我が国の内情を鑑みるに、その提案は受け入れられない‐15
和平会議で一番にイメージする人物は、何故か「故アラファト議長」だったりします。
はい、作戦会議!
皆シューゴー!
今回の議題は『仲裁仲介乗る?反る?』である。
先程の謁見の間に居たメンバーは丸山さんを除いて全員参加です。
国王なんだから、そんな会議なんてダルい事せずにスパッと決めろよだって?
流石に今回の件は、それをするには事が重大すぎましてね。
少しでも、国内の不安や不満を和らげる為にもこういった形にすることは無意味じゃないのだ。
本音は、和平反対派をそれとなーく説得する場が欲しいのだけどもね。
「さて………此度の日本国からの申し出、受けるべきだろうか?皆の忌憚なき意見を聴きたい。」
とその途端に出るわ出るわ。
「私は反対ですぞ!我が国とフェールデン不倶戴天の敵同士!とても手を組むなど!」
「いや、ここはフェールデンとの国境を安定させ、一刻も早く日本の持つ技術を取り込むべきである!」
「大体おかしいのだ!何故争っていた日本とフェールデンがこうも協調出来ている!?やはり奴等は手を組んでいるのでは!?」
「この際、奴等が手を組んでいようと関係ない、今日本の用意した馬車に乗れなければ、今度は日本の技術を取り込んだフェールデンが敵となりかねないのだぞ!」
「そもそもそれがおかしいのだ!我らベルゲンの未来は我らの手によって拓かれるべきである!何故日本に………」
エトセトラ、エトセトラである。
白熱する謁見の間を横目に見ながら、俺と三卿はこっそり話し合う。
「なぁ、その方らはどう思うのだ?」
「「「賛成です。」」」
お、おう。
「というか、もはや賛成以外とれないでしょう。」
「左様。公使殿は、和平仲裁提案の場で血の話をされた。これは、より武に国が向いている証でしょう。」
「ここで、日本の利益の障害となる動きを我が国が見せれば最悪日本が敵に回るでしょうな。フェールデンとボルストが陸から、ダイアスが海から、日本が空から我が国を攻め立てれば、流石に我が軍でも国を守れませんぞ。」
「それに、この提案は我が国にも利があるのでですね………」
………その後、白熱する奴等を俺と三卿で説得したり宥めたり餌で釣ったり脅したりして、何とかこの仲裁の提案に乗る方向でまとまった。
因みに今回の会議(?)のMVPは外務卿。
そこら辺の調整は本当に上手い。
そんなこんなで、翌日の朝一番に日本国公使殿へとベルゲン王国の決定を伝える。
「ユーリ陛下。我々日本国は貴国の英断を歓迎いたします。」
「フェールデンがどう動くにせよ、これから暫くは忙しくなるな。よろしく頼むぞ。」
「ええ、今後とも是非に。」
そんな会話を交わして、丸山さんは日本に戻って行きました。
三日後、僕のお家にお手紙が届きました。
フェールデン帝国が和平の動きに賛同。日本への仲裁を申し出た、と。
「軍務卿!軍務卿は居るか!」
「陛下ァ!ここに居りますぞ!」
「フェールデンが和平に乗った!今すぐ国境の兵達に停戦を命じよ!」
「かしこまりました!」
「良いか、くれぐれも妙な事をさせるなよ。徹底させるのだぞ!」
「はっ!我が命に代えましても!」
そこから更に俺達は慌ただしく動くはめになった。
伝令を出した四日後には、ベルゲンとフェールデンの軍事行動は鎮静化。
互いに一部の跳ねっ返りが出たりしたものの、それについては自衛隊がヘリやら何やらで脅して静かにさせた。
更にその二日後には、第一回和平会議の開催が決定。
場所は………日本国首都、東京都である。
当事国どちらかの国内でやるのは問題だし、他に出来る場所がないから仕方ない。
送り迎えは日本が責任を持ってやってくれるそうだしね。
あと、問題は誰が会議に出席するかだけども………俺が行くと言ったら反対された。
重要な会議なんだからトップが出席して誠意を見せることに意義があるのに!
え?跡継ぎが居ない今、俺に何かあったら色々とアカン事になるって?
ガッデム!私が死んでも代わりはいないのか!
帰ったら!帰ってきたらお見合いでも養子でも何でもするから!
だから今回は行かせて!
懐かしきスシ、テンプーラ、フジヤーマが俺を呼んどるんや!




