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一さんから教えてもらったのは怨霊にもいろいろなタイプがいるということ。
水を操る者や雷を操る者もいるらしい。
死因とも関係してくるらしいがどうなるのかは怨霊になってみないとわからないというのが正解のようだ。
「あの怨霊の行方はどうなったんでしょうか?」
「わからぬ。
監視の者が見回ってはおるが所在不明じゃ。
土左衛門の一太刀があと一歩で届かなかったようじゃ。
だから健在じゃ。
我らもまた行かねばなるまい」
「そうじゃな、怨霊は必ずまた火事を起こす。
現世の人間たちはそんなことは知らんよ。
だから永遠に繰り返されることになるじゃろ。
早く倒さねば被害も続くばかりじゃよ」
いつになく神妙な源五郎だ。
おふざけ度はゼロだ。
遊海は気を引き締めなければならなかった。
現世の人間で怨霊の存在を知ってるのはたぶん自分1人だけ。
いわば現世の人間代表としてこの怪異に対していかなければならない。
「具体的にはどうします?」とお六も真剣なまなざしで3人を見ていった。
「そうじゃの、愉快な遊海殿は日中の仕事があるので夜か、あるいは休みの日に出張ることになるかの。
心してかかれや」
「わかりました。
あっ、でも昼間···
怨霊が出るのって夜じゃかったんでしたっけ?」
「いや、そんなことはないぞ。
しっかりと昼も活動しておる。
たしか前の火事があったのは昼じゃったはず。
ニュースとかでやっておったな」
あぁ、そうだ。
あの時の火事はお昼頃とかだった。
すると24時間いつ現れるかわからないということか。
大変なことになった。
いつの間にやらヒーローのようになった。
まったく力はないんだけど。
一さんかお六と一緒でなけりゃ怨霊には太刀打ちできない。
源さんと一緒にいても、ダメだろうな。
これまではなんとも思ってなかったがいま頃になって気づかされたことがある。
それは連絡手段。
現代なら携帯電話がある。
緊急事態になればなるほど通話が重要になる。
一さんたちに携帯電話っていっても無理だろう。
「携帯電話は知っとるぞ。
便利なやっちゃ。
いろいろ使えるやっちゃ。
実はな、にいちゃん、わいらにも似たようなもんがあるんや。
見てみぃ、これや」
源五郎が懐から取り出して見せてくれた。
紙コップ2つを糸でつないだもの。
遊海がう〜んと首をひねる。
「愉快な遊海殿の反応は正しい。
こんなものがと思って当然じゃ。
じゃがの、これの片方を耳にあて、片方を口元にあてる。
これで通話ができるのじゃ。
これを『霊界糸でんわ』と呼ぶ」




