第15話 星の旅人が俺としえるの惑星物語を読み始める
光の帆を張り
星の海を渡る
宇宙の涯を目指し
Fantastic Voyagers in After World
いつか時の果て
Fantastic Voyagers in After World
永遠さえ追い越して
それは次元の皮膜からめくれ返ると、透明な光の膜をふるふると震わせた。ちいさな太陽系の外側から接近して、惑星を一つ一つ観察して行く。中心の恒星から三番目の惑星に、文明の痕跡が発見された。見た目は砂の惑星だが、何かしらの匂いがするという。
空間に揺らぎが生じ、さざ波のような波動が広がった。それは生命でもないし機械でもない。情報ですらなかった。それらには数の概念も当てはまらない。ただ空間に現れた波動は、高く波立つ頂点のひとつひとつが独自の見解を持っているようだった。
(地表を覆った砂の下に、何かの痕跡がある)
(これは、文字、だな)
(この文字情報は、惑星全体を覆い尽くしている)
波面はざわざわと揺れ、頂点がいっせいに跳ねた。
(なんで?)
頂点の一つが表明する。
(これは我々へのメッセージか?)
(ちょっと解読してみたけど、よくわからないな)
(仕事早っ)
(でもなんか面白そうだ)
(ははぁ、これはこの星の生物の記録だね)
(それにしても星の上に残すとは大労作だね)
頂点が一つ跳ねる。
(いいや、敬意を表するよ)
(同意)
(同意)
(同意)
空間が短く突出し、頂点がこぼれ出る。
(こんなんあったけど)
(なにこれ?)
(なにこれ?)
波立つ空間は一瞬で惑星の裏側に現れ、地表すれすれを漂った。
地面には小さな透明の珠が転がっている。それはなぜか砂に覆われることもなく、つやつやと輝いていた。
(これが刻んだのか)
(判明)
(だね)
(だね)
膜のような空間は透明な珠を包み込むように接近した。そして全体がゆらゆらと揺れて、不思議な虹彩を放った。それは『敬意』と表明した時と同じ波動だった。
(おや)
(おや)
(何か残っている)
(なんだいこれ)
(大事に持っている)
空間は透明な珠の中に光る、小さな光を感じた。
(これだけは手放したくなかったんだ)
(ふうん)
一つの頂点が、少し羨ましそうに跳ねた。
(さて)
(さて)
(さて)
(読み始めようか)
頂点がいっせいに揺れ、楽しげに跳ねた。
(この惑星の物語を)
(愛の星の物語を)




