序章ープロローグー
はじめまして!YuTと申します!今作品は一次創作で、二次創作であると言う設定で書いているものですので、あらかじめご了承ください。しかし、様々な作品の影響を受けているため、似た様な設定の作品があるかもしれません。物語が進むに連れ、残酷な描写がでてきます。その辺りを気を付けて下さい。
ー死の直前、少女は思った『救い』は無いのかとー
ー空を仰ぎ、青年は願った『救い』をー
ー檻の中、青年は諦めた『救い』など無かったのだとー
これは救われなかった物語達の『救い』の物語。ただの二次創作物の茶番劇である。
此処は中央都、この世界の中心として作られた人工島。その中心にほど近い雨ヶ谷市彩風町である。活気溢れるこの街だが、今は小鳥のさえずりが聞こえる程に静かである。それもそのはずだ。今は早朝、時計の短針が5を指す時間である。そんな静かな中、この部屋ではコツンというチェス盤を駒が叩く音が鳴り響いている。黒や茶で整えられ、映え色に赤が使われた広く、シックな作りのこの部屋の重厚な扉の外側には『総統室』と厳格な字で書かれてる。その扉から向かって右側のソファーに座り黒の駒を動かす、真っ黒な軍服を着用し、それに映える透き通るような銀髪、吸い込まれるような緋い瞳を持つ男はグレゲルト・ヴァラーンゲリ、此処『CRRA軍部』の総統という立場にある。
その向かい側のソファーに座り白の駒を動かす、青い着物を纏い、薄い空色の髪を紺の地に白のラインの入った長いリボンで右側にまとめている少女は名を霄宮 知比乃といい、『CRRA』の創立者にして最高責任者である。そう、此処は"CrushRustyRuler Ally"略して『CRRA』の軍部、総統室である。
黙々と駒を動かすこと暫く。時計の長針は既に7を指している。静寂に包まれる室内にバタン!という音とともに扉が開かれ、二人にとって聞き覚えのある声が掛けられた。
「いつまでやってるんですか!」
二人は驚きその声の方に振り向く。そこには、長い薄紫色の髪をハーフアップにした黒縁眼鏡の少女が青筋をたてて立っていた。少女の名はイリアスティル・フロルコア。軍部にて補佐官を務めており、時折前戦にも出ている。因みに普段は面倒見も良く、優しいと評判だが、サボりや時間には厳しいという面もある。だから当然
「今、何時なのか分かってます?」
7時には朝食を食べるために食堂に集まる、という規則を破るような不届者には容赦が無いのだ。たとえそれが総統であったとしても。だからグレゲルトは血相を変えて謝りだした。
「すまない!いや、わ、忘れていたわけじゃあ無いんだ…そのー……すみませんでした。」
途中まで言い訳をしようとしていたが、イリアに睨まれ素直に謝る。
「まったく、規則を作ったのは貴方でしょう?その本人が守らないでどうするんです!」
その光景を見て知比乃は今日も平和だなぁ、と思いふふっと笑うのだった。この調子では長く説教が続くだろうと思った知比乃は
「他の皆待ってるんじゃない?」
と声をかける。それを聞いてイリアはハッとする。
「そうでした。皆待ってるんですよね。今回はこれくらいで済ませましょう。」
そう言った彼女からは明らかに“次は無いぞ”というオーラが漂っていた。
「そういえば、知比乃の方はどうなんだ。」
グレゲルトはそう言い、話題を変えた。どうやら早急に話題を変えたいらしい。
「学校には春休みと言う物があってだね。」
「いや、そちらもだが“妖魔楽庵”の方の話をしたいんだ。」
「あー、そっち?大丈夫よ、そっちは午後からだから。」
そう、知比乃は、『CRRA』の創立者である彼女は夢現学園に通う立派な高校生なのだ。というか、妖魔楽庵の人間は大体同じ年齢である。
♪〜〜♪〜♪
メールの着信音が鳴る。それは知比乃が持つスマホから鳴っているようだ。それに気づいた知比乃はちょっとごめん、と断りを入れてからスマホの画面を確認した。そして、
「ちょっと緊急事態っぽいから帰らせてもらうわね。グレゲルト、続きはまた今度ってことで。」
と言い、窓から外へ飛び降り、去って行ってしまう。
「…ここ、3階なんですけど。」
「彼奴なら問題ないだろう。下手をすれば軍部の最高戦力より身軽だろうからな。さて、そろそろ行くか。」
「そうですね。」
そんな会話をしつつ、二人も総統室を後にした。
軍部の基地から少し離れたところには小さな神社がある。そこが妖魔楽庵である。現在、手入れの行き届いた石段を登っている影が一つ。知比乃である。彼女は先程届いたメールの内容に関して、メールを送った本人である紅沢狐月に、詳しい話を聞くために、妖魔楽庵に帰っているのである。そのメールの内容と言うのが“貴女、命狙われてるみたいですよ。”と言う簡潔極まりない一文だった。それを見た知比乃は、簡潔過ぎるわ!もっとちゃんと書く事あるでしょうが!と思ったのだった。しかし同時に知比乃は、狐月とて面倒だからと言うだけの理由でこの一文しか書かなかった訳ではなく、この一文しか書かない事で、自分が詳しい事を聞きに戻って来る、と言う事を計算してやっているとわかっていた。だから、策にはまってしまった以上何も文句が言えないのだ。程なくして、知比乃は境内の奥にある母屋に着いた。
