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大砲を抱えた蛇敏知は小走りで変なワニに接近。
うねっているワニになるべく近づいて大砲の出番になる。
3発を撃って消滅してくれた。
遊海は限界を超えて走ってたので大の字になってへばっている。
社会人になって日常生活でも仕事でもこんなに走ることってない。
呼吸をするのも苦しい状態でいる。
「にいちゃん、大丈夫かい?」
源五郎が遊海の顔を覗き込むように声をかけている。
源五郎はまったく息を切らしてない。
疲労などに関しては幽霊のままのようだ。
遊海は疲労困憊で返事をすることもできない。
これまでスポーツはなにもやってこなかったし、社会人になってからもとりたてて運動もやってなかった。
こんなところでツケが回ってきた。
今後は健康のためでもいいのでなにかしらの運動に取り組んでいこうと目眩まで起こしている頭で決意することになった。
蛇敏知がやってきて、一さんとお六に見守られながら回復を待ってもらった。
他の動物に襲われることなく起き上がることができるようになった。
体感ではほんの数分くらいと思ってたが意外にもっと長かったのかもしれない。
蛇敏知から、またスッと手渡された竹筒から水を飲んでやっと落ちつきを取り戻すことができた。
礼を言って竹筒を蛇敏知に返した時に源五郎が声を上げた。
「ありゃなんやろか?
池からまた動物が出てきおったぞい」
源五郎に言われて皆がいっせいに池の方角に顔を向けた。
遊海がいるこの場所から池までの距離は1キロもないと思う。
700とか800メートルくらい?
残念ながら遊海の視力ではよく見えてない。
なにかが動いてるようなぼんやりと認識できる程度。
距離もあることだしまだ大丈夫だろうと考えていたのが甘かった。
なんかゴロンゴロンと転がってきてる。
「また?
逃げなきゃいけない?」
思いのほか近づいてくるのが早い。
全部で3個の球体。
それが転がってくる。
ドッ、ドッ、ドッと3連音。
蛇敏知からの先制攻撃。
砲弾の爆発によってまっすぐ向かってくるはずの軌道がそれた。
転がってる速度には変化がなさそうなので被害も受けてないようだ。
またあたふたしなくちゃならなくなった遊海たち。
ひとり冷静なのは蛇敏知。
花火の準備と砲弾の装填を終わらせる。
回転してきた生きものがその姿を現した。
カバだった。
妙な体型のカバたち。
顔は確かにカバなんだが全体的に丸くて大きい。
手足なんかも体の内側に丸めて転がっていたらしい。
アルマジロみたいだ。
これも普通の動物じゃない。
変なカバだ。
そしておそろしいほど皮膚が硬いようだ。




