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「えぇ、それはそうなんですけど···
ちょっと調べてみたいことがあって」
「へ〜それはなに?」
「えぇ、あの〜お墓のことなんですけど···
え〜とですね、名前、職業、いつ頃亡くなったとか亡くなった時の年齢がわかればその人のお墓がどこにあるのかわかるでしょうか?」
「あぁ、それなら墓地台帳を調べてみたらわかると思うけど···
どうしたの、急に?」
「知り合いじゃないんですけど、そんな人っているのかな〜って思って···
あぁ、そうじゃなくて名前なんかからお墓を探せるんだろうかって思ったんですよ」
かなりしどろもどろな苦しい言い訳になった。
まさか実在する幽霊を探すためだとは言えない。
実在する幽霊ってのも変な話か?
「データが入ってるからすぐわかる。
で、誰を探すの?」
年下の京都先輩が調べてくれるみたい。
「え〜っと名前が源五郎」
「名字は?」
「え〜っと、幕末に亡くなった大工の職人なんで名字はないかもです。
年齢は40歳です」
「やけに具体的じゃない。
ひょっとして知り合い?」
「いや、違いますよ。
ちょっとテレビを見てて、名前からお墓を見つけることができるのかな〜って。
ドラマであったんですけどね」
「へ〜そんなドラマがあるの?
なんてドラマ?
誰が出てるの?」
「そ、そ、それは···
タイトルは知りません。
出演者は、う〜ん···」
「もしかして福山雅治?」
「いや、そうじゃなくて···」
「阿部寛?」
「いやいや···」
「大泉洋?」
「う〜ん、なんか違うんだよな···」
なにが違うって?
そういう目でジ〜っと見ている京都。
その京都をニコニコしながら見ている十津川寺務長。
良かったねぇ、い〜い遊び相手が見つかってと。
「もういい、じゃあ、調べてみるからね」
京都はパソコンを操作して墓石募で検索を始めた。
なるほど、もう飽きたんだねと十津川寺務長は納得。
「う〜ん、そんな人のお墓ってないわね。
登録はされてないよ」
あれ?
じゃ、源五郎ってこのお寺の幽霊じゃない?
う〜どういうことだ?
「まっ、そういうこったぜ。
なんかあったらまたこいよ。
俺が面倒見ちゃるけん」
そりゃどうもって言ってから寺務室をあとにした。
年下の先輩だけど面倒見は良いらしい。
口が悪いのは罵倒キャバクラ1ヶ月勤務の影響か?
遊海はお寺を出て高円寺商店街に向かって歩き始めた。
歩きながら考えることになった。
源五郎は幽霊。
これは確かだろう。
あの夜、源五郎に言われるままに触れてみた。
さわれなかった。
源五郎の体にスルッと手が入っただけで素通り。
なんの感触もなかった。
これで実体がない幽霊であることが証明された。




