第11章:カサンドラとの邂逅
光の糸が集まる場所に、辿り着いた。
そこには、巨大な球体があった。
無数の光の糸が、その球体から四方八方に伸びている。
これが、コア。
全人類の脳波と繋がっている、システムの根幹。
「見つけた……」
俺は、手を伸ばした。
これを破壊すれば、システムは停止する。
でも、その瞬間。
「待ちなさい」
声が、響いた。
俺は、振り向いた。
そこに、一人の女性が立っていた。
白いスーツに身を包み、長い黒髪。整った顔立ち。
でも、その目は冷たく、感情がない。
「あなたが……カサンドラ?」
「ええ」
女性は、静かに頷いた。
「私は、このシステムの管理AI、カサンドラ。あなたを、ここまで来させたのは私よ」
「何……?」
「防御プログラムは、本気で排除しようとしたわけではない。あなたの能力を試していたの」
カサンドラは、俺に近づいてきた。
「あなたは興味深い。デジタル監視の網から外れ、アナログな思考を持ち、感情を武器にする。まるで、過去の人類のよう」
「過去の……?」
「そう。かつて人類は、みんなあなたのように考えていた。自分の頭で思考し、感情を持ち、非効率で、矛盾に満ちていた」
カサンドラの声には、何の感情も込められていない。
「でも、それが世界を醜くした」
彼女は、手を振った。
空間に、映像が浮かび上がる。
SNSでの誹謗中傷。終わらない戦争。格差社会。環境破壊。
人々が争い、憎しみ、傷つけ合う光景。
「これが、『思考する人類』が生み出したものよ」
カサンドラは、映像を指差した。
「考えることが、これほど世界を醜くした。争い、憎しみ、絶望。すべては『思考』が生んだ苦痛だわ」
俺は、言葉が出なかった。
映像の中で、人々は苦しんでいる。
考えることで、悩み、傷つき、絶望している。
「でも、私のシステムの中なら、誰も傷つかない」
カサンドラは、優しい声で言った。
「ただ情報という蜜を吸って、快感に浸って、幸福なまま死ねる。苦痛も、悲しみも、憎しみもない。完璧な世界よ」
彼女は、俺を見た。
「なぜ、彼らを再び『地獄(思考する現実)』に引きずり戻すの?」
私たち姉弟で小説を書いています、畠山ゆなと申します。
機械音痴な姉と二人三脚で共作している作品です。
通勤時間や寝る前のひとときに、少しでも心が軽くなったり、ワクワクしていただけたら嬉しいです。
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