我が国は、貴国の脅迫に決して屈しない‐10
地獄の釜の蓋が、いい感じに開いてしまいました。
絶望の三面戦争である。
今、国境ではR-18な光景が繰り広げられていることでしょう。R指定の後ろに(G)がついたりつかなかったりですね。
相手は、圧倒的兵力差のある大国だからね。まともにやっても勝てるわけ無いですので。
さて、ここでちょこっとベルゲン王国の国防体制について説明させて頂こう。
まず、ベルゲン王国は『王国』の名が示す通り国王を頂点とする専制君主の国である。
まぁ、王宮内でのパワーバランスやらなんやで、百パーセント王様の思い通りと言うわけではないが。
それでも、中央集権については実は周辺三国よりも進んでいる。
これには、命令を迅速かつ確実に下に伝えて実行させないと滅ぼされてしまうというしょっぱい現実があるからなのだが。
で、そんな王様(というか王宮)の強権をバリバリ活かして、国民皆兵制度をとっている。
男女問わず一定年齢以上は強制である。13歳以上は皆です。
しかしながら、国民全員にガッツリ軍事教練をしている余裕は無い。勿論常備軍は持っているけれど。
普段は畑を耕し、有事の際には軍事力として活躍してもらう。なんちゃって屯田兵だ。
勿論、ただの素人に武器を持たせて敵に突っ込ませても有効打は与えられない。
ここで専制君主という体制が活きてくる。
専制君主ってまぁ、乱暴な言い方すれば独裁制だ。国民の職業や居住地をガッチガチに管理している。
で、国境付近に軍事的に効率の良いように村と人を配置しているわけだ。
国境の国民の生活そのものが、戦争になれば防衛線に早変わり。
攻めてきた敵は、ベルゲンそのものに牙を剥かれるというわけだ。
でもまぁ、あくまでほぼ素人の抵抗であり敵の攻勢を跳ね返すだけの力はない。
配っている武器だって、槍と剣と後は最後の切り札位だ。
侵攻速度を遅らせて、想定外の出血を与える。
で、敵の足が鈍り疲弊させた所で常備軍の集中投入を行う。
相手が引くまで。
三国どの国であっても、ダメージがあればそこを他の二か国につけこまれる。
そんな状況になれば、一応防衛戦はこちらの勝利。めでたくないけど幕は降りるのである。
勿論、これはあくまで基本の形。
こんな展開にならない事だってあるが、何とかカタを着けるのが中央のお仕事です。
そのためにも相手に出血を強いる必要があるので、動員兵数が一番多いところにこちらの虎の子常備軍をぶつけないといけない。
まぁ、それでも縄で柱に縛り付けられながら生かされている感は拭えない。
三国のうちの何処かが本気を出せばベルゲンという国はあっさり滅ぶ。
ただ、滅んだあとに残るのが風呂場のカビが如くしつこくテロを起こす元ベルゲン人。
この地を治めるのにはバカみたいなコストが掛かる事が簡単に想像できる。
民族浄化でもすればいいのだろうが、それだって時間が掛かるし、他の二国が黙って見ているわけがない。
ダイアス=ロングランド以外。
あいつらなぁー、時々頭がおかしい位外交上の奇跡を起こすからなぁ。
ベルゲン王国を滅ぼした後で、統治する時間を百年単位で稼ぎかねない。
とても怖い。
三国のなかでは比較的対話が出来る国だから、国内では驚異度が他の二国に比べると低くみられている。
俺はあの国が一番怖いがね。
さて、改めて今の国境の動きを見てみよう。
ボルストの今回の兵力は500万。
こちらはベルゲンに声明が届いた直後に、兵力200万を進軍させた。
残念ながら順調に村々を制圧しているようです。
軍部の予想では、こちらは取り敢えず一月は持ちそうである。
次にダイアス=ロングランドですが、主力艦500隻規模の5個艦隊で沿岸部に嫌がらせを行っている。
此方については、何時もの勢いが無い。
他の二国と、ひょっとしたら日本の警戒もしているのかもしれない。
なお、ベルゲンの制海権は既に息をしていません。
今のままで居てくれれば、半年程度は持ちこたえられる模様。
最後のフェールデン。
国境に展開した兵力100万のうち、半数の50万を以て侵攻。
何時もより大人しいですね。
此方も周りを警戒しているのでしょう。
此方は一年弱は持ちこたえられそうです。
ここから導き出される回答は………ボルスト側に兵力オールインですね。
「軍務卿。では、セオリー通りボルストを撃退すべく兵を動かせ。」
「かしこまりました。早急にあの宗教狂いどもを土に還してご覧にいれましょう!」
「うむ、期待しておる。」