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「ぼくには、探すのは難しいです」
「だろうな···
実は、わいにもよ〜わからん。
ここは桜家の奥方様から旗本の方々に見つけてもらうしかないじゃろ」
遊海も黙って頷く。
同感だ。
「うむ、旗本の力をもってすれば可能じゃろう。
いったいどこの誰やらさっぱりわからんかったが、こうして身許が判明したからには探し出せるじゃろう。
どこの誰だかを探さなくてはとなると難儀なだけじゃ。
いつ終わるともしれん」
にいちゃん、あっぱれででかしたぞと源五郎からお褒めの言葉を頂いた。
未来ちゃんは不安そうな顔でいる。
それもあって遊海としては喜んではいられなかった。
でもまぁ、旗本8万騎の力があればお母さんは見つけ出してくれると思う。
源五郎がやりきれんのと言ってる。
確かにそうだ。
4歳で亡くなって、亡くなった後もお母さんを探して泣いている。
源五郎が見つけてくれなかったらどうなってただろ?
何十年、何百年とお母さんを探して彷徨うことになってしまうのか?
そして一さんが嘆いている。
この国はおかしいんじゃないかと。
危険なんとかで牢屋に入れられた。
人を3人も殺害しておいて死罪ではない?
この国の奉行はなにをやってると怒っている。
奉行?
あっ、裁判官のことか。
それについては遊海も疑問に思っている。
殺人ではあるのに車の場合だとどうして殺人罪にならないのかと思ってた。
危険運転とか過失運転とかって、なぜ車だけ別にしなくてはならない?
ただの殺人罪ということでいいのではないか?
法律もおかしいし裁判官もおかしい。
一さんが憤ってるように現代の裁判よりも江戸時代の裁判のほうが、ひょっとしたらまとまなんじゃないかと思える。
それから2日、3日とすぎていった。
どうなってるんだろうと遊海は気にしていた。
遊海からは連絡手段がないのでただ待ってるしかなかった。
それは源五郎たちにしてもそうだ。
遊海のもとに訪ねてくるしか連絡の方法がない。
ここのところは江戸時代と同じだ。
もっとも遊海から源五郎のもとへは行けないのだから一方通行になってしまうんだが。
やきもきとした1週間がすぎた。
仕事も終わって部屋でくつろいでいた。
テレビではニュース番組。
高円寺に引っ越してくる前はニュースなどほとんど見ることはなかった。
忙しすぎてニュースなんかを見る余裕もなかった。
だから世の中の動きには鈍感になっていた。
それが高円寺に移り住んで源五郎たちと知り合うとニュースは毎日必ず見るようになった。
ネットでのチェックも忘れない。
源五郎たちから持ち込まれる事件に少しでも対応できるようにしておかないといけない。
ちょっとでも知っておいたほうがいいだろう。




