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源五郎たちはピンピンしている。
火は怖がっていたが水は平気だったようだ。
1人の警察官が近づいてきた。
遊海が大久保公園の外側の柵にもたれて座り込んでいるのを見つけたからだ。
なんらかの被害にあって動けなくなっているのではと救助にきてくれたのだろう。
実際に被害にはあっているがしばらくジッとしてれば回復する程度のものだと遊海は思っている。
もしもの場合は、本当に目の前に東京都立大久保病院があるので、へたに救急車を呼ぶよりもはってでも自力で飛び込んだほうが早い。
「大丈夫ですか?
怪我はありませんか?」
警察官が膝まづいて遊海の顔をのぞき込むようにして声をかけてくれている。
「大丈夫です。
ちょっと水に流されて飲んでしまっただけですので···」
「そうですか···
いったいなにが起こったんでしょうか?
前にも火事があったばかりで···
なにか気づいたことはありませんか?
どうも放火という疑いがあるものですから」
源五郎たちはすぐそばで聞いている。
この警察官には源五郎たちが視えてない。
「歩いてたら突然水に流されて···
なにがなにやらわからないうちにここまで流されました。
なにが起こったのかはまったくわかりません。
なにも見なかったです」
本当は原因を知ってるんだが言ったところで信じてはもらえない。
源五郎たち幽霊も視えない人になにを言っても無駄だ。
怨霊などと言ってみたところで残念な人と思われるだけ。
それらのやり取りを黙って見ていた源五郎たち。
特別になにも言われることはなかった。
それよりも気になるのは怨霊がどうなったか。
一さんからはうららとあのお侍が追っていったということを聞かされた。
お侍さんは似照土左衛門という桜家の供侍。
凄腕の剣士だそうだ。
青い着物であの体型。
遊海の頭の中で、どうしても連想してしまうのは未来からきたネコ型のアイツ。
気になることは他にもある。
お六は「なにをした」だ。
「あれはいったいなんだったの?
なにかを投げたようだったけど···」
お六が解説してくれた。
最初に現れたじいさんは「泣き虫じいさん」
いつどんな時でも大泣きできるという特殊能力を持っている。
次に現れたのがばあさん。
「塩かけばあさん」というらしい。
な〜んだ塩かと思ったが、よくよく話を聞いてみるととんでもないことがわかった。
怨霊どころか幽霊だって苦手な「お清めの塩」を振りまいている。
想像していた以上に強力で侮れないものだった。