「ただいま〜。」
玄関の戸を開け、何時も通りに挨拶をして中に入る。
「おかえりなさい。意外と早かったですね。」
西方に多い独特のイントネーションで話すのが、先程のメールを送った狐月である。薄い紅鼠色の着物に深紅の羽織、瑠璃色の少し長めのマフラーと言う格好は、この和風な家屋には異様に似合っている。
「そりゃあね。自分の命が狙われてるとわかったら、誰だって詳しい事情を聴こうとするでしょうよ。」
「そういうものですかね。」
「そういうものでしょ。…ってそうじゃなくて、あのメールはどう言うことなのよ。」
「ああ、あれはまぁ簡単に言うと、貴女宛の殺害予告と見られる手紙が届いたんですよ。」
「へーそうだったの…って流すと思ったの⁉︎もっと詳しく、あと手紙見せて!」
あまりにも自然に言うものだから流しそうになった知比乃だが、しっかりツッコミを入れる。そんな会話を玄関先でしていると、
「帰って来たのか?つうか玄関で何やってんだよ。」
と言う声が掛けられた。そちらを振り向くと薄茶色のセーターにジーンズというラフな服装の青年が立っていた。彼の名は仙斎佚睎。荒事を担当する槍使いだ。因みに周りによく振り回されるかわいそうな立ち位置である。
「あー、ごめんごめん。ってか他二人は?」
知比乃が問う。
「まだ寝てるんやないですか?今日、午前中休みですし。」
現在時刻は午前8時を回ろうとしている。確かに彼等の言う他二人は寝ていてもおかしくない時間だ。
「まあ、一人は予想つくけどね。」
「因みに言っておくと、凪は俺が寝ようとしてた時間にはゲームしてたぞ。」
「…」
「…」
知比乃と狐月は顔を見合わせる。
「「起こしに行きましょうか。」」
そんなこんなで、妖魔楽庵の全員が居間に集まった。クロームオレンジの髪をサイドに一纏めにし、薄黄色のワンピースを着ている少女は星守麗魔明。一応“魔女”である。
一方、ターコイズブルーの髪で、同色のパーカーを着ており、未だに眠たそうにしている小柄な少年は九重凪。機械系担当である。
「さて、全員揃ったところだし、詳しく聞かせてもらうわよ?」
知比乃がいの一番に口を開く。
「そうですねえ。まずはこれを見ていただきましょうか。」
そう言って狐月が取り出したのは一通の手紙だった。それを狐月以外の全員が覗き見る。その内容は次の通りだ。
『霄宮 知比乃様へ
本日はお日柄も良く、願わくば貴女が見る最後の空となりますように。つきましては、本組織とっては貴女の存在が少々不都合となっております。ですので、こちらから使者を送らせていただきました。』
「…つまり“お前は邪魔だから早く死ね、その為に暗殺者を送ってやったぞ”って事でしょ?」
「要約するとそうなりますね。しかし…これが何処から送られてきたかが問題ですねぇ。」
口元に手をあて、狐月がそう言うと他の四人も考え始める。
「「……」」
「…ってかさあ、此処ほぼ何でも屋みたいなとこだし、邪魔だと思う奴は多いだろ。今それ考えても意味ないと思うぜ。」
暫く続いた沈黙を破ったのは麗魔明だった。他のメンバーはその声に、一斉にそちらを向く。
「そうね、今は襲撃者をどうするかを考えましょうか。」
「それなんだけど、もう来てるみたいだよ。」
先程までスマホを弄っていた凪が唐突に声を掛けた。
Y「どうも、作者のYuTです。小説家になろうだと、後書きが後書きとしてあるんですね。張り切って後書きのコーナーやっていきます!って事で、ゲストのイリアちゃんです!」
イ「どうも、イリアスティル・フロルコアです。此処では本編で説明出来なさそうな設定について補足して行くそうですよ。」
Y「その通り!って事で、早速アビリティについてです!」
イ「はい、私達が扱う特殊能力の総称をアビリティ、使用者をホルダーと呼びます。アビリティは種類が多く、全てを把握するのは難しいですね。」
Y「その点、魔術は把握しやすいんじゃない?」
イ「そうですね。確かに、魔術は書物として残っていたり、種類は多くても有名なものは大体同じ魔術が使われることが多いですからね。」
Y「でも、魔術ってアビリティと同じ魔力を使うから、魔術師って呼ばれる専門家じゃない人でも魔力さえ有れば使えるっていうのが便利だよね。」
イ「まとめとしては、魔術、霊術、アビリティの三つは全て魔力を使うと言う事、魔術は専門家である魔術師でなくてもある程度扱えるけれど、殆どの場合、魔法陣や詠唱が必要である事、ですね。」
Y「さらっと色々補足してくれたね。霊術については又の機会にしようか。」
イ「そうですね。私も霊術についてはよく知りませんから。」
Y「よし!今回の後書きのコーナーはお終い!ここまで読んでくれた方
『有難う御座いました!』