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ワーカホリック  作者: 茶ノ木蔵人
王都に響き渡る唄
36/45

第4話:入国審査

 火の月の第六週の二日。侑人達一行はセビルナ王国の首都セビルナへとたどり着いた。

 通常であればティルト村から首都セビルナまでは馬車で二週間程度の道程だが、侑人達一行が旅立ってから既に三週間という日時が経過している。


 理由は単純だ。全ての元凶は侑人の行動にある。


 侑人は道中で大嵐の被害にあった町や村を見かけるたびに、馬車を止めて復旧の手助けをしていたのだ。

 “岩壁生成(クアイヌルム)”で堤防を直したり、“石つぶて(ラピスブレット)”で道を整備したりしながら移動する侑人を放置する訳に行かなかった一行は、侑人に付き合って無償奉仕しながら首都セビルナへの旅路を進んでいた。

 侑人の中に逃げ込めたはずのアンナも、マリアの『あなた逃げるのね』的な目に挑発され、マリアと張り合う形で侑人と全ての行動を共にしていたりもする。

 ちなみに侑人達のその行動は、奇跡の善行を行う神の使いの一団として、セビルナ王国中の名声をさらに高める効果があったのだが今は割愛する。


 そんな事を知る由も無い侑人とマリアの二人は、セビルナ王都の入り口で周囲を見渡しながら、街の規模の大きさに圧倒されていた。


「凄い大きいねぇ」

「ああ、正直驚いた。異世界に来たんだなって初めて実感したかもしれん」

「ユート、誰が聞いてるか判らないからその話題は口にしないほうがいいよ」

「すまんマリア。考えなしだった。気をつける」


 周囲は喧騒に溢れている為、話している内容が他人に聞かれる恐れは限りなく低いのだが、侑人の立場を考えれば気を使うに越した事はない。

 とはいってもセビルナ王都までたどり着けた今の段階で、問題は殆ど起こらないだろう。危惧する部分があるとすれば、クーラント魔国の第一王女というアンナの素性が表ざたになる事位か。

 だが、なし崩し的にではあったが侑人の従者になる事を宣言したアンナは、黒髪の勇者の筆頭従者の立場を得ている感すらあるのだが。


 ちなみに首都セビルナ街は王城を中心として、幾重にも連なる堅牢な城壁に囲まれている城塞都市である。

 王城に一番近い城壁の外側は貴族たちが住む区画であり、国に使える武官や文官であっても、王城へ向かう街道から逸れて容易に区画内に立ち入る事は許されていない。

 その外側に位置する二番目と三番目の城壁で囲まれた区画が、国に使える一般の武官と文官が居住する区画になっていて、このエリアに立ち入るには明確な身分証明書が必要となる。

 簡単に説明すると内側に行けば行くほど高い身分のものが居住する区画になっており、三番目の城壁を一つの区切りとして厳格な管理が成される形で街は形成されていた。


 三番目の城壁の外側からは、一般の国民に解放されたエリアになっている。平時は門を守護する衛兵達と、六名一組で構成された衛兵達が定期的に街中を巡回して治安を守る形だ。

 街中を巡回している衛兵達の動きは統率が取れており、一見すると物々しい雰囲気に思える。しかし首都セビルナの実態は全く逆だ。

 正規の入国手続きを行えば怪しい行動をしない限りは自由に行動ができるし、所定の場所へ届出をすれば余所者でも市として指定されているエリアに屋台を出す事もできた。

 だが戦争や異常事態が起こった時には雰囲気が一変する。城壁に備え付けられている全ての門が堅く閉ざされ、城壁一つ越えるだけでも一定の審査と確認が必要になる仕組みなのだ。全ては街の治安を守る事が優先され、状況によっては長期間セビルナの街に拘束される事もありえた。


