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しばらくの間、遊海たちは身動きできなかった。
うっさちゃんの体が変形している。
両手を地面に着いてドーム状の形態に変わっている。
その内側に遊海たちを収納して巨大シマウマたちから守っている。
走りすぎたシマウマたちはスピードを出しすぎて止まるまでに時間がかかっている。
通りすぎた場所を確認して遊海たちがいないことを認めたシマウマたちはそのままどこかへと駆けていった。
シマウマたちが立ち去って、他の脅威も認められないと判断されてからやっと遊海たちは解放された。
「シマウマたちは行ってしまったが···
これが肉食の動物だったら臭いを嗅ぎに戻ってきてたかもしれない。
草食動物で助かった」
誰に言ってるわけでもない遊海。
「あんな動物がいるのか?
それにしてもうっさちゃんが守ってくれなんだら本当に危なかったぞい。
まったく次から次にと見たこともない動物が襲ってくるわい」
源五郎の愚痴半分だ。
言ってることはそのと〜りだ。
さぁ、これからいったいどんな動物が出てくる?
「階段はまだ見つからんかの?」
一さんの発言に皆の目はいっせいに蛇敏知に向けられた。
「マダデス。
モウスコシデス」
からくり師は手鏡で確認している。
もう少しで見つかる?
気休めでも嬉しいね。
そうあって欲しいよと遊海は口には出さなかった。
とにかく北に進むしかない。
遊海は歩きながらスマホを取り出した。
思った通りまったく使えない。
今は落ちついてるので、やっと周囲を確認する余裕ができた。
おそらくアフリカのサバンナを模していると思われるのでしっかり予習はしてきている。
サバンナの草原は主にイネ科の植物が多い。
いま歩いている場所は茶色の植物だらけ。
これはサバンナの代表的な植物のレッドオートグラスだと思われる。
茶色であるということは、今は乾季ということになる。
「なんか変だぞ」
「どうしたんです、源さん?」
遊海はギョっとした。
またなにかの動物が襲ってくると思ったからだ。
「暑いんじゃよ。
これまで暑さ寒さなんぞ感じたことがなかったのに急に暑くなったんじゃ。
奥方様はどうです?
なにか変わってませんか?」
「言われてみれば、そうじゃの。
なにやら暑い。
どうしたことじゃ?」
「あたしもです。
暑さを感じます」
どういうことだ?
幽霊になってから気温の変化による感覚がなかったはず。




