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体育館の裏ってどこですか?  作者: 佐々木コジロー
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待ち合わせ

「我が弟子よ……」

 大臣が校舎を出て少し離れた体育館に向かっていると、通り道にある大木から声が聞こえた。

 大臣が見上げると、大木の上方の枝に声の主を見つけた。

「師匠! お久しぶりです。こちらにいらしていたんですか!?」

「ああ。一昨日に声をかけた人物を追ってきたらここに辿り着いてな」

 ぼろぼろの服を着た猿のような風貌だ。

「そうなんですか」

 一昨日と言えば、大熊と再会した日だが……。大臣は右手がまた強く震えるのを感じた。しかし、それよりも体育館の裏に行かなくてはと思い直した。

「お主に次ぐ弟子を探しておったのじゃが……」

「そうですか……。僕はもう……。」

「わかっておる。それはもうよい」

「すみません。師匠。では、ちょっと急いでいますので、今日はこれで……」

「連れんのう。とはいえ、元気そうで何より。遊びに来るだけで良いので、また会いに来い」

「はい! では。」

 大臣はそう言って駆け足で体育館に向かった。


「手紙見てくれていないのかなぁ……」

 体育館の西側で月下美桜はぼそりとつぶやいた。

 校舎が体育館の東側なので、ここが裏だと思った。

 自分の書いた手紙を思い返す。そういえば時間を指定していなかったと思った。

 しまったと思ったが、下駄箱に入れてしまえばもうどうしようもない。

「もう少し、待ってみようかな」

 教室を出てここに着いたときは心臓が飛び出るのではないかというほどドキドキしていたが、徐々に来てくれるのかという不安の方が自分の中で大きくなってきていた。

 ザッ

 そんなとき、体育館の北側から足音が聞こえた。

 来てくれた!

 そう思って足音のした方を見る。

「!!」

 自分が思っていたのとは違う人物が現れた。


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