「しっかし本当に大きな街だな。しかもこれからもっと大きくなりそうだ」

「なんかあっちこっちで工事してるね。街をもう一回り大きくするのかな」

「だろうね。人が増えすぎて今のままだと街に入りきらないんだろうな」


 地方からの出稼ぎ組みも多く集まる首都セビルナでは、侑人やマリアのようなお上りさんは珍しくない。しかし他人の視線を全く気にしてない素振りでキョロキョロと周囲を見渡す二人の姿は非常に目立ち、周囲の人達から生暖かい視線を送られていたりもする。

 そもそも黒髪を隠す為にターバンを頭に巻いている侑人と、見目麗しいハーフエルフのマリアが、仲睦まじく話していれば目立たない方がおかしい。そしてハーフエルフのマリアに対して、普通に好意的な目線を送ってくれる首都セビルナの治安は良好と言えるだろう。


「ほえー。ティルト村じゃ考えられないね」

「あそこはあそこで良いとこだと俺は思ってるけどな。むしろ人が多い都会より、長閑な田舎の方が俺は好きかもしれん」

「んー。私もティルト村の方が好みではあるかもね。あ、前に進まなきゃ」


 人波に紛れ込んでいる侑人とマリアの前方空間が少しだけ空いている事に気付き、二人は少し慌てた様子で前進する。

 侑人とマリアは首都セビルナの入国手続きを行う為、一般人の人達に混じって審査待ちの長い行列に並んでいた。


「あ、そういえばマリアは大丈夫か?」

「ん? 大丈夫って何が?」

「うーん、何と言っていいのやら……。ほら、人が多いと若い連中もそれなりに多いから、ちょっとだけ心配かなって思ってさ」

「あー、そういう事か。こうしてるから大丈夫だよ」

「お、おう……。な、なら良かった……」


 笑顔で左手を上げるマリア。その手には侑人の右手がしっかりと握られていた。

 河原でお互いの心情を吐露した一件からマリアとの距離感がかなり近くなっていて、それに慣れない侑人はドキドキさせられっ放しだったりもする。


「並んでる私達もちょっと疲れるけど、あそこで審査してる衛兵さん達は大変だよね」

「そうだな。もっとこう、大きな建物の中でじっくりと審査をするもんだと勝手に思ってたけど実際は違うんだな。今だけだと思うけど」

「今だけ?」

「ああ、一時的な処置だと思うよ。流石に一年中あの環境だと辛そうだしな」


 二人から少し離れた場所には簡素なテントが十数張り建てられており、その下には長机がズラリと並べられている。どうやらテントの下で入国審査が行われているようだ。

 テントから少し離れた場所では何かの建物を作る工事が行われ、職人がひっきりなしに出入りしている。外見は既に出来上がっているので、内装工事を急ピッチで進めているように見えた。

 更に離れた場所に視線を移すと、新たな城壁が次々に築かれている様子が目に映る。しかし完工まではまだ程遠い様子だ。城壁を築く予定地には簡易的な木の杭が打たれ、衛兵達が物々しい様子で巡回していた。


