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「どうなんでしょ?
今の段階では階段はなさそうなんで進むしかないですけど···」
しばらくはもの珍しいので、みんなキョロキョロしながら歩いていた。
それが時間が経つうちに飽きてきた。
景色が変わらないからだ。
本当は進んでいるんだけど同じ場所を歩いてるような錯覚に陥ってくる。
「にいちゃん、気づいてるかい?」
源五郎が歩調を変えずに隣を歩く遊海に声をかけた。
「えぇ、いますね。
様子を伺ってるみたいです。
でも困りましたね。
こちらには武器がないんです。
うっさちゃんが守ってくれるってお六が言ってたけど、守ってもらうだけじゃどうしようもないですよ。
あれは、おそらくワイルドドッグって動物です。
厄介なのに狙われましたね」
いま確認できたのは1匹だけ。
こちらに気づいてるのか、様子を伺うように離れた場所で並行に歩いている。
ワイルドドッグも集団行動をする動物。
1匹いるってことは複数いる可能性が高い。
ゴキブリと似たようなもんか。
ゴキブリより始末が悪いのは獲物への執着心が強いこと。
倒さない限りはしつこく襲ってくるだろう。
面倒なことになった。
先頭を歩いてるお六とうっさちゃんが気づいてるのかはわからない。
後方を歩いてる一さんは気づいてるだろう。
からくり師には動きがある。
背中の木箱から取り出した長い筒のようなもの。
遊海には、それを見て江戸時代で長いものだから火縄銃のようなものだと思ってた。
筒状の武器となれば火縄銃しか思いつくものがなかった。
あれが武器だとすればなんだけど。
そして、あれって気づいた。
その筒状のものと木箱の長さが明らかにおかしい。
筒状のもののほうが長い。
これは、またしても「不思議」が起こってるんだろうか?
蛇敏知は、また木箱から取り出している。
今度は矢の束。
それを筒のようなライフル(?)に急いでセットしている。
ライフル(?)の上部から押し込んでセット完了らしい。
20本くらいあったんだろうか?
それがすべて収まってしまった。
普通に考えれば矢は1本しか収まらないはずなんだけど···
不思議だ。
セットすると間髪を入れずに1本を射出。
狙いなんか定めてない。
だいたいこのあたりだろうというような撃ち方だった。
矢は左側に曲線を描いて飛んでいった。
見事にワイルドドッグの1匹の腹部に命中。
遊海の目には、どう見ても矢がホーミングしたとしか映らなかった。




