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我が国の内情を鑑みるに、その提案は受け入れられない-5

時間が空いてしまって申し訳ありません。

年末なんて消えてしまえばええんや!と思う今日この頃。

大変申し訳無いのですが、もうしばらく更新期間が長くなりそうです。

さてさて、こちらベルゲン国王です。


王様のお仕事って言うのは、玉座に座って誰かの相手をしたり、部下との会議でうんうん唸ったりするだけでは御座いません。


国の顔として、国民に向けて大事な情報を発信するのもまた大切なお仕事なのである。


何かフワッとしすぎて、何をするか良く解らないって?


凱旋パレードでの演説ですよ。

おめかしした正規軍を並べて、群衆の前で、「今回も勝ったぞ!それもこれも、皆のおかけだありがとー!」とやるわけだ。


まぁ、得られるものは無く失うばかりの戦争だったんだけどね。


というか、ウチの戦争はいっつもそうなんだけれども。

実はこの国、表向きはそんなに負けた事がない。

多分、片手で足りるくらいしか負けた事がない。


え?ベルゲンって強いの?と思ったアナタ!

そんな訳はないのでご安心ください。


では何故、あまり負けていないのか。

それは、歴代の王様が『敗北』したと言っていないからです。

国境の村が焼けて、村人が多数犠牲になっても敵を追い返したらそれを『勝利』したと言います。

敵に領土を削り取られた場合でも、「皆の奮闘のお陰で、ベルゲン王国は生き延びました、これを『勝利』と言わず何と言う!」とかなんとか言って『勝利』にしてしまうわけだ。

では、どんな時に『敗北』するのか。

はい、国王が戦死した時です。

国王が出陣するのが割りとレアケースなのに、更に戦死となると片手で足りてしまう訳です。

僕の父さん(血はつながってない)は、そのレアケースに該当しちゃったり。悲しいね。


この負けないベルゲンの話を内務卿から聞かされた時、俺はこう思ったのです。

「あ、これって大本營発表ちゃいますのん?」と。

実際どう見ても負けてる時でも、勝ったと言っちゃうんですもの。


まぁ、魔法とかあるこの世界ですもの。

国民の耳に入る情報のルートなんて、そんなに数がないのだ。

一番信頼されているであろう公式発表は、王様の口なのだ。

………嘘ですごめんなさい。

やっぱり、それを疑問に思う国民は一定数居るみたいなんですよ。

それを、圧倒的多数による同調圧力で押さえ込んでいる訳だ。


何故こんなことになっているのか?

それは、このベルゲン王国という国の人間なら『敗戦』したら、もう後がないと知っているからだ。

『敗戦』によって、家族を、自分の民族を、この国を歴史上の言葉にしてしまわない様に、無理にでも自分達を奮い立たせる。

その執念が、現在のあまりにも息苦しく歪なベルゲンを作り出した訳です。


さて、そろそろ時間だ。

王宮前の広場には、多くの聴衆が集まり、壇上には正規軍の上層部が集まっている。


俺が姿を表すと、場がざわめく。

五秒………十秒………まだざわめきは収まらない。

更に時間が経過する。


やがて、俺が口を開かないことを不審に思ったのか、聴衆からの音が小さくなる。


やがて、場が自然と静まり返った頃、初めて俺は言葉を発する。


「諸君、この度はご苦労であった。辛い戦争の時間は終わった。我々の勝利と言う、輝かしい結果で終わった。宗教狂いのボルストも、拝金主義者のダイアス=ロングランドもすごすごと、逃げ帰った。奴らは強大だった。地を埋め尽くさんばかりの軍勢を、海に犇めく艦隊を、我々からこの美しい国を奪うために送り込んできた。我々の未来を!奪うために送り込んで来たのだ!だが結果はどうだ!奴らは身体中を血塗れにしながら、何も得られずに逃げ帰ったのだ!諸君、誇りあるベルゲンの子らよ!我々は守りきったのだ!国を!誇りを!未来を!さぁ、この輝かしい勝利を皆で分かち合おう!ベルゲンを守り散った者達を皆で讃えよう!胸を張れ!我々こそがベルゲンその物なのだ!さぁ、諸君!高らかに叫ぼうではないか!勝者足る我々が何者なのかを!ベルゲン王国万歳!」


と、ここまで言い切った時に壇上の軍務卿が叫ぶ。


「ベルゲン王国万歳!」


やがて、それは軍人達へ広がり広場の聴衆に伝播した。


「「「ベルゲン王国万歳!ベルゲン王国万歳!ベルゲン王国万歳!!」」」


そして俺は、大衆の割れんばかりの叫び声を背中に受けながら、王宮内へと戻る。


………っべー、超緊張した。

追記。

12月20日に頂いた感想が、行方不明になっております。

私が思い出せる限りの内容で、返信を活動報告にあげております。

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