「入国審査を行うなら一番外側でやらなきゃ意味がないって事?」

「そういう事。後は何か揉め事があった時に、俺達を守るのも大事な仕事って事だな」


 夏場の日中にもかかわらず鈍い銀色に光る鎧を着込んだ衛兵達は、次々と訪れる人々を真面目な表情で捌いている。

 適度な治安と適度な自由。この二つが良い相乗効果を発揮して、首都セビルナは今も拡大を続けていた。




「お待たせしました。次の方どうぞ」


 入国審査待ちの列に並んで一刻が経過した頃、ようやく侑人達の番が訪れた。

 炎天下の下で列に並ぶだけでも体力をかなり消耗し、侑人もマリアも疲れた表情を浮かべている。


「お二人とも暑い中お疲れ様でした。もう少しの辛抱ですからご協力を宜しくお願いします」


 侑人達を審査する衛兵は歳若く見えた。さすがに侑人よりは年上だとは思うが。

 長時間働きっぱなしなのに疲れている様子を見せず、丁寧に応対する彼の態度を見た二人は、慌てて姿勢を正して笑顔を浮かべる。


「お仕事お疲れ様です。宜しくお願いします」

「凄い人の数ですね。俺ならこの人数を処理しろって言われた瞬間に逃げてますよ」

「あはは。確かに凄い人数ですね。でも今の時期は仕方ない事なんで諦めてます。そのうち落ち着くでしょうし」


 乾いた笑いを浮かべつつ若い衛兵はそう答えた。どうやらこの人数が押しかけるのは一時的な事らしい。

 それなら良かったと侑人は安堵しかけたのだが、続けて耳に届いた言葉で思わず固まった。


「お二人も新しい司教様の就任式典目当てでのご来訪ですか? 今ならまだ宿も取れますし、早めに来て正解ですね。しかも今度の司教様の後ろ盾があの黒髪の勇者様って話なんで、式典の準備も大忙しなんですよ。今工事している一番外側の区画は新しい街区になる予定なんですけど、その前に新司教様のお披露目の広場として使うんです。どのくらいの人数が集まるのか想像すらできないので、何もない広場を作った方が早いし安全だって上が判断しまして」

「そ、そうだったんですか。それはご迷惑をお掛けしてごめんなさいと言うか何と言うか……」

「あはは……。就任式典目当ての様な、ちょっと違うような感じかな……。私には上手く説明できないから、ここはユートに任せるよ……」

「ちょっ! ってまあ、適当にでいいのか……。了解」


 思わず引きつった笑いを浮かべた二人に向けて、若い衛兵は少々怪訝そうな表情を浮かべたのだが、気を取り直したらしく事務作業を進めていく。


「文字は書けますか? 書けるならここにお名前と出身地の記入をお願いします。書けないなら私が書きますので気軽に言って下さい」

「文字なら書けるんで大丈夫です。あ、俺が全員の名前を書いても大丈夫ですよね?」

「はい。代筆が認められてますので大丈夫です。ちなみにお二人だけでなく、他の方もいらっしゃいますか?」

「ええ、俺達の他にあと二人居て、四人で旅をしてここまで来ました」

「それなら全員の名前の記入をお願いします。それと一人銀貨一枚の入国税が掛かりますので準備をお願いします」

「銀貨は私が用意しておくね」

「ああ、頼んだ」


 ちなみにアンナは『入国審査なんていう面倒な事はユートに任せたのじゃ』と言い切り、侑人の身体の中に引き篭もっている。そしてヨーゼフには旅の疲れを癒してもらう為、馬車の中で待機して貰っていた。

 侑人は溜息を吐きつつも丁寧な文字を心掛け、ヨーゼフ・ホラント、マリア・ホラント、ユート・コサカと順番に書き進めていく。勿論全員の出身地欄にはティルトと記した。侑人も名誉村民として村中から認知されているので嘘は書いていない。

