第01日目 共通ルート⑥
⑥
そして、SEXという名のカーニバルは無事に幕を下ろしました。
え? はやい?
サラマンダーよりもずっとはやい?
本当なら官能小説家も裸足で逃げ出す、オレの緻密な描写力でたっぷりねっとりと書きたいところですが、あいにく年齢制限がありますので、それはできないのです。
残念、無念、また来週。
ともあれ、事後の二人はとてもイチャイチャしていました。
いいなあ、達人。オレも早く童貞を捨てたいものです。
そんな感じで二人はしばらくSEX後の心地良い気だるさを味わっていた。
気持ちはわかりますが、早く部屋から出ていってくれませんか?
ここ、あっついんですけど、マジで。
そんなオレの思いはお構いなしにマイちゃんはなかなか動き出そうとはしてくれませんでした。達人はオレのことを気にしてくれてたけど。
そんなに達人とのセクロスが良かったんですか、そうですか。
目の前で達人の超絶テクを見せつけられて、男としてなんか負けたような気分いっぱいのオレだった。
間述市内・達人のアパート。
八月一日 午後三時〇一分。
「すっごく良かった。また会ってくれる?」
ようやく達人とのSEXの余韻から覚めたマイちゃんが開口一番そう言った。
「もちろん」
そんな感じでケータイの番号をやり取りする二人。
もう彼女は達人にメロメロなようだ。
こんな感じで次々とヤリ友を作っているので、達人は毎日のようにパコパコできるわけです。
まったく、これじゃパンツをはいてるヒマもありませんね。
なんて考えていると、達人が彼女との会話を適当に切り上げて、彼女を帰した。
もちろん、オレをこの灼熱地獄から解放するためだ。
ガチャリ。
玄関のカギを閉めると、達人はクローゼットを開けてくれた。
「お疲れ、貞君。生きてっか?」
「な、なんとかな……」
「暑かったろ。コーラとオレンジジュースとお茶、何飲む?」
「コーラを……コーラをくれ……」
カラカラののどでなんとかそれだけ伝える。
「ヘイ、お待ちどう」
速攻で持ってきてくれる達人。
持つべきものは頼りになる友達ですね。オレは心の底からそう思った。
「まあ、飲め」
オレは無言で受け取ると、それを一気に飲み干した。
ごきゅごきゅごきゅ……。
コップの中の黒い液体があっという間にオレの胃袋に収まる。
「サンキュー。生き返った」
達人にお礼を言う。マジで感謝だ。
「なんか貞君の飲みっぷりを見てたら、オレものどが渇いてきたな……」
そう言うと、達人も台所からコップを持ってきてコーラを注いだ。
そして、オレと同じようにそれを一気に飲み干す。
ごきゅごきゅごきゅ……。
「ぷは~っ。やっぱ一仕事した後の一杯は最高だな」
ええ。そりゃそうでしょうとも。この童貞の敵め。などと敵がい心を燃やしてはいけない。
オレのために生でセクロスまで見せてくれたんだから。
「あっついクローゼットん中にずっと入ったまんまでお前も疲れたろ。とにかく落ち着くまで休め」
お言葉に甘えてオレは自分の部屋のごとく、徹底的にゴロゴロした。
とか書くと、オレが遠慮を知らない子みたいに感じると思うので一応説明しておくけど、オレと達人は十年来の親友です。
なんの気兼ねもないのです。そこんとこ、間違えないように。