1-2
「では行くぞよ。
連いてまいれ」
遊海はへへいっと一さんの後を追う。
こういうところだよ。
旗本の殿様の奥方様になると威厳があるんだよ。
しかもキリッとした美形の奥方様ともなれば本当にもう··ねぇ?
お墓のエリアの中の端っこで目立たないように設置されているお墓。
お墓と呼んでもいいのかってほど変わった形。
なんだかドアのようにも見えてしまう。
「ここじゃ」
「ここですか。
なんだか不思議な場所で不思議なお墓ですね」
「もともとは違う場所にあったのじゃ。
戦争の被害にあわないようにと旗本屋敷からここへ移したのじゃ」
「なるほど···
これがあるから一さんもこのお寺にってことですか?」
「う〜ん、まったくないとは言わんが、あまり関係ないかもな」
「そうなんですか?
それで、これからどうするんですか?」
「これじゃ。
この鍵で中に入るのじゃ」
そう言って一さんは着物の胸元から1本の鍵を取り出した。
黄金のピカピカの鍵だ。
一さんがお墓のようにカモフラージュされたドアの正面に立った。
鍵穴がある。
黄金の鍵でガチャリ。
一さんに続いてドアを潜っていった。
「なんだ?」
ドアの先は広大な空間になっている。
どういう仕組みでこうなってるのかは遊海にはわからない。
巨大な洞窟の中みたいだ。
夏の夕方になったような明るさがあるので懐中電灯の光はいらない。
この巨大洞窟の中心部にドド〜ンって建物がある。
誰がどう見たって五重塔だ。
「あの建物じゃ。
あの建物の最上階に財宝の地図があるはずじゃ」
五重塔の周辺はお掘りになっている。
城でよく見られる池のようなものだ。
五重塔に近づくためには1カ所だけある橋を渡らなければならない。
4人で橋を渡ることになる。
「実はの、この建物の中には入ったことはないのじゃ。
入口までは来たことがあるのじゃが」
「えっ、そうなんですか?
でも、5階まで上がればいいんですよね?
それならすぐじゃないですか。
簡単ですよ」
「いや、そうとは限らん。
そうそう簡単にたどり着けないようになっておる。
各階層ごとに様々な罠が仕掛けられておると聞く。
生半可なことでは命を落とすやもしれん」
そりゃそうだろうな。
なんといっても徳川の財宝だもの。
簡単にいくはずもないか。
五重塔の外側の階段を上がった先が1階入口。
ここも黄金の鍵で開けることになる。
一さんが鍵を差して大きな木製の扉を開いた。
外側に向かって両開きになるタイプのものだ。
一さんは左側の扉だけ開いた。
それで十分だ。
高さは2メートル半はありそうな大きな扉だ。




