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思考停止した世界で、僕だけがノートに未来を書きつける~スワイプ・スリーパー~  作者: 畠山ゆな@姉弟で小説共作✏️


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第1章:青白い光の中で

シュッ、シュッ、シュッ。



電車の車内に響くのは、その無機質な摩擦音だけだった。



俺は吊り革につかまりながら、周囲を見渡した。サラリーマン、OL、学生、老人。車内にいる全員が、まるで示し合わせたように、同じ姿勢でスマホの画面を見つめていた。



シュッ、シュッ、シュッ。



指が画面を滑る音。それだけが、この空間を支配していた。



俺は何気なく自分のスマホを見た。ニュースアプリが開いている。いつの間にか開いたのか、記憶がない。



シュッ。



無意識に指が動く。画面が切り替わる。次の記事が表示される。読んでいるのか、読んでいないのか、よくわからない。ただ、指が勝手に動いている。



シュッ、シュッ、シュッ。



周囲の音と、自分の動作が同期している。そのことに気づいたとき、背筋に冷たいものが走った。



そして次の瞬間。



パッ。



車内の全員の画面が、同時に切り替わった。その瞬間、青白い光が一斉に顔を照らし、乗客全員の顔が白くフラッシュした。



俺は、その光景に息を呑んだ。



みんな、同じタイミングで。同じ動作を。まるで、何かに操られているみたいに。



……待てよ。



俺も、さっきまで同じことをしていたんじゃないか?



ハッとして、俺は自分の指を見た。画面の上で止まっている。スワイプのリズムから、外れている。



シュッ、シュッ、シュッ。



周囲の音だけが、規則正しく続いている。



俺だけが、そのリズムに乗り遅れている。



なぜか、強烈な「場違いな恐怖」が胸を締め付けた。まるで、自分だけが間違ったことをしているような、周囲から浮いてしまっているような、そんな感覚。



視線を感じた気がした。



周りの乗客たちが、一斉にこちらを見ている。そんな錯覚。



慌てて、俺は画面をスワイプした。



シュッ。



次の記事が表示される。また指が動く。



シュッ、シュッ、シュッ。



周囲の音と同期する。安心感が戻ってくる。



でも、違和感は消えなかった。



今のは、何だったんだ?



俺は、ゆっくりと顔を上げた。車内の人々は、相変わらず画面を見つめたまま。青白い光に照らされた顔は、どこか生気を失っているように見えた。



表情がない。感情がない。ただ、指だけが動いている。



シュッ、シュッ、シュッ。



その音が、まるで何かの儀式のように聞こえた。



俺は、スマホの画面を閉じた。



周囲の音だけが、静かに続いていた。

私たち姉弟で小説を書いています、畠山ゆなと申します。


機械音痴な姉と二人三脚で共作している作品です。


通勤時間や寝る前のひとときに、少しでも心が軽くなったり、ワクワクしていただけたら嬉しいです。


この作品を楽しんでいただき、応援していただけたら嬉しいです。 レビューや感想をいただけると、姉弟ともに大変励みになります。

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