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誰と言おうとして「だ」と漏らしたのが遊海。
なにと言おうおして「な」と叫んだのが源五郎。
突然のことで状況がわからずオロオロしてるのがじいさん。
さらに怨霊と思われる女性もじいさんの突然の出現にキョトンとしてるようだ。
「ビヤ〜ン」とじいさんが唐突に耳をつんざく大声で泣き始めた。
遊海もお六も、怨霊までがビクッとなってる。
源五郎だけはなにかを悟ったかのように頷いている。
わかるよ、わかる、こんな場所に1人っりきりでいきなり放り出されて怖かったんだろうね。
わかるよ、わかるよとウンウンと同情している。
一さんはそれどころじゃないみたいだ。
うららをどうどうとしている。
「間違えたあぁ、他の、他のカプセル」と大慌てになったお六。
カプセルの種類をよ〜く覚えてなかったようだ。
「よし、これだ。とりゃあぁぁぁ」とお六は投げた。
だが一抹の不安もある。
本当にこれであってる?
ボワ〜ンって現れたのはばあさん。
じいさんの次はばあさん。
それを見てえぇ〜って首をかしげることになってしまったのは遊海と源五郎。
一さんはそんなことにいっさい関与せず、今にも飛びかかっていきそうなうららをおさえている。
意外なことが起こった。
ばあさんがなにかを投げた。
というより振りまいたといったほうがいいのか。
怨霊らしき女性がものすごく嫌な素振りを見せている。
そしてその姿が大きく変わった。
禍々(まがまが)しいその姿こそ本来の怨霊。
なんだろう、オーラとでもいうのか鬼気迫る圧力のようなものを感じる。
なんていうか、肌に突き刺さってくるようなヒリヒリ感とでもいった痛みのようなもの。
「遅くなりました」
颯爽と登場。
なんだかお侍さんのようだ。
あっ、これは、一さんがなにやら声を張り上げて呼んでいた人物ではないか?
青い着物で全体がまん丸なお侍さん。
なんだろうか、なんか見覚えがあるような?
「おぉ、待っておったぞ、土左衛門。
あれが探しておった怨霊じゃ。
いくぞ」
おぉ、一さんはいつの間にか長刀を手にしている。
背中に手を回してるのを見たような気がする。
着物の背中側から取り出したのか?
「よし、突撃じゃあぁ」ってお侍さんとともに弱ってるような怨霊に猪突猛進。
怨霊からの攻撃のほうが先だった。
伸ばした両手から紅蓮の炎を噴出。
ギリギリのところで一さんと土左衛門は炎を躱した。
長刀を手にしていた一さんはその重みもあって路上に転がった。
うまく躱した土左衛門は機敏な反応を見せる。
体型に似合わず俊足で怨霊に急速接近。
炎の隙間をかい潜って日本刀による横一閃。
わずかに手応えがあった。
土左衛門の剣先にちょっと触れただけで大きく後方に飛び退いていた。
次の剣を振る前にさらに巨大な炎を広範囲に噴出。
怨霊は後方に下がったと同時に全身が爆発でもしたかのような炎を撒き散らしている。
一般の人間たちには炎が見えている、
おそらく最初の炎はなにかが爆発したのではないかと思ってた人が多かっただろう。
この大炎上で皆がいっせいに避難を始めている。




