヤれそうな女からは『ヤられたいオーラ』が出てるもんだ! 『今ハメて! すぐハメて! さあハメて!』ってな。それを見逃すな!!」


「なるほど。ためになるな……」


「ためになるかー!!」


 バキッ!


「うわらば!!」


 怒号とともに達人が吹っ飛んだ。


 謎の人物が達人にドロップキックをぶちかましたのだ。


 まあ、キミたち(読者)にとって謎な人物というだけであって、オレと達人にとっては見慣れた顔なわけだが。


「なんだ、オトコ。痛いじゃあないか」


 割と平気な感じで起き上がった達人が言った。


 オレたちは普段から今みたいに乙子(目の前の女な)の理不尽な暴力によって鍛えられているので、この程度の攻撃でへたれたりはしないのだ。


「『痛いじゃあないか』じゃないわよ! 真っ昼間から何バカ言ってんのよ、あんたたちは!!」


「まったく乱暴だな。オレの体はオレだけのものじゃないんだぞ?」


「あ~ら、右手に○ギーでも寄生させてんの?」


「今時そんなコアなネタを……」


 こいつは中野乙子なかの おとこ。名前の通り、あだ名は「オトコ」。


 ボーイッシュなショートカットに生意気そうなツリ目。キツそうな雰囲気を除けば、美少女と言っていい顔立ちをしている。


 ドロップキックを繰り出してきたところ辺りから、容易に想像できると思うけど、普段はスカートなぞ絶対に穿かず、大体パンツルックなのでとても色気がありません。


 そういや、制服以外でスカート姿なんて見たことないぞ。


 黙っていれば結構いいセンいってるのだが、性格はそこら辺の男なんかよりよっぽど男らしい。


「ちなみに中の人は男だ」


「中の人などいない!! って誰に説明してんのよ? あんたは……」


「君には知る資格がない」


 適当に流す。


 ちなみにここで遭遇したのは偶然じゃない。


 家が近所なのでエンカウント率が非常に高いのだ、これが。


「オトコはツンデレだな……。本当はオレの体がほしくてほしくてたまらないんだろう?

まったく世話の焼けるヤツだぜ……」


「だがそれがいい」


 そう言いながらニヤリ、と笑うオレ。


「その通り。よくわかってるじゃあないか、貞君」


「あ~ん~た~た~ち~」


 乙子が指の関節をポキポキと鳴らしている。


 イカン、る気だ!!


 そろそろ本気で怖くなってきたので、話を変えることにする。


「それにしても、今年の夏は暑いな」


「な~に、毎年『今年の風邪はタチが悪い』って言ってんのと同じさ」


 そんなオレたちをやれやれ、といった顔で乙子が説教する。


「まったく……。あんたたちもいつまでもバカやってないで少しは大人になりなさいよ」


「一部分だけは十分過ぎるほど大人なんだけどな。見る?」


 そう言うと、達人がズボンのジッパーに手を伸ばした。


「このセクハラ男!」


 そう言って乙子は去っていった。


 気は強いくせに下ネタ方面にはまったく耐性がないのだ。


 そんなところもラヴ(はぁと)。ウソだけど。


「やれやれ、やっとうるさいのがいなくなったな……。貞君」


「あん?」


「もし、お前がハタチまでに童貞を切れそうになかったら風俗をおごってやるよ」


「マジで?」


「おう。けど、あくまでもこれは最終手段だからな。お父さんはお前に自力で女をモノにできる甲斐性を身につけてほしいんだよ」


「達人……」


「クサさに耐えてよくがんばった。感動した!」


 その達人の無償の友情に感極まったオレは思わず、×(ぺケ)日本が大好きな某元首相のようなことを口走ってしまった。


「貞君……!」


 ガシィッ!


 オレたちは息が止まるくらい強くお互いの体を抱きしめ合った。


 サンキュー、マイ・ベストフレンド。


 ユーとのフレンドシップはフォーエヴァー(←めっさイイ発音で読むこと)さ!!

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