ウ ミ ノ ウ タ
掲載内容↓
1.そらとうみとかもめ
2.深海の誘い
3.ウ ミ ノ ウ タ
4.あおいろ
以上、4編からなる詩集です。
拙くはありますが、お楽しみ頂ければ幸いです
――by hiro 2011 7.13(wed.)
そらとうみとかもめ
さわやかで やさしい
そらの あおさに
うみは どうにか
ちかづきたくて
ある日 じぶんを
あおく あおく
ぬりました
けれども あれれっ?
おかしいなぁ……
すこぉし そらとは
色がちがうなぁ……
ふかめで おもめな
その あおに
うみは すっかり
いらだって
あらなみ 大なみ
おこしたのです
だからね そらも
めいわくで
かおを 灰いろにして
すねました
みかねた かもめは
いいました
どうして うみは
そんなにも
そらのように
なりなたがる?
うみと そらとは
ちがうのに……
みためも なかみも
ちがうのに……
さいごに かもめは
こんなことも
言いました
うみのあおも
すてきだよ――
お調子者の うみは
すっかり
ゴキゲンになってきて
きらきらと はなうた
浮かべたりしたからね
さらさらと そらも
ひかりの伴奏をつけて
仲なおり♪
そんなことが
あってから
今でも かもめは
この ふたり
ケンカしないよに
見張ってるんだ
めでたし
めでたし――
深海の誘い
陽光は波間に散っただろうか
雨粒は水面を奏でただろうか
明けぬ夜に捕われた瞳には
鮮やかな色は届きはしない――
そよ風は木々を愛でただろうか
夕暮れは浜辺に恋しただろうか
暗い海に縛られた躯を
ささやかな詩は包みはしない――
揺蕩ウ心
泳ギ着イタ先
鼓動ノ檻ノ鍵
開キカケタ扉
低 ク 誘 ウ
悲 壮 ノ 調 べ
泡 沫 ガ 静 寂 ニ
溶 ケ テ ユ ク……
それもいい
それでいい
徒なるきらめきなど
眼を焦がす
それもいい
それがいい
あくがる季節など
知りたくもない
ああ、冷厳なる深海よ
その謳に、今
この身を委ねよう……
ウ ミ ノ ウ タ
忍びよる風
さざめく波間 揺蕩う闇
霞む情景
消ゆる体温 ほどける躯……
星々の朗らかな旋律も
木々のささやかな音色も
今は、水面と共に
遠のきゆく…………
痺れる指先
曇る言霊 届かぬ光
渇きゆく呼吸 纏わる愁憂
堕ちる感情……
手の平の安らかな温もりも
微笑みの紡ぐ彩りも
今は、朧月のように
おぼろげに――
霜夜のように
凍てつく深海
暁のあざやいだ
かがり火も
燈ることなく
波に溺れゆく――
イ タ イ 。
伸 び て く る……
サ ム イ 。
水 の 底 へ……
コ ワ イ 。
引 き ず る 影 ガ――
人形のように
くすんだ眼
ひるがえる
ほのかなる
光の謳も
宿すことなく
涙に滲みゆく――
刺 サ ル 。
孤 独 ノ 木 霊 ……
マ ワ ル 。
誘 う ヨ ウ ニ……
オ ド ル 。
ウ ミ ノ ウ タ ガ――
仄暗イ
深淵ヨリ
響キ渡リ――。
あおいろ
迷うことなく
惑うことなく
進んでは ひらめく
夏の ひかりを
拒むことなく
にごすことなく
抱いては キラリ
宝石にする 海
どうやら、
こんなに かがやく波が
ぼくを キミを
のせてきたようだよ……
ひろがった あおいろ
やさしい手で
ゆらめいて
かわいた命を うるおして
育んだ 笑顔が影に
泣かないよう
ひらめいた きらめき
包みこんで
ほら、ぼくらに
分けてくれてきたようだよ――
夜の雫に
月の溺れた霧の日は
しじまの中
蔭りに染まりそうに
なりながら……
空の色を
風が切り裂く嵐の日は
怒りの波
灯を 呑みこみそうに
なりながら……
そうやって
さけびながら
さまよいながら
明くる あさを
探してきたようだよ……
ふかまった あおいろ
まばゆい色で
たちこめて
染み付いた不安を
照らしだし
見つけた 安らぎ
砂にうもれないよう
浮かばせた 宝石
そのかがやき
よく見ると、それは
『あい』の色を していたよ――
だから
よりそいながら
ぶつけながら
ぼくらも 創ろう
海のように
迷いながら
惑いながら
ぼくらは 創ろう
『あい』のひかりを……