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幽霊さん  作者: 弁財天睦月
影裏(えいり)

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5-2

あの怨霊の正体は福井県出身の門倉結愛(かどくらゆな)という女性だった。

消滅する前に一さんたちの頭の中に彼女のすべてのことが一瞬にして飛び込んできたということだった。


高校生までは福井県で平穏で平凡な生活を送っていた。

両親もいて食べることに困ることもなかった。

高校卒業と同時に東京の私立大学へ進学。

上京して1年ほどは普通の学生生活でアルバイトもあって忙しい毎日だった。


2年生になった時、友人とともに初めてといってもいい歌舞伎町に足を踏み入れた。

噂に聞いていた治安の悪さもなく外国人が多い場所といった比較的好印象だった。

ただし女子独りでわざわざやって来るといったことがありそうな場所ではなかった。

せいぜい東宝ビルの映画館くらいしかないだろうと思えた。

それが5月のゴールデンウィークがすぎた後にフラッと独りで映画を観るためにやって来た。

本当なら友人と一緒に来る予定だった。

友人から映画を観に行こうよと誘われてたのに、その友人が他に急用ができたとかで来れなくなった。

どうしようかと迷ったが、この日は映画を観に行くと決めてたのでせっかくだからと独りでやって来たというわけだった。


映画を観終わって建物の外に出たのは午後4時をすぎていた。

他に用もないので、さぁ、帰ろうと歩き始めたところで声をかけられた。

ひと目でハッとした。

これまでに周辺にはいなかったタイプだ。

美形男子だった。

それが沢田聖夜(さわだせいや)との初めての出会いだった。


話し方も表情もソフトだった。

こういうところも自分の身の周りの男性にはいない。

その沢田聖夜に店に誘われた。

初回3,000円ポッキリでよいとのこと。

結愛は東京に来て1年以上すぎている。

これまでの生活は大学への行き帰りと簡単な翻訳のアルバイトがほぼすべて。

アルバイトは外国語学部のため勉強も兼ねて中国語の翻訳を行っている。

そのためわりと限定的な範囲内での生活になっている。

こういった予想外のホストクラブなどといった世界のことは知らないし免疫もない。

ソフトだけど操られているかのように初のホストクラブに入ってしまった。

断るといった勇気がもてなかったこともある。


学生である結愛にとって3,000円という金額でも安いものではなかった。

ホストクラブの支払いなど見当もつかなかったが、結愛の日常生活とは縁遠い華やかな席は楽しかった。

聖夜に携帯の電話番号とメルアドを訊かれたので教えている。

断りずらかった。

結愛はあまりにもすれてなくて素直すぎた。

今回は初回ということで本当に3,000円だけの支払いだった。

帰り際には丁重に「楽しい夜をありがとう」と笑顔で送り出された。


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