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幽霊さん  作者: 弁財天睦月
新生活

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4/5

1-4

事前に簡単に地図を見ていて大まかには頭に入れていた。

南口にはアーケード商店街がある。

そこならお昼ごはんも食べられるだろうと歩いていると回転ずしがあった。

何年かぶりの回転ずしで12皿を食べてから面接に向かった。


総完寺はすぐ見つかった。

アーケードのあるパル商店街から南中央通りに入ってまっすぐ歩くだけですぐわかった。

時間的にもちょうど良いタイミング。

お寺の中に入ると思ってたよりも広い。

お寺の関係者らしき人が歩いてた。

大きなゴミ袋を手に歩いてるおじちゃんがいる。

声をかけてみるとやはり総完寺の人だった。

面接のことを伝えると事務室に通された。

席に着いて履歴書を出して1分も待つことなく青木鉄観音住職が現れた。

挨拶もそこそこに履歴書拝見で面接スタート。


住職は1分ほどで履歴書をテーブルに置いた。

あまり見るところがない履歴書だと自覚はしている。


「このスーパーではなんの仕事をやってました?」


職歴はスーパーしかない。

仕事内容はと訊かれるとなんでも屋と答えるしかない。

レジから発注やらパートの人の給料計算からとにかくなんでもだ。


「ふ〜ん、そういうこと···

今は調布に住んでる?」


住職の表情からどういうことになるかは読み取れないけど質問には「はい」と答えている。


「調布からここまで通うとなると大変だ。

どれくらいかかる?

おや、アパートで独り暮らし···」


「そうですねぇ、だいたい1時間はかからないとは思いますが···

京王線で新宿まで出て中央線に乗り換えですね」


「それだと面倒だろ?

毎日のことになると···」


「えぇ、そうだと思います···

それと調布駅から歩いて8分くらいと所のアパートに独りで住んでます」


う〜んといった感じで住職はなにか考えてるようで会話が止まった。


「ひとつお願いしたいことがあるのだが···」


実はこのお寺は夜になると誰もいなくなるんだそうだ。

住職は高円寺駅の北側に暮らしている家がある。

そこで2人の娘がいて4人家族で生活している。

簡単な経理もできそうだしスーパーで働いていただけあって人当たりも良さそう。

問題は寺に住み込みで働いてくれるかどうかだ。


破格の条件を出した。

ワンルーム住み込み無料。

光熱費なし。

月額25万円の給料。

これでどうだと伝えた。

遊海の眉毛がピクンと動いた。

頭の中は猛烈に計算している。

こ、こ、これはあまりにも好条件。

しかも、きっちり週休2日で残業なし。

問題になるのは真夜中ひとりっきり。

とはいっても寝てるだけかと気楽に考えることにする。


住職からは、いつから働ける、いつ引越してくるとせっつかれた。

ということは採用なの?

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