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鉄と血と叡知によってのみ、我々は平穏を赦される-8

さて、(フェールデン皇帝)お待ちかねの休憩タイムである!


会議室では、それぞれの国ごとに人が集まってなんやかんや話している。

多分悪巧みだろうなぁ。偏見だけど。


まぁ、会議を聞いた感じだと、別に新たな指示とかは要らなさそうである。


内務卿と外務卿はそれぞれ部下と何か相談している。

ウチの公爵さんと軍人連中も何か話し合ってる。

………俺、一人ぼっち。



フェールデンの皇帝君と遊ぼうかな!

………宰相とか側近たちと何かしら相談してる。

あぁ、さっきの会議で分からなかった事を聞いてるのね。まっじめー!

………話しかけららんない。

いや、まぁフェールデンって本来敵だからね。うん。そんなとこのトップと親しげにするって、本来はあり得ん事だし………ぼっち継続中。


じゃぁ、日本人かなぁ?

………学者さんと総理を中心にして、彼らは彼らでやっぱり相談事だ。

………ぼっち確変。


だ、誰か余っているやつは居ないのか!

違う!お前じゃない!この状況で厄ネタ抱えてそうなアメリカ人のお前じゃない!

あっ………ああっ!近づいてくる!

あにゃぁぁぁぁ!


「こんにちは、ユーリ陛下。」


「うむ。余は元気だ、アメリカ合衆国空軍中将殿。」


厄いのは解るが、だからと言って、国王のマスクは脱げません。

出来れば、出会い頭にノーサンキュー!って言いたい。


「おや!陛下は我が国をご存知なのですか!?」


「う、うむ。知っておる。日本国の理解者にして最大の友人、アメリカ合衆国の者であろう?………日本人もそうであるが、この度は不運であったな。唐突に見知らぬ世界に引っ越すなど、そちにとっても青天の霹靂であったろう?」


「これは驚いた!日本におけるマイノリティーたる我々の事をご存知だとは!陛下は良く勉強していらっしゃる!」


………に、苦手だ!

この白人特有のパーソナルスペースをガンガン広げてくる感じ………苦手だ!

話を切り上げる調度良い理由も無いのが困りどころ。

………だったら、情報を引き出すしか無いじゃない!


「ほう、マイノリティとな?もし、お主の言う通りアメリカの人間が少数派であるのならばこの場には呼ばれぬのではないか?」


「ふむ、陛下は我が合衆国についてご存知のようですな………で、あれば僭越ながら私が今のアメリカ人の状況についてお伝えしましょう。」


………そこから始まる、バーンズ中将劇場!

どうやら、彼らがアメリカ人として生きるのに必要なアレコレ。

自由とか権利の話じゃない。

自分達のライフスタイル………いや、それ以前の物だなコレは。

水や食糧といった絶対に必要な物。

これを現状は、日本政府の資金で提供しているようだ。

そして、無用な軋轢を生まない様に米軍と日本政府のやり取りは表に出ないように情報を制限されていた………が。


「その事について、すっぱぬいたメディアがありましてなぁ。」


そのメディアの論調は、日本人が苦しんでいるのにそれを救わずアメリカ人に物を施すとは言語道断!現政権は解散すべきである!


との記事を発表したとのこと。


別に彼らアメリカ人もこの非常時にタダで日本に養って貰おうとしたわけではなく、彼らができる範囲の対価を支払ったそうだ。


米軍が持っていた、ブラックボックスとなっていた知識の開示。

本国が何処かに行ったことで不安定化した、在日外国人達の統制をかって出たりしたとか………


そして最大の対価が、日フェ戦争への参戦だったそうな。

彼らは、彼らの資金を含めた貴重な備蓄資源を振り絞る様にして沿岸都市の一つを陥落せしめたそうだ。


「そなたたちが、日本へ帰化なりなんなりして日本への恭順を示せばもっと上手くやれたのではないか?アメリカ軍人としてではなく、日本人として参戦したのであれば、日本国も貴殿らの生活の面倒を見る必要があったろうに。」


「………陛下。私は今年で52歳になります。今までずっとアメリカ人として生きてきました。そんな私が、いきなり祖国を捨てられると思いますかな?」


………無理だね、それは。

個人の人格を形成する大きなファクターである周囲の環境。

その限りなく最大に近い要因が国家だ。

それをいきなり捨てろと言われても、はいそうですか分かりましたとはならんわな。

いくら友好国だからと言って

「じゃあ明日からお前はアメリカ人な!」

とか言われたら、例え今のアメリカ人と同じような

境遇の日本人だってすんなり受け入れられんだろう。


「………今の日本という土地に住む人間は、その国籍人種を問わず困窮しているのです、陛下。肌の色や信仰する宗教など関係なしに。そうなれば、皆が皆自分達が生きるために動き始めます。私たちも、私ができる範囲で彼らに寄り添おうとはしているのですが………こんな、限られたリソースしか存在しない世界ではどうしても、意見や利権がぶつかってしまいます。」


まぁなぁ。

自分が生きるために、多数派を形成しようとするのは最早人間の本能みたいなもんだし。

自分に必要な物を他人が使ってるって言うだけで人間は妬むし嫌うし争う。

………残念なことに、こっちの世界もあっちの世界もその辺りは変わらないみたいだ。


非常に乱暴な言い方をすれば、誰かを押し退けて生きられるなら誰だってそうするネ!


「………今の私たちは、日本と言う国が無いと生きられません。」


………中将は、悲しそうに言う。


「なぁ、中将殿。余もその気持ちが良くわかる。人はきっと、より良い生活のために国家という人の集まりを作った。だがしかし、その国家と言う人の集まりの都合で、時に思い描くより良い生活を諦めねばならん………結局の所………っと、どうやら会議が再開されるようだ。」


………ふむ、日本が抱えている問題の一つが分かっただけでもこれは前進かな?


まぁ、ウチがそれを解決出来るとは思えんけどな。

もしその解決方法を日本が見つけたら、何か手助け位ならできるかもね!

PVが100000超えました!

読んでくださる皆様のおかげです!

これからもどうぞ本作をお願い致します!

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