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乙子ルート 第6日目②

 ともあれ、そんな流れで十五分前には末理さんと達人も姿を現した。


 そんなこんなで集合時間の十分前には全員そろったわけだ。


 みんな時間に正確でいいことですね。


 早めに切符を買って駅構内に足を運ぶ。


 朝早いことプラス夏休み、ということもあって電車の中は結構空いていた。


 オレたちは二人がけの席を向かい合わせて腰を下ろした。


「空いてて良かったわね」


「ま、夏休みだからな」


「食いねぇ、食いねぇ、菓子食いねぇ!」


 オレは夜のお供、もとい、旅のお供の菓子を取り出した。


 荷物の多くはお菓子でした。


 そんなわけで、みんなにふるまう。


「貞君、これもらうわね」


 乙子がコーラ味のチュッパえもんを手に取る。


「おう、食え食え」


「オレはこれをもらうな」


 達人はうまいバーのチーズ味をチョイスしたようだ。


「三人を見てると、まったく気兼ねがないんだけど、付き合いは長いのかしら?」


 そんなオレたちの様子を見ていた末理さんがそんなことを訊いてくる。


「子どもの頃からの付き合いですよ」


 出会いとかはまったく思い出せないけど。


「貞君くんは小さい頃はどんな子だったの?」


「……どんな子と言われましても……」


 即答できない。


 八才くらいからはケンカに明け暮れてたけど。


 それ以前の記憶はあいまいだ。


「おとなしい子でしたよ。今の貞君からは想像できないくらい」


「マジで!?」


「なんであんたが驚くのよ!?」


 乙子の言う通り、一番驚いたのは他の誰でもない、話の中心のオレだった。


 達人からその話は聞いてたけど、改めて乙子からもそう言われると、信ぴょう性がぐっと増す。


 もちろん、達人のことを信用してないわけじゃないけど、当人であるオレ自身の記憶がすっぽりと抜け落ちているわけで。


 オレ、小さい頃に頭を強く打ったりしたんだろうか?


 気巧波が必殺技の宇宙ザルとは逆に性格が荒くなったみたいだけど。


「貞君くんはどうやって今みたいな愉快な性格になったのかしら? 実に興味深いわ」


 末理さんはオレの豹変振りに興味津々のようだった。


「それはそうと、末理さんもお一つどうぞ。いっぱいありますんで」


「ありがとう」


 そう言って、末理さんはヘビースターラーメンのチキン味を手に取った。


 なかなか渋いチョイスですね。


 海までは二時間弱。


 そんな話もそこそこに、到着するまでの時間オレたちは西洋カルタ、いわゆるトランプに興じることにした。

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