そりゃああんだけ死ねばね
初めての方ははじめまして。
会ったことある方は拙作もよろしくお願いします。
KURAと申します。
夜中に書き上げたので結構粗いと思いますが……。
すみません……。
では、IF白雪姫です!
ある森のなか。
ある姫は諸事情により猟師に命をすくわれ、なんやかんやあって森に置き去りにされそして7人の小人と出会い平穏に暮らしておりましたとさ。
姫はとても美しく、たいそう白い肌で雪のようでした。
まさに白雪姫、その美貌はとてもとても美しく世界で一番美しいのでした。
ある日白雪姫が歩いていると。
悪い魔女が白雪姫を殺そうと近寄って来ました。
「ひっひっひっ、今度こそ私が世界で一番美しく女になるんだよ。ひーっひっひっひっひ」
魔女は自分の事を世界で一番美しいと信じていました。
けれど彼女の持つ魔法の鏡は彼女を世界で一番美しいとは言わなかったのです。
そうです。
かの白雪姫です。
このとても美しい白雪姫がいるのに世界で一番はなり得ないのです。
そして魔女は考えました。
「……私より……美しいなんて……殺してしまえばいい」
彼女はこうして白雪姫を殺そうとやってきました。
そして白雪姫に近づくと魔女は
「りんごはいらんかね? とても、とても美味しいりんごだ」
「……りんご?」
「そうさ、とっってもおいしぃ~よ?」
「そ、そう。と、とりあえず貰っておくわ」
「そうかぃ? 今がぶっといきなよ」
魔女が渡したりんごは毒が入っていました。
けれど彼女はりんごを見て苦虫を噛み潰した顔をするばかり。
これには魔女も首をひねります。
(あれ? おかしいな……。白雪姫はりんごが好きなはずなんだけどね)
そして白雪姫は口を開きました。
「あ、あの。本当の事いっていい?」
「どうしたんだい?」
「怒らない?」
「言ってみなよ!」
「あ、あのね……? 私……りんごが、だいっっっっっっきらいなの!」
「……ほぇ?」
「……りんご屋さんにこんなことを言うのは失礼かもしれないけどね。私りんごを食べるなら死んだ方がましってくらいにね!」
白雪姫は本音を言えてスッキリとした表情で魔女にりんごを渡し、帰っていきました。
魔女は呆然として動くことができませんでした。
そして白雪姫は帰り道にて思います。
「あれ? 何で私りんごが嫌いなのかしら? ……まぁ、好き嫌いよね」
白雪姫は何故りんごが嫌いなのかわからない様子でした。
ふーんふふーんと鼻歌まじりに歩く白雪姫に近づく影。
そうです。あの魔女です。
魔女は呆然としていましたがすぐに回復すると白雪姫を追いました。
しつこい。さすが魔女。
ですが魔女は毒りんごしか用意していません。
どうやって殺すのでしょう?
「ひっひっ! りんごを食べるくらいなら死ぬんだろう!? なら死になよ!」
「キャッ!」
……物理攻撃でした。
魔女は森なので豊富にあった枝を持ってくると白雪姫の頭をぶん殴りました。
魔女なのに物理。
魔女なのに物理で殺しました。
大事なことなので二回言いました。
これは魔女と言えるのでしょうか。
魔女(仮)は白雪姫が倒れて動かないのを見ると満足して帰っていきました。
「今度こそ私が世界で一番美しい女だよ!」
ひーっひっひっ、という笑い声を森に響かせながら。
しかし魔女(仮)いや、さすが魔女(仮)
詰めが甘い。
白雪姫は死んでいませんでした。
白雪姫が何故動かないかと言うと頭に入ってくる情報をまだ処理しきれてなかったからなのでした。
(何……? 何なのこの記憶は!?)
やがて白雪姫は動きだし、立ち上がり辺りを見渡しました。
「……お母様はいないようね」
……何故白雪姫が魔女(仮)の正体を知っているのでしょう?
