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幽霊さん  作者: 弁財天睦月
段地四(だんぢよん)

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4-3

でもなぁ、そんなことは関係なかった。

ザバアァって勝手にワニが飛び出してきた。

そして向かってくる。

水の中から見えてた?


ワニってこんなに速かったっけというほど速い。

しかも大きくない?

そんなものが4匹も池から出てきた。

そうなるともう逃げるしかない。

逃げなかったのはうっさちゃんと蛇敏知だけ。


「ありゃ、なんや?

とかげか?」


そう思うよね。

初めて見たんじゃそういうことになるよな。


「源さん、それはあとで。

今は逃げましょう」


遊海はしんがりにまわる。

着物ではどうしても走りにくくなるのでカバーしなければならない。

吹けば飛んでいってしまうんだけどいないよりはマシだ、と思いたい。

非力すぎるんだけど。


蛇敏知の大砲が火を吹いた。

通常のワニの倍以上もの大きさはあるんだけど大砲の爆発には耐えられそうにない。

口を開けてたところへ1発が見事に入って爆発。

頭まで吹っ飛ばされているのにのたうち回っている。

頭が失くなっても死なないって。

爬虫類は生命力が強いってことらしい。


うっさちゃんはあっけないほど簡単にワニに捕まっている。

口の中にいるうっさちゃんをギザギザの歯で噛んではいるのだが噛み切れない。

うっさちゃんのブニョンブニョンな全身にはワニの歯なんかは通用しない。

ワニは懸命に顎をガクガクしてるがどうやっても噛めない。


大人のワニの咬合力で1〜2トンほどの力がある。

人間の40倍以上はある。

しかもこのワニは普通のワニじゃない。

少なくとも通常の倍以上の大きさがある。

単純計算だと咬合力も2〜4トンの力になる。

全長10メートルを超えるともはや怪獣といってもよい。


蛇敏知は大砲を投げ捨てて横に飛んだ。

突進してきたワニを(かわ)した。

素早い動きで木箱からからくり花火を取り出す。

花火には打ち上げと仕掛けがある。

蛇敏知がいま手にしたのは仕掛け花火。

ワニの攻撃を躱してわずか3秒で蛇敏知の反撃準備ができている。

遊海たちは逃げることに必死で蛇敏知の俊敏な無駄のない動きには気づけなかった。

いまさらながらだが蛇敏知は場慣れしている。

一さんに言わせると、旗本のお偉いさんから強く推薦されただけあって頼り甲斐があると。


蛇敏知がサラッと避けたワニはそのまま遊海たちを追っていく。

もう1匹残っている大ワニは蛇敏知目掛けて一直線。

大きすぎるからか小回りが利かないワニの口をヒラリと避ける蛇敏知。

ワニ特有の尻尾による追撃もハラリとジャンプで躱す。

このワニは完全に蛇敏知をターゲットにしているらしくて通りすごてから向きを変えてきた。

小回りができないので蛇敏知にとっては余裕が生まれた。

からくり花火を両手に持って向かってくるのを待っている。



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