第9章:仲間たちとの絆
侵入の前夜。
地下室には、レジスタンスのメンバー全員が集まっていた。
「明日、俺がシステムに侵入する」
俺は、みんなを見渡して言った。
「成功するかどうか、わからない。でも、やるしかない」
沈黙が降りた。
そして、一人の男が立ち上がった。
レオン・イグニス。レジスタンスのムードメーカーだ。
20代後半、明るい笑顔が印象的な男。いつも場を和ませてくれる存在。
「よーし、じゃあ今夜は送別会だな!」
レオンが、両手を広げた。
「送別会って……縁起でもないだろ」
若いハッカーが苦笑した。
「大丈夫大丈夫! こいつは絶対成功するから!」
レオンは、俺の肩を叩いた。
「だって、俺たちがついてるんだぜ? 負けるわけないだろ!」
その明るさに、場の空気が少し和らいだ。
でも、俺にはわかった。
レオンの笑顔の裏に、隠された不安が。
彼は、誰よりも「孤独」を恐れている。だから、必死に場を盛り上げて、繋がりを維持しようとしている。
「レオン」
俺は、彼を呼んだ。
「ありがとう。お前がいてくれて、助かった」
レオンは、一瞬驚いた顔をした。
そして、いつもより少しだけ、本当の笑顔を見せた。
「……当たり前だろ。俺たち、仲間じゃん」
夜が更けていく中、リズが俺のそばに来た。
「明日、お願いします」
彼女の目には、まだ涙の跡があった。
「彼女を……親友を、助けてください。私が壊してしまった彼女を」
「リズ」
俺は、彼女を見た。
「お前は悪くない。お前も、システムに利用されてただけだ」
「でも……」
「お前が今、ここにいる。それが、全てを物語ってる」
リズは、小さく頷いた。
「ありがとう……」
彼女の声は、震えていた。
深夜、カゲツキが俺の前に座った。
「最終チェックだ」
彼は、パソコンを開いた。
「侵入後、外部との通信が途絶える可能性がある。そうなったら、お前は完全に孤立する」
「わかってる」
「システムの防御プログラムは、容赦なく襲ってくる。感情的な判断は、死を意味する」
「ああ」
カゲツキは、画面から目を離して、俺を見た。
「……お前なら、できる」
その言葉は、彼にしては珍しく、ストレートだった。
「なぜ、そう思う?」
「お前は、『紙のノート』を持ち歩いてる」
カゲツキは、俺のポケットを指差した。
「それは、お前が『自分の頭で考える』ことを諦めてない証拠だ。デジタルに依存せず、アナログで思考をまとめる。その習慣が、お前を監視網の外に置いている」
彼は、再び画面に向き直った。
「俺は、論理で動く。でも、お前は違う。お前には、『感情』がある。それが、AIには予測できない『武器』になる」
「カゲツキ……」
「勘違いするな」
カゲツキは、冷たく言った。
「これは、最も効率的な選択だ。お前が適任だから、お前に任せる。それだけだ」
でも、その声には、わずかに温度があった。
夜明け前、真田が全員を集めた。
「これから、人類史上最も重要な作戦が始まる」
真田の声は、静かだが力強かった。
「俺たちは、巨大な敵と戦う。勝算は低い。でも、やらなければならない」
真田は、俺を見た。
「お前が、鍵だ。お前の勇気が、世界を変える」
俺は、深く頷いた。
「みんな、ありがとう」
俺は、仲間たちを見渡した。
レオンの明るい笑顔。リズの涙。カゲツキの冷たい視線。真田の力強い眼差し。
この人たちと出会えて、良かった。
「行ってくる」
俺は、椅子に座った。
カゲツキが、俺の頭に電極を装着する。
「準備はいいか?」
「ああ」
深呼吸。
画面を見つめる。
「逆流プログラム、起動」
カゲツキが、エンターキーを叩いた。
俺の視界が、白く染まった。
私たち姉弟で小説を書いています、畠山ゆなと申します。
機械音痴な姉と二人三脚で共作している作品です。
通勤時間や寝る前のひとときに、少しでも心が軽くなったり、ワクワクしていただけたら嬉しいです。
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