 マリアとヨーゼフの特訓により身に付いた流麗な文字が、滑る様に入国審査用紙の上で踊る。若い衛兵はその様子を感心した様に見つめていた。

 そしてそのまま無事に記入が終わると思われたのだが、ちょっとした問題に気付いた侑人の手が止まる。アンナの境遇が頭から抜け落ちていたのだ。

 アンナの名前を書く所で少々考え込む素振りを見せた後、侑人は脳内に向かって問い掛けた。


『アンナ。アンナの姓はどう書けばいいんだ? ヴィヘルム・ケトラーって書いたら流石にまずいだろ?』

『確かにまずいの。じゃがわらわにとって仮初の姓などどうでも良い事なのじゃ。雑務は全部ユートに任せると決めたゆえ、勝手にすると良い』

『おいこら。そんな事言ってるとコサカって書くぞ』

『くくく……。マリアの目の前でそれができるなら勝手にするのじゃな』

『…………』


 アンナの挑発を受けた侑人は真剣な表情を浮かべる。今の対応が今後の侑人の生活に大きな影響を与えてくるのだ。


 ここで一発漢らしさを見せてアンナに一泡吹かせるべきか。


 そんな事を考えつつも侑人は意を決する。

 しかし結局侑人が書き込んだのは、アンナという一つの単語のみだった。


『へたれめ』

『……戦略的撤退と言って貰おうか』


 アンナに完全敗北を喫した侑人は、すごすごと入国審査用紙を若い衛兵に渡す。

 それを受け取った彼は、上からゆっくりと名前を確認していたのだが、アンナの名前の所で視線を止め、予想外の言葉を発した。


「このアンナという方に姓はないのですね。でしたら所有者の名前を横に書き加えて下さい」

「所有者?」

「はい、この方は一般奴隷って事ですよね?」

「奴隷!?」

「何かしらの事情で一般奴隷になった者は姓を剥奪されますのでそう思ったのですが、違うのですか?」

「違うも何も奴隷が居るって事すら知らなかったんですけど……」

「それはおかしいですね。奴隷制度の事やその扱いは、ハルモ教法王庁教圏国家群に住む者なら全員が知っているはずなんですけど。貴方は本当にティルト村の出身なんですか?」


 若い衛兵の目が鋭く光る。周囲で警護に当たっていた衛兵達の動きも、にわかに騒がしくなった様に侑人には感じられた。

 侑人は思わずマリアの方を見たのだが、マリアもしまったという表情を浮かべて固まっている。奴隷制度の内容を侑人に教えておく事を、失念していたと気付いたのだ。


 ハルモ教法王庁教圏国家群に属する国家には奴隷制度が存在する。

 しかし奴隷といっても二種類に分けられ、犯罪を犯して罪を償う為に奴隷に身を落とした犯罪奴隷と、主に金銭的な問題で奴隷に身を落とした一般奴隷では扱いが大きく異なるのだ。

 犯罪奴隷に落とされた者は罪を償うまで一般社会に戻る事などできない。国が管理している鉱山や、危険が伴う公共工事などで強制的に労働させられる。もちろん厳重な監視が付き、逃亡すれば待っているのは死だけだ。


 それに対して一般奴隷は比較的自由が利く。

 全ての人は神のもとに平等であると教えられる、ハルモ教の教義を守ることが優先されており、最低限の人権や生活は保障されているのだ。

 亜人族に対する扱いは、ハルモ教法王庁教圏国家群に属する国家の中でも多少異なっているが、セビルナ王国では人族と亜人族の違いだけで差を付ける事は許されていないので、完全に平等な扱いである。

 なので奴隷に身を落としても、迫害を受ける事など殆どない。最初に結ばれる雇用契約に基づいて、奴隷の人権や生活基盤を守るのは雇い主の義務とされていた。

 しかも雇用契約の場には奴隷商人が必ず立会い、あからさまに不当な契約を結ばされる事は阻止される。この世界での奴隷商人はキャリアコンサルタントに近いのかもしれない。

 それに自身が背負う借金を返してしまえば一般奴隷の身分からは開放される。そのまま同じ職場に雇用され続けるか、新たに違う仕事に就くのかといった就業の自由も、奴隷本人の権利として保障されていた。

 それらの決まりを雇用主が破れば、今度は雇用主が奴隷の身分に落とされる。勿論一般奴隷ではなく犯罪奴隷にだ。


 ちなみにティルト村のような地方の小村でも奴隷は必要とされている。たとえば大規模な農場を経営している者などその代表格だ。実際に侑人と声を交わした者の中にも奴隷の身分の者は居た。

 しかしあまりにも普通に過ごしている為、あえて知ろうと思わない限り奴隷だという事は判らない。

 奴隷制度は多額の借金を背負って返済しきれなくなった者や、一族の没落で生計を立てられなくなった者達が、自身の労働で借金を返済したり生きていく為のシステムの一つとして、社会に深く根付いていると言える。

