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鉄と血と叡知によってのみ、我々は平穏を赦される-3

短めです。

ベルゲンの面々は、皆同じような表情をしていた。

なんと言うかこう、

「利点が有るのは分かるけど、感情的に納得いかねー!」

と、顔に書いてある。

あの外務卿でさえそれである。


次に、日本側の様子を伺うと………

こっちは、表情が読めませんねぇ。

まぁ、もしも日本がダイアス=ロングランドとお近づきになりたいなと思ってた場合は、この提案は邪魔でしかない。

可能性は低いと思うが、ゼロじゃない。


ダイアス=ロングランドは商人の国、そして大々的に他国で商売をしていると言いましたね?

要するに、彼らは外国が欲しがるような商品を持っている訳なんですよ。

コーヒーだとかの嗜好品や、あれだ船で運ぶと大金に化けるハイパーミラクルシンボリックアイテム、香辛料様だとか。

時には、商船や軍艦なんて品物も扱うしね。


日本が船を欲しがるとは思えないが、気候的に栽培の難しい作物だったり、そもそも嗜好品ゆえ増産の対象に入ってない作物だったり。


………多分タバコ税も上がってるよなぁこれ。

ドンマイ、日本の喫煙者さん。



閑話休題。

当たり前だが、日本もベルゲンもこの場で結論を出すなんて無理だろう。

一端それぞれの身内で話し合う案件だ。


幸いにも、難航するかと思われた停戦については異例のスピードでまとまった。

この日本の滞在中は、何とか時間がある………いや、やっぱり無いわ。

これ、もしも日本が賛成ですって結論だしたら、俺達ベルゲンば要らん子扱いさるっど。

先ほど、三国でと宰相自らが言ったので同盟から蹴り出される可能性は無いだろうが………代わりに何か変なこと要求されそう。

バス会社も、ただ乗りは許したくなかろう。

何かしらのペナルティは用意されるでしょうしね?

理不尽に感じるかもしれないが、大国なんてどこも理不尽なもんですぜ?



ここは………使っちゃう?

[ジョブ:国王]の固有スキル、強権発動。


使っちゃうか!


「我がベルゲン王国はフェールデン帝国からの提案に賛成する。」


そのとたん、ものすごい勢いで俺の方を向くベルゲン組。

皆一様にギョッとしてる。


「どうした、此度の提案受けない手は無かろう?」


「しっ、しかし陛下!」


そう噛みついたのは、東部トゥルド公爵『ソベ・トゥルド』さん。

毎回フェールデンとやりあっている場所に領地を持つ、この場では最も現場側の人。

後はえーと………パッと見黒人さん?


「どうした、トゥルド公?」


「ぐっ………」


彼は何を言うでもなく、悔しそうに口をつぐむ。

うん、この場で俺に反論するのがマズイって事が解るくらいには、彼も理性的なんだろう。


はぁ。

何となく皆を後ろから刺したようで気が重いぜ。

でも、やらくてはいけない事だと思うのだよ。


次に俺は、日本の大臣に視線を向ける。


「此度の停戦の目的は、平和を得ることにある。非常に残念なことではあるが、我々ベルゲンとフェールデン両国間での取り決めではこの平和が保たれる可能性は低いと思う。ベルゲンとしては平和と、繁栄のためにも日本の同盟参加を強く希望する。どうか、前向きに検討してほしい。」


ついでだ、頭も下げちゃろ。


「………ユーリ陛下、頭をおあげください。申し訳ないのですが、我々二人だけで結論を出すには、事が大きすぎます。急ぎ閣僚会議に図りますので、結論はしばしまっていただきたい。」


「………分かった。だが、出来るだけ急いでほしい。ダイアス=ロングランドが大人しく待ってくれるとも思えんのでな。」



その後、俺達は一端解散することになる。

急いで会議室を後にした日本側の出席者の後ろ姿が、ひどく印象に残った………

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