3-5
夏目家の墓石はエリアの中の端のほうにひっそりとある。
あれ、ひょっとしてりんさんの遺骨もここにある?
そうだとすると自分の遺骨があるかもしれないお墓を見てるのってどんな気持ちなんだろ?
遊海は懐中電灯で照らした先の中に夏目と書かれてある墓石を認めた。
とにかく手を合わせた。
それにつられたようにお六と源五郎も手を合わせている。
りんさんだけは違った。
墓石の後ろ側に樹がある。
その樹のほうに回った。
このお墓のエリアには樹がそこそこにある。
こういった場所で樹が植えられているのって珍しいのかもしれない。
「このあたりを掘ってみてください」
あっ、掘らなきゃいけないのか。
なら、シャベルかスコップが必要になる。
あそこに置いてあるだろうと思う。
掃除道具を置いてある用具室だ。
りんさんに取ってきますと言って怖すぎる暗闇を独り歩いていく。
少し歩かなければならないのにこんな時に限って静かだ。
怖さが倍増する。
用具室ではスコップがあった。
そんなに大きなものはいらないと思うからこれを持っていく。
さて、行くかと用具室を出ようとした時、懐中電灯の先にいた。
「ワアァ」と遊海。
「ドワアァ」と源五郎。
2人がそれぞれ「おどかすなよ」って口走る。
遊海の後を追って源五郎がきていたことに気づいてなかった。
2人ともわりと臆病なのかも?
夏目家のお墓まで戻った。
出てきそうな感じなんだけど他の幽霊はいなかった。
ここにいる幽霊の皆さんは普段はどこでなにしてるんだろ?
訊いてみたい気もするが訊いちゃいけない気もする。
「このあたりです。
ちょっと深い所にあると思います」
りんさんの指示に従って了解と言って遊海はザックザックと軽快な音を立てて掘っていく。
ここ掘れワンワンだ。
本当に久しぶりにスコップを手にしたんだけど、まさかこんな真夜中になるとはねと思いながらせっせと掘り進めていた。
コンとスコップの先端が硬いものに触れた。
30センチほど掘っただろうか探しものを見つけた。
長い間、土の中に埋まっていたものを取り出した。
15センチほどの長方形の木箱。
「これですか?」
「そうです。
その箱です。
その中のものをあなたにお礼として差し上げます。
このまま埋もれさせておくより誰かに使っていただくほうがよいのです。
そのためのものですから」
「はぁ、そうですか···
では開けてみます」




