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7月に入った。
この高円寺での生活にも少しは慣れてきた。
朝は適当に食べたり食べなかったり。
昼は、このお寺では給食センターから取り寄せている。
夜は絶対に高円寺の街に出ている。
そうしないと1日の始まりがお寺からで終わりもお寺になってしまう。
お寺から1歩も外に出ることなく終わってしまう。
これじゃいかんと夕ごはんはお寺の外に出ることにしている。
明日は休み。
夜になってひとっ風呂。
独りしかいないのでシャワーしか使わない。
だから風呂っていってもものすごく早い。
しかも独りしかいないのでシャワーの後もまっ裸で部屋に戻ってからパンツを履く。
今夜もそうだ。
季節的にも寒くはない。
いつも通りに部屋に戻った。
誰もいないはずの部屋に誰かいる。
よく見るとおじちゃんがいる?
見たこともない人。
「だ、誰?」
泥棒?
いや、こんな所に入ったって盗るもんなんかない。
参拝の人?
こんな時間に?
夜10時はすぎてると思うけど。
「おぅ、にいちゃんこそ誰や?
フルチンでどうした?」
お互いに誰だと言い合っている。
遊海から見るとちょんまげのような頭で妙な着物姿の怪しいおじちゃん。
おじちゃんからすると突然現れた全裸の変態。
2人が無言で膠着状態。
「まぁ、にいちゃん、そんなにちっちゃなもんをブラ〜ンブラ〜ンさせてのうてなんか着れや」
先に口を開いたのがおじちゃん。
わいよりもずっとかわいいモノやなとプッと吹き出している。
そんなことは知らずに顔を赤らめてしまった遊海はそれもそうだなと、なんかコソコソといつも部屋着スタイルになる。
ボクサーパンツを履いてTシャツに短パンだ。
それで十分な季節だ。
「ところで、あなたは誰です?
こんな所に入ってきてなにしてるんですか?」
おじちゃんを見るとまるで我が家のようにくつろいでいる。
横になってヨッて手を上げている。
敵意とかはなさそうだ。
「わいか?
わいはこの寺に住みついとる幽霊や。
でえぇくの源五郎ちゅ〜やっちゃ」
幽霊?
でえぇく?
もしかしてダーク?
暗黒大魔王のことか?
遊海はアニメ好き。
どうしてもそっち方面に考えてしまう傾向がある。
「い、一体なにしに現れたんですか?」
やっと口にした遊海。
正体不明のおじちゃんにはかなり警戒している。
それで一応の距離はとっている。
対照的に源五郎はものすごくリラックスしている。
「そりゃ、おめえ、いつもは暗いのにここんところ部屋から明かりが漏れてくりゃ誰かきたんやなって思って挨拶や。
挨拶しにきたんや」