答えは簡単。
白雪姫は自らの歴史を思い出しました。
前世の記憶ってやつです。
「……そりゃありんごもきらいになるわよ。何よアレ……」
白雪姫はりんごで死ぬ。
これは数々の歴史で統一されていました。
遺伝子レベルまでに刻み込まれたのかもしれません。
「というか……お母様も単調になったわね。昔は首を絞めたり櫛で殺してきたりしたのに……。年かしら?」
いいえ、時代です。
ひとまず白雪姫は帰ることにしました。
7人の小人が待つ家へ。
ざわざわと八人もいる家は騒がしいのでありました。
けれどその日常を白雪姫は嫌いではありませんでした。
(……それにしてもガラスの棺なんて何処から持ってきたのかしら? ……まさかこの人達も私が死ぬのを知ってて持っていた……なんて考えすぎよね)
何度も殺された過去を持っていた白雪姫はどうしても疑ってしまいます。
ただ、それは誰にもわからない謎でした。
(……それにしても死体を持ち帰るような王子なんて私からお断りね)
そこも突っ込んではいけない。
そうしてほのぼのと真実を知った白雪姫が傷んだ心を癒していると。
扉が開かれます。
こんな夜中に誰が来るというのでしょうか。
魔女(仮)です。
さすが魔女(仮)。しつこい。
「なんであんたが生きてるんだい!」
「あら、お母様。魔法の鏡はまだ私を?」
「そうだよ! ……って、え?」
魔女(仮)は彼女の記憶も知りませんし、魔女(仮)すら知らないことを彼女は知っています。
魔法の鏡については前世で聞いたか見たのでしょう。
正体が暴かれていたり、鏡の事がばれていたりと、呆然とする魔女(仮)
意外と呆然としやすい魔女(仮)
その隙を白雪姫は見逃しませんでした。
だって彼女の命がかかっていることを彼女は知っています。
「小人さん! 彼女を押さえつけて!」
『わかった!』
小人達は白雪姫の指示に従い、魔女(仮)を押さえつけて拘束しました。
「よーし、そのままよー」
彼女は何をするのかと小人も、魔女(仮)すらも動揺しています。
彼女は外に出ると、枝を持ち、担ぎました。
「う~ん……重い……」
彼女が、何をするか。
魔女(仮)は思い付きました。
魔女(仮)は仕返しだと思い必死に抵抗します。
ですが白雪姫の行動の原理は違います。
彼女は自分に起こったことを再現しようとしていました。
つまり、魔女(仮)の記憶を呼び覚まそうと言うのです。
……それでいいのか前世の記憶。
そうする間にも白雪姫は構えて今にも魔女(仮)の頭を枝でぶん殴りそうです。
「……う~っていっ!」
「ちょ……まって……ガッ!」
ちょっと待て白雪姫。
白雪姫はゴルフのように振ったため、それは死ぬ。
ただしそれでも生きているのが魔女(仮)クオリティ。
蠢く彼女は少しするとスッと冷静になり、話始めました。
「……なんだい? これは」
「さぁ? 前世の記憶とかじゃないかしら」
「……そういうことかい。……この口調もいつからだろうねぇ。つーか不死身娘」
「なにかしら? その呼び方」
「私がどう策を練っても死なないんだからいいだろう? あの王子とは結ばれなくていいのかい?」
「あんな顔も普通で変態な王子こっちからお断りよ」
「だろうねぇ。さて、私も帰るとするかい」
「あら? 殺さないのかしら?」
「私としても真っ赤の鉄の靴は履きたくないもんでね」
「それじゃないかもよ?」
「どっちみち私死ぬじゃないか! 死にたくないのさ」
「私を殺そうとしてきたお母様らしくないわね」
「……あんたより苦しんで死んでるんだよ? 私」
「あら、そうね」
なんと魔女(仮)も記憶を取り戻したのです。
自らの真実を知った魔女(仮)は殺そうとするのをやめます。
「さて、帰るとするよ。……あ、靴を貸してもらえないかい?」
「なんでかしら?」
「この靴と形状が同じなんだよ」
「あら、そういうことなら。ドク! 用意してあげて!」
「わ、わかった!」
「今ならあんたがりんごが嫌いって言った理由もわかるよ」
「でしょう?」
靴を履き替えた魔女(仮)は帰っていきました。
そして二人は各々違う場所で違う幸せな暮らしを暮らしたとさ。
二人に何故、りんごが嫌いなのか、何故あの靴が嫌いなのか質問すると笑いながら答えられます。
『そりゃああんだけ死ねばね』
どうだったでしょう?
マッチ売りの少女と若干似てると思いました?
違いますよ?
面白いと思っていただけたら幸いです。
では皆様。
白雪姫の舞台もそろそろ閉幕。
では皆様。
閉幕!