第01日目 共通ルート④
④
「ふぅ~っ、食った食った」
きれいにメシを平らげた達人が本題を切り出した。
「オレさぁ、本当はメシなんかよりキミを食べたいんだよね。今からオレんちに行って軽く汗を流さない?」
「お前の食欲を満たしてやったんだから、今度はオレの性欲を満たせよ」といったところだろうか。
素晴らしいギブ&テイクだ。うむ。
それにしても、とてもストレートなのですね、達人さん。
こんなんでちゃんとセクロスまでもっていけるのか、お兄さんはとても心配です。
「えー、どうしようかな……」
とか言いつつ、けっこう乗り気なようだ。そんくらいオレにもわかる。
「食後の運動ってことで。どう?」
あっさりついてきただけあって達人に好印象を持っていたのか、マイちゃんが少し考えるそぶりを見せた後、うなずいた。
さすが達人。オレにはできないことを平然とやってける。そこにしびれる! あこがれるゥ!
そんなわけでお持ち帰りコース確定です。
まあ、こんないっぱいテキスト書いてて「ナンパは失敗しました」じゃ、拍子抜けもいいところだし。
ライターも大変だしね。
そんな大人の事情をはさみつつ、席を立つ二人。
もちろん、伝票は達人が持ってますよ。
で、お会計。
レジはさっきと変わらず達人がセクハラをかましてた女の子だったけど、別に嫌われてはいないみたいだった。
そのくらいはなんとなく雰囲気でわかった。
なんか得なキャラだよな、達人って。
オレだったら絶対ゴミ虫扱いとかされそうなのに。
「んじゃ、入り口で待ってて。オレちょっとトイレ行ってくっから」
そう言い残して達人は姿を消した。
プルルルル……。
で、その数十秒後、再びケータイが鳴った。
達人からだ。電話じゃなくてメールな。
メッセージは以下の通りだ。
「今からナンパした子ヤるから、オレんちのクローゼットに隠れてろ。カギのある場所は知ってるだろ?」
と、こんな内容。
どうやらSEXまで実演して見せてくれるつもりらしい。
でも、この時期のクローゼットって……地獄ですよ?
だが、隊長の命令は絶対だ。しがない一兵卒は従うしか。
オレは二人の先回りをすべく、風のように駆け抜けた。
いや、オレ自身が風。魂まで風。
……なんか違う方向に行きそうだから、このくらいにしておこう。