 マリア達が奴隷制度の事を教えなかったのはそんな理由からだ。当たり前すぎて教える事すら頭から抜け落ちていたという単純なもの。マリア達にとって一般奴隷と普通の人との差は、自由に旅ができるかできないか程度しかない。


 なお一般奴隷が迫害を受けてしまうケースがあるのも事実だ。特に若い女性が奴隷の身分に身を落とした場合、それは顕著に現れる。

 違法な売春宿がその代表格だ。しかし通報があれば即座に摘発され、迫害を受けた者への補償は雇用主の財産から行われていた。


「で、一体どういう事なんですか?」

「いや……。何と言ったらいいか。アンナは奴隷ではなくむしろ俺が奴隷のような気も……」

「はい? 貴方が奴隷ってどういう事なんですか?」

「あ! 今のは言葉の綾みたいなもので。まあ簡単に言えばアンナは召喚された者ってとこですかね」

「召喚? ますます怪しいですね貴方」


 慌てふためく侑人の態度を見ている若い衛兵の追及はどんどん厳しくなっていく。

 侑人の横に居るマリアもどうしたら良いのか判らず途方に暮れていて、このままでは状況が良くなる気配など全くない。

 二人の周囲には衛兵達が集まり始め、下手な言い訳をすれば即座に連行されてしまいそうだ。


 しかし、そんな一触即発の雰囲気をぶち壊したのは、長い赤い髪の毛と、赤みがかった少しきつめの瞳が印象的な少女だった。


「静まれい! 言うに事欠いて、このわらわを奴隷扱いするじゃと? 衛兵風情の癖にいい根性をしておるなお主。この際じゃから、わらわの手で一回くらい死んでおくかの?」


 侑人の身体の中で状況を見守っていたアンナが突然顕現した。アンナの機嫌はかなり悪く、怒りに満ちた瞳で若い衛兵を射抜いている。


「ほらお主、さっきまでの勢いはどうしたのじゃ。召喚っていうのはこの事じゃよ。その固いおつむでも理解できたかの? 何ならもう一回やって見せようかの? じゃがな、わらわに手間を掛けさせる意味がどういった事なのかを良く考えた上で返答せい!」

「ケ、ケッコウデス。ヨ、ヨクワカリマシタ」


 辛うじて魔力を全開放する事だけは抑えているようだが、溢れ出る魔力を完全には制御し切れていないようだ。下手な事を言えば、即座に攻撃モードに移行する位の勢いをアンナから感じる。

 そんな不穏な雰囲気を悟ったのか、若い衛兵も青い顔をしながら必死に頷いていた。職務に忠実だっただけで彼に不手際などなく、まさに不幸な事故だとしか言いようがない。


「しかしユートもユートならマリアもマリアじゃ。何をおどおどしておる。こうすれば手っ取り早いなんて事、直ぐに判ることじゃろうが!」


 若い衛兵が素直に頷いた為、アンナの怒りは侑人とマリアに向けられる。奴隷扱いされた事が相当頭にきている様だ。

 苦々しい顔を浮かべたままアンナは侑人の頭に手を伸ばし、怒りに任せてあっという間にターバンを剥ぎ取ってしまうという暴挙にでた。


「「「「あっ!」」」」


 確かにアンナの行動は効果的だった。問題があるとすれば効果的過ぎたという事か。

 アンナの逆鱗に触れて真っ青な顔をしていた若い衛兵の顔色が、今度は土気色に変わる。


「く、くくく、黒髪の勇者……様……でした……か……」


 そのまま若い衛兵は泡を吹きながら後ろ向きに倒れたのだが、誰も一歩も動けない。

 マグナマテルにおいて唯一無二の黒髪が衆目に晒され、場の空気が一瞬で凍りついていた。

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