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鉄と血と叡知によってのみ、我々は平穏を赦される‐11

「ま、待っていただきたい!」


「む?どうした宰相殿。」


「し、正気ですかな?」


うむ、正気です。

いきなり余所の王様に「正気か?」とか聞くなんて無礼も良いところであるが、まぁ今回は不問にしてあげよう。

だって、彼の呆然とした表情が非常に俺をスカッとさせてくれるからね!

いやはや、我ながら卑しい性格だなぁとは思うが、そう思っちゃうのだから仕方ない。

ベルゲン人とフェールデンの確執でコーティングされた、ドッキリ成功の爽快感と言うやつだ。

人の生き死にが(今のところは)関わっていないので、そこら辺は許してもらいたい。


ちゅーか、俺なんかまだましな方で、ウチの公爵さんとか軍人連中なんかは、何故かどや顔である。

やめなさい、君たち。

ほら、フェールデンさんが睨んでるでしょう?


「正気を疑われるとは心外であるなぁ。我々はただ、貴国の言った平穏を求めて最善と思われる決断を下したに過ぎない。のう、内務卿よ?」


「はい、ユーリ陛下。此度の事、陛下のご英断は間違っていないと、我々臣下一同確信しております。」


ここで内務卿にパスを渡して、これが俺の暴走なんかじゃなくてベルゲンの総意なんだよって事をアピっておく。

………いや、ベルゲン全体の意見を聞いたわけではないのだけれどもね。


「………いや、失礼しました。いささか言葉が過ぎましたな。なにしろ、その………貴殿方ベルゲン王国の回答が予想外のものではありましたので。」


………この宰相さん、速攻でメンタルのリカバリーを立て直した。

やっぱり、一筋縄ではいかんお人の様である。


今の俺と内務卿とのやり取りは、暴走してないアピールでもあるし、同時にベルゲン王国が意見を覆さないと言う事の表明でもある。


さて、であるからして、今のベルゲンの意思表明でフェールデンは日本との交渉のハードルがぐーんと上がってしまった訳だ。

同時に、ベルゲンと日本が次の交渉のステージに進む可能性も示している。

となると、彼がすべきは………


「ユーリ陛下。1つだけ確認させて頂きたいのですが、貴国が求める平穏と言うのはこの場に居る者全員との共存を指しての物であることは、間違いありませんかな?」


敵かそうでないか、大前提の再確認。

あるいはフェールデンがハブられる可能性の確認。


「うむ。それで間違いはない。折角、貴国フェールデン帝国との停戦がなったのだ。これがどれだけ価値のあるものか、余も充分承知しておるよ。」


うん、フェールデンのハードルあげたり、どや顔かます奴が出たりしたベルゲンだけど、別にフェールデンに喧嘩を売る気はないのだ。


日本との同盟もだが、フェールデンとの協力もまた重要だ。

フェールデンが攻め込んで来ない確証が得られるってことは、ベルゲンの西北部がフリーハンドになる。


そこに費やされていた軍事費などのリソースを、開発なんかにつぎ込める。

勿論、完全な信頼なんて出来る訳ないので、最低限の防衛力は残さなきゃいかんがね。

この辺りの国内リソース変更に関しては多分………いや、確実に国内貴族がもめるだろうが、その辺りは内務卿と外務卿の仕事である。

何でここで外務卿まで動かなきゃいかんかと言うと、彼がそこいらの水面下の調整とか得意だから。


過去、まともな外交を他国にさせてもらえなかったベルゲン王国外務部署って、国内の貴族相手に外交をかましてた様なもんだからなぁ。


「いやはや、重ね重ね失礼いたしました。それを聞いて、この老骨も安心できると言うものでございます。」


「ふふ、気にするな。お互い、祖国にとって重要な場面であるからな。多少神経質になるのも分かるぞ。」


「ユーリ陛下の御慈悲に感謝いたします。」



と、まぁフェールデンとのやり取りはこんなもんでしょう。


で、さっきから気になっている事があるのですよ。


何で日本の皆さんは若干ひきつった表情をしてるの?


ベルゲンの回答は、日本にとっちゃ満額回答だよね?


「あー、西田殿。して、日本国は我々ベルゲン王国と同盟を締結して頂けるのですかな?」


そんな俺に対して、総理大臣さんはこう返す。


「………そうですな。このような懐の広い回答を頂いた以上、我々は同盟関係締結を歓迎致します。」


ふ、ふふふ、ふふふふふふ!

やった………ついにやった!

そうだ!その言葉が聞きたかったんだ!

これで、これでベルゲンの未来が繋がった!


「ベルゲン王国国王、ユーリ・フィラルド・ベルゲンとして、貴国に最大の感謝を。」


思わず俺は立ち上がり、満面の笑みを浮かべて総理大臣さんに握手を求める。


………表情は笑顔だが、何だか彼の手のひらが汗で濡れてる。

まぁそれだけ日本も今回の件には注力しとるんじゃろ。



「………さて、ではここからは、それぞれの実務者同士で細かいところを詰めましょうか。」


そうっすね、総理大臣さん!

これで一先ず俺の仕事は終了!


後は内務卿辺りが、ベルゲンが欲しいものを手に入れてくれるでしょう。




後は………さっきからチラチラと此方を伺っている宰相も居ることだし、フェールデンにまた恩でも売るか?

………いや、やり過ぎて日本からフェールデン寄だともあんまり思われたくはないしなぁ。

取り敢えず、事態の推移を見守りつつ、ゆっくりコーヒーでも飲んだろ!

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