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歌舞伎町で、悪い意味で有名になってしまったトーヨコ前。
東宝ビルの隣にある広場。
うららが吠えた。
怨霊がいると合図を送ってくれた。
どこだと4人は周囲を見渡した。
怨霊の存在などまったく気づいてない人々が能天気に自由気ままだ。
「くそぉ、わからんの。
人が多すぎる。
怨霊は人に化けるからの」
「えっ、源さん、そうなの?
早く言ってよぉ」
遊海は大いに焦ることになった。
いま目の前にいる人が実は怨霊だったってこともあるかもしれないじゃないか。
警戒心マックスになった。
うららが動き出す。
怨霊を見つけたのかもしれない。
4 人はうららの後を追いていくことになった。
うららは誰を追ってる?
うららが空に向かって鼻をヒクヒクさせている。
匂いでわかるのかもしれない。
再び歩き出した。
連れてこられたのはホストクラブが密集しているエリア。
そこそこに人がいる。
この中に怨霊がいるのかもしれない。
いったいどこに?
4人は目を凝らして注意深く進んでいった。
突然うららが駆けた。
4人がやっと動き始めるまでにはタイムラグが発生している。
とりわけ遊海に関しては人々の目には、いきなり走り出してどうしたと映っただろう。
でもそれも一瞬のこと。
ここ歌舞伎町では奇異な動きをする者を見慣れている。
殺人事件など害を及ぼす行動にでなければたいして気にしないという毎日がある。
うららが建物の角を左に曲がっていった。
遊海たちが追う。
角を曲がろうとした時、うららがギャウと叫んで飛ばされてきた。
どうやら何者かに弾かれたようだ。
背中から路上に落ちたがすぐ態勢を立て直している。
4人は大急ぎで角を曲がった。
遊海は見た。
15メートル以上先で若い女性が右の手の平を前に突き出している。
あれが怨霊か?
見る限りは普通の人間。
「あれか?
あれが怨霊かい?
そんな風には見えんなぁ」
まったく源五郎の言う通り。
遊海から見てもそう思う。
例えばカフェで隣に座っていたとしても気づかないだろう。
「ついにこれを使う時がきてしまったわ」
とお六は着物の帯にはさんでいた銀色のケースを取り出した。
「なに···」と言ったのは遊海。
珍しく源五郎は静かだ。
「頼んだわよ」とお六はなにかを投げた。
一さんがなにか叫んだようだったが遊海と源五郎はお六の行動に注意を取られすぎていた。
一さんがなにを言ったのかはよくわからなかった。
投げたものが路上に落ちる前にボワンと爆発したようだった。
スモークが現れたと思ったらすぐ縮小していった。
路上に現れたのは、なんとびっくり、じいさんがポツンといる。




