我が国の内情を鑑みるに、その提案は受け入れられない-1
日本によるフェールデンへの逆襲。
これにより、世界は大きく動きを見せた。
フェールデン以外の国々が急速に日本への接近を始めたのである。
ボルストとダイアス=ロングランド。
両者ともに弱ったフェールデンから、何かしらむしりとれる絶好の機会と判断したのだろう。
両者とも、日本への援軍を打診しているようだ。
ベルゲン?国内の復興も必要なんだから、そんな余裕ないです。
それに、21世紀の倫理観バリバリの日本だと、こちら側の国の兵士とか(規律とかユルユル過ぎて)受け入れづらいだろう。案の定やんわりと断られたようだ。
まぁ、軍事的なところだけじゃない。
今後各国が日本との外交的な繋がりを持つとしても政治的な部分でやっぱり苦労するだろう。
ボルストは、宗教キチ。
ダイアス=ロングランドは、奴隷大好き。
フェールデンは、戦争大好きの強権で狂犬の国だ。
日本に喧嘩売った前科も生えたし。
ベルゲン?ウチは被害者面してるけど、専制共産主義国家だもん。
国家存続のために、国民の自由とか(日本ほど)認められないしね。
国防の要である国境付近の村なんかは職業や転居を基本国が管理しているのです。
しかも、国としては軍事に注力しまくり。
一歩間違えば、北○鮮みたいに見られかねない。
いやまぁ、日本に噛みつかない北朝○見たいなもんだけどさ。
で、各国はフェールデンを除き独自に日本との関係を構築し始めるだろう。
ダイアス=ロングランドは市場開拓。
フェールデンは、技術提供。
ボルストは………何だろう?
ベルゲンは、技術提供と出来れば安全保障。
これが各国の日本にして欲しいことの本音であり、主目標になるだろう。
勿論そんな本音をオブラートに包んで、各国とも文化交流とか言いながら関係を構築し始めると考えている。
その関係の第一段階をどう進めるかだろう。
フェールデンは間違いなく、停戦と講和と国民感情のコントロール。
ダイアス=ロングランドは………貿易かなぁ?
ボルストは………布教許可………の、ような気がする。
ベルゲンとしては、条約締結で明文化された真っ当な国交樹立。
国交樹立宣言はしたけど、条約については目下作成中ですよ。
んで、その日本との条約草案作成段階にて、あれやこれや議論しているウチに俺たちベルゲン首脳部は気づいてしまった。
あれ?これって、今日本との貿易の自由化を行っても、ベルゲン国民に日本の商品を購入する経済力が無いんじゃね?
日本のしてほしいことに、ベルゲンの市場解放があると予想されるのに、これは不味くない?
と。
ここで、ベルゲン国民の生活について少し説明させてもらおう。
まず、一般的なベルゲン国民は固有財産をあまり持ってない。
まぁ、別に国民が財産を持つことを禁止したりはしていない。
しょっちゅう戦争があるから、結果的にそうなっているだけで。
勿論、そんな中でもより豊かになろうとする人間は居る。
代表例が商人さん達です。
ただ、その商人に関しても国が思いっきり干渉出来たりする。商品の価格設定とかね。あと、戦時には伝令になってもらったり。
その代わり、ベルゲンは街道の整備や道中の安全何かを提供するのですよ。
勿論、国の干渉に文句を言う商人さんは居ます。
しかも、文句を言うくらい気概のある商人さんは大体とってもお金持ちです。
だけど安心してほしい。そんな商人さんは、ある日突然愛国心に目覚めて全財産を国に寄付して、自らは一番キナ臭い国境付近への移住を申し出るのだ!!スゴいぞ商人さん!スゴいぞベルゲン!
因みに、商活動のうち貿易に関しては外務が行っています。
一般の商人はノータッチです。
と、まぁとにかくウチの国民にそんな財力はない。
少なくとも、日本が望むような市場としての価値は今のところないのです。
まぁ、お陰でいきなり自由化とかしてもベルゲンの国内産業が壊滅的なダメージを受けたりしないから助かるけれども。
技術チートで安くて良質の商品を大量に輸出してドャァ!させてもらえない様ですねぇ。少なくとも、ベルゲンには。
………少なくとも今はダメージが少ないだろうから、市場解放はオッケーと言う事になったけど。
で、最終的に出来上がった草案がこれ。
第一条
・ベルゲン王国と日本国の国民は、相互に尊重しあい、互いの良心を持って友好的な関係を構築する。
第二条
・日本国はラライノフに、ベルゲン王国は東京都にそれぞれ大使館を設置する。
・両国の大使館敷地内では、相互の国の法律が適用される。
第三条
・ベルゲン王国は、ラライノフ港を日本に対して即時解放する。
・ベルゲン王国は、日本人のラライノフでの自由な商活動を保障する。
・日本人のラライノフ以外での活動を禁止する。
第四条
・ラライノフにおける、日本人の犯罪はベルゲン王国の法によって裁かれる。但し、大使館敷地内においてはその限りではない。
第五条
・両国間での商取引は、全て金と銀によって行われる。
・ラライノフにおける日本円の流通は認めない。
第六条
・ベルゲン王国国内においての日本国自衛隊の活動は、ベルゲン王国国王が許可した場合のみこれを認める。
第七条
・本条約は、ベルゲン王国と日本国の両国間で締結されたものであり、第三国への適用は行われない。
市場解放は、とりあえずラライノフを通して行われますよと言うことですね。
まぁ、取り敢えず最初はこんなもの。
ちゃっちゃと、この草案を日本に投げつけよう!
ガバガバ条約草案